クルマからスマホへ…若者のパートナーの変化

2013/12/31 18:40

「若者の車離れ」という言葉がちまたに広まりはじめて久しいが、本格的に傾向として見え始めたのは今世紀初頭、言葉そのものが良く使われるようになったのは2005年前後からではないだろうか。多種多様な分析がすでになされているが、原因が一つに限ったものではないのは確かなようだ。今回はその原因の一つとして、若年層のパートナーが自動車から携帯電話、中でもスマートフォンに取って代わられた、つまり「クルマからスマホへ」世代交代したのではないかという話をまとめてみることにする。

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こづかいと時間、消費する対象の変化


事のきっかけは東京工芸大学が2013年10月24日に発表した「イマドキのキャンパスライフに関する調査」。これを基にいくつか解説記事をしたためたが、その中の二つ、具体的には【ナルホド納得、大学生の自由時間の過ごし方トップは「インターネット閲覧」】【マンガ、外食、異性との付き合い…大学生のこづかいの使い道、昔と今の変化を探る】で、合わせて見直すと、興味深い動きが頭の中に浮かんだ。

次のグラフはそれぞれの記事からの抽出。昔の大学生と今の大学生で、時間とこづかいの使い方の変化を示したものである。

↑ 大学生活における自由時間にどのようなことをして過ごすことが多いか・現役学生と卒業生との差(複数回答から作成)(5%ポイント以上の差異があるもの)
↑ 大学生活における自由時間にどのようなことをして過ごすことが多いか・現役学生と卒業生との差(複数回答から作成)(5%ポイント以上の差異があるもの)

↑ 大学生活で自由に使えるお金を費やしている物事現役学生と卒業生との差(複数回答から作成)(5%ポイント以上の差があるもの抜粋)
↑ 大学生活で自由に使えるお金を費やしている物事現役学生と卒業生との差(複数回答から作成)(5%ポイント以上の差があるもの抜粋)

自由時間とこづかい。若年層が自分の趣味趣向、娯楽、要は欲求充足に費やすツール、手法として欠かせない物。かつての若年層は飲み会やコンパ、買い物、音楽鑑賞のためのオーディオ機器、自動車、映画鑑賞、異性との交流にそれらを消費していた。

切り口を少し変えて表現してみよう。かつての若年層は知人とコミュニケーションをしたり、異性と楽しいやりとりの時間を過ごしたり、音楽鑑賞をしたり、買い物をしたり、どこか日常とは別の雰囲気・環境を楽しむため、時間やこづかいを消費していた。

さて、これらの行動ツールの役割は、昔は多分に自動車が担っていた。自動車を駆って異性とドライブをしたり、旅行に出かけたり、買い物の足として用いたり、コミュニケーションのツールにすら成り得た。昔の青春映画を観れば、必ずそこには自動車が物語の中心に座っているのが分かる。

しかし今はどうだろう。ほぼ同じ役割を携帯電話、特にスマートフォンに担わせることができる。ソーシャルメディアやチャット、オンラインゲームで知人とコミュニケーションをし、異性と楽しいやりとりの時間を過ごせる。音楽鑑賞もできるし、オンラインショッピングによる買い物も可能。疑似的ではあるが、世界のどこへでも瞬時に旅立つことすら出来てしまう。

そう、若年層の趣味趣向は「基本的に」昔も今も変わらない。たとえ一部が疑似的であったとしても、自動車と比べてより容易に、より安価に、より便利で、より安全なツールを手に入れたので、それを使っているに過ぎない。旧世代のツールはもう必要ない。「クルマからスマホへ」は、若年層の趣味趣向、欲求を充足するためのツールにおける、世代交代なわけだ。

「クルマからスマホへ」を後押しする周辺環境の変化


もちろん自動車ならば可能で、スマートフォンでは出来ない事柄もたくさんある。「疑似的体験では満足しないだろう?」という意見も多いに違いない。しかし現状では多くの若年層が満足してしまっている。あえてこの理由、「クルマからスマホへ」の世代交代を後押しする要因を、両者以外で挙げるとすれば、若年層が持つリソース(特に金銭周り)の減少と生活環境の整備が挙げられる。

それなりに生活環境は充足し、不平不満で爆発寸前というものではない。ただし自分が自由に動かせるリソースそのものはそれほど多くは無く、経済的な将来にも不安がよぎる(何しろ自分達の上の世代は、しきりに「日本はダメだ」「未来は暗い」と繰り返し自虐的な話を呪文のように叫んでくるのだから!)。当然、責任やリスクは極力避けるようになる。

「ローンを組んで自動車を買おう」!? 「アウトドアを積極的に楽しもう」!? 面倒だし危なっかしいし浪費させられるより、家の中で相応の満足感が得られるし、安全で安心で金銭的リスクも低いツール(携帯電話、スマートフォン)があるのだから、それでいいじゃん!? 別に遠出する必要も無いし(俗にいう「ワンマイル族」というものだ)……彼ら・彼女らの主張と行動性向には、しっかりとした理由がある。それは十分理にかなった、現状を分析した上での決断によるものといえる。

今後もさらにシフトは続く


自動車業界では若年層離れの現状を受け、多種多様な切り口で努力を続け、関心を引き寄せようとしている。かつては蔑視すらしていた雰囲気のある「痛車」への対応も随分と変化を遂げているように見える。そして今現在においても、移動手段として自動車が重要な存在であることにも変わりは無く、生活必需品として使う分には、それなりの需要は発生している。

↑ 若者にとっての「自分の欲求を満たす」最適なツールの世代交代は続く
↑ 若者にとっての「自分の欲求を満たす」最適なツールの世代交代は続く

しかしかつての若年層が抱いていた自動車への憧れ、様々な娯楽、欲求を満たすためのツールとしての自動車は、すでにその立ち位置には無い。今後さらにデジタル技術が進歩し、スマートフォンやそれに続くであろう何らかのデジタル機器から、自動車が若者の「欲求充足ツール」としての座を取り戻すのは、まず不可能だと言わざるを得ない。それほどまでに若者を取り巻く周辺環境は変化し、スマートフォンは便利で有益で魅力的なツール足りえる存在として、若年層の目に映っている。

自動車がかつての「立ち位置」を取り戻すには、それこそ空を飛べるようになるか、スマートフォンと同レベルのコストパフォーマンスや安全性が求められよう。


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