「職場にもっと理解があれば」男性の育児休業取得のハードルとは

2014/01/06 11:30

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内閣府男女共同参画局は2013年12月17日付で「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」結果の速報内容を発表した。その内容によると、6歳以下の第1子、そして配偶者と共に暮らす有職男性のうち、その第1子の成長過程で育児休業を取得しなかった人においては、「職場に男性の育児休業取得に対する理解があれば、育児休業を取っていたかもしれない」とする人がもっとも多く1/3を超えていたことが分かった。「休暇が取りやすい職場であれば」「上司の理解が得られれば」など、男性の育児休業取得を妨げるのは、社内の雰囲気によるところが大きい実情が分かる結果が出ている(【発表リリース:「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」結果速報を公表しました。】)。


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今調査のうち今件該当部分については、6歳以下の第1子、そして配偶者と同居している、20歳以上の有職者男性を対象として、2013年9月にインターネット経由で行われたもの。有効回答数は2004人。正社員は1671人、非正規社員は116人、自由業・自営業は217人。今件ではそのうち、正社員を対象にしている。

該当正社員のうち、第1子が1歳6か月になるまでの間で育児休業を利用しなかった(利用意向の有無は別として)人は94.0%。その人たちに、「次のような状況ならば、環境整備がされていれば、育児休業を取得していたか」について聞いた結果が次のグラフ。

↑ 誕生前の利用意向別・育児休業制度の利用に必要だったこと(複数回答、男性、正社員)
↑ 誕生前の利用意向別・育児休業制度の利用に必要だったこと(複数回答、男性、正社員)

最上位の回答は「職場に男性の育児休業取得に対する理解があれば」で34.7%。次いで「休暇が取りやすい職場であれば」30.6%、「上司の理解が得られれば」が26.5%。「取りやすい職場」は「雰囲気的に」と「業務内容、多忙さ」の双方の受け止め方があるが、いずれにせよ多分に職場内の雰囲気が男性の育児休業取得のハードルとなっているのが分かる。「同僚に迷惑がかかるという後ろめたさが無ければ」も回答者自身の意志によるところが大きいが、職場の雰囲気次第で状況は多分に変わりうることを考えれば、同類の項目となる。

女性の育児休業取得と比べれば、男性の取得は日本ではまだ認知・理解度が低く、雰囲気的に取得しにくいとの意見が多い。これは今件調査結果だけでなく、類似の他調査、例えば【男性による育児休業取得の受け入れムード、2割強に留まる】でも同じ結果が出ており、育児に関する大きな問題点の一つであることが分かる。利用しやすいような制度改善はもちろんだが、啓蒙などで取得そのものの理解が得られるような努力も企業側には求められよう。

一方、実際に育児休業を取得しようとしたが出来なかった人に限ると、これら職場の雰囲気の他に、制度そのものが存在せず利用できなかった人の回答率も高い(37.9%)。雰囲気以前に制度が無ければ利用すること自体不可能であり、こちらも企業側の対応が望まれるところだ。


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