災害廃棄物処理91%、津波堆積物も82%に…震災がれき処理動向(2013年11月30日時点)

2013/12/21 09:00

復興庁は2013年12月20日に同庁公式サイト上で、「沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況」の最新情報である、被災三県(岩手県・宮城県・福島県)の「震災がれき」(災害廃棄物等。災害廃棄物と津波堆積物)における2013年11月30日時点の処理進捗状況を発表した。その内容によれば災害廃棄物の処理は91.2%、津波堆積物は82.3%まで進行していることが分かった。今記事ではこれまで復興庁が発表してきた各種「震災がれき」の処理状況を、最新情報を盛り込んだ上で、当サイトの独自指標も合わせ確認していく。

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震災がれきは2748万トン、未処理分は339万トンにまで減少


「災害廃棄物」「津波堆積物」「災害廃棄物等」(「震災がれき」)など、今記事内で用いられている、各種がれき関連の専門用語の意味は記事一覧ページ(【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】)にまとめている。必要な場合はそちらで確認をしてほしい。

最初にチェックするのは、各対象物の「仮置き場」への搬入状況。災害廃棄物などは災害発生現場から仮置き場に搬送され、多種多様な方法で処分(焼却、埋め立て、再利用など)が行われる。直接現場から処理現場に運ばない理由は、処理工程での混乱防止と、作業の円滑化が理由。そして何よりも現場(大部分は生活の場やその隣接地域)からの「がれき」排除を最優先事項としていることによる。全体では11月30日時点で災害廃棄物が97.1%・津波堆積物は94.4%との値が出ている。

↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年11月30日時点)
↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年11月30日時点)

がれき処理の作業進行に従い、仮置き場に運ばれた総量は増加する。その一方で、がれき推定総量の再計測、解体作業で廃棄物が新たに発生する場合もあり、今件数字は一方的には上昇しない。実際、前回記事でのがれき総量は2665万トン、今回月では2748万トンとなり、80万トン強増加している。現状では両方とも9割を超えているものの、昨今では加算分による処理の追加発生、さらに作業が難しい地域での処理が多分に残っていることから、この数か月間では大きな変化は生じていない。また逆算すると、現時点ですら3%近くの災害廃棄物・6%近い津波堆積物が「未だに」現場に残されているのが分かる。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を示すグラフを作成し、現状を確認する。「処分」には対象の状況により多用な手法、例えば単純な埋め立て処分以外に再生燃料化、素材として売却処分・再利用などがある。【海水利用のコンクリート、大林組が開発・被災地のがれき処理にも有益】も一つの事例として挙げられる。なお今グラフの「未処理」は、被災現場に残されたままのものだけでなく、「仮置場」に搬入されている状態のものも含む。「仮置場」に移されただけでは、処分とは言えない。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年11月30日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年11月30日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年11月30日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年11月30日時点)(万トン)

上記にある通り全体で災害廃棄物は97.1%・津波堆積物は94.4%までと、双方とも9割以上にまで進んでいる仮置き場への集約率と比較すると、処理・処分済み具合が遅れている状況が分かる。特に津波堆積物では遅れが深刻。

この遅延理由としては、「震災がれき」の処理は通常の建築物(例えば老朽化した木造住宅)の取り壊しによるがれきと比べ、内容が複雑で量も多いため(想定されない状況下でがれき化している)、時間がかかることが最大の理由。全焼の火災事故で生じた住宅の取り壊しには時間がかかるが、それに状況と類似している。

そのため、それぞれの被災県内の処理だけでは、能力的・物理的に短時間での作業進行は不可能となる(行程数・リソースが足りない)。従って「迅速な」処理には被災県だけでなく県外でも併行しての処理が不可欠。しかし(昨今では以前と比べれば沈静化しているが)、この被災地外での処理に関し、非科学的・感情的・煽動的な理由による障害・妨害がある。

