各国とも安定化へ、ウクライナとプエルトリコは情勢変わらず(国債デフォルト確率動向:2013年12月)

2013/12/15 15:00

国債・公債などの債券の危険性を示す指針の一つ「CDS(Credit default swap)」を基に、逐次算出されている国・地域の国公債のデフォルト確率を表す指標「CPD」。当サイトでは主要国の中でも財政・債務においてリスクが高い国々の動向や経済情勢の目安となるよう、毎月定期的(毎月15日)にこのCPDの上位国の動向、さらにはそれをベースにした周辺環境の確認を行っている。今回は本日、2013年12月15日に取得した値をグラフ化し、現状の精査を行う。

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CDSや、国公債のデフォルト確率を表す言葉「CPD」(5年以内のデフォルト可能性を示す)の詳しい定義、今件データの取得場所、そして各種概念の説明は【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で行っている。必要な場合はそちらで確認をしてほしい。

今グラフは日本時間で2013年12月15日、本日先程取得したばかりの一番新しいデータをもとに作成している。前回月も値が取得できた国・地域は前回値を併記している。今回はポルトガルが前回月では上位10位以内に無かった国として登場していることもあり、同国の前月分には「NO DATA」が記載されている。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年12月15日時点)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年12月15日時点)

2007年夏に端を発した直近の金融危機、そして不況。欧州ではそれと前後して各国、特に中堅諸国の債務問題が露呈化している。特にギリシャとスペインの財務状態の酷さは大いに注目を集め、各種動向は日本においてですら毎日のように伝えられた。しかしその状況も最大の山場を越えた雰囲気を覚える日々が続いている。特に今年半ばあたりからは安定感すら覚える。

無論危機的状況は続いており、関係各方面では誠意