がれきの処理が行われなければ物理的、さらには地域住民の心理的な復興への足掛かりは得られない。現場や仮置き場に居残る廃棄物は時間が経てば処理がさらに困難となるだけでなく、その時間の分だけ周囲の人の心を深く、そして広く傷つけていく。迅速な処理が強く望まれる。

津波堆積物処理は8割を超えて…全体的な処理の推移


復興庁では同庁公式サイト上で2011年12月時点分以降、災害廃棄物等の搬送動向を定期的に公開している。その公開資料において、処理・処分動向が掲載されたのは2012年2月14日分、一方で津波堆積物は2012年7月31日分から。

それら公開値をすべて取得し、処理状況の推移を折れ線グラフ化したのが次の図。一番右、今回精査している最新値の2013年11月30日時点は、震災から2年以上が経過している。今なお100%にグラフが達していない現状は、震災の規模の大きさ、そして上記でも触れたが該当県外での分散処理に対する妨害活動からある程度予想は出来たものの、誠に遺憾である。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年11月30日)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年11月30日)

グラフのカーブ度合いを見れば分かる通り、災害廃棄物の処理は2012年の年末、津波堆積物は2013年の春先から処理ペースが上がっている。政情の変化がもたらしたものだろう。しかし、その上昇の一部は「国の直轄処理地域での処理状況が計算から除外された」のが原因のため、処理の加速化のみが原因ではないことも記しておく。

また未処理部分が少なくなるにつれ、より困難な場所での作業が必要となるため、災害廃棄物の処理状況は数字の上では、その歩みを遅くしつつある。グラフのカーブが明らかにゆるやかになっていることからも、その実情は明らか。ともあれ最新の2013年11月30日時点で災害廃棄物の処理は9割を超え、津波堆積物もようやく8割に届いた。

今回月までの値を基に単純計算をすると(震災直後の混乱期における処理不可能状況を半年と試算。2013年11月30日時点で約27か月の処理期間が得られたと仮定する)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するまでにあと約2.6か月、津波堆積物はあと約5.8か月ほどかかることになる。来年の夏頃までには災害廃棄物の処理に関して、事実上の終了宣言が出せそうな雰囲気ではあるものの、震災から3年以内の終了、つまり2014年3月中の100%達成は難しそうだ。

全体進捗率は87.6%…進行現状のまとめ


最後に現時点での処理状況を一目で把握できるよう、各県ごとの災害廃棄物と津波堆積物双方(つまり「震災がれき」全体)の処理済み・未処理トン数、さらには総重量に対する処理進捗状況を公開値から当方で独自に算出し、その値を元にグラフを生成する。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年11月30日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年11月30日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年11月30日時点)(対全体進捗比率)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年11月30日時点)(対全体進捗比率)

一色で塗りつぶされている部分が処理済、ぼかし効果のある部分が未処理(現場に置かれたままのものだけでなく、仮置き場に移されたものも含む)。「震災がれき」の処理進捗・現状がよく把握できる。現時点では震災がれきの処理は87.6%まで進んでいる。

今グラフのうち、特に万トン数の積み上げグラフから見るに、今なお339万トンもの震災がれきが処理されず、仮置き場や現場に残されている。引越しに使われることもある大型の4トントラックなら85万台分、戦艦大和(満載時、7.11万トン)ならば約48隻分と表現すれば、その量がイメージできよう。

震災から間もなく3年に届こうとする昨今でも、復興目指して現場で作業を進める関係者、そして後方各面で作業をする方々の労苦がしのばれる。同時に、さまざまな想いを去来させるがれき群を、この時期に及んでもなお視野に収めねばならない現地の方々の心の痛みの深さは、想像を絶するものがある。

復興、さらには飛躍につながる、次なる一歩を確実なものとするため、関係者の作業の障害となるものを極力取り除けるよう、心から願ずにはいられない。


■関連記事:
【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】
【震災がれき広域処理、賛成派88.3%・反対派8.9%】(2012年8月)
【「がれきの撤去」はまだ半ば…被災三県がボランティアに望むこととは】(2011年11月)

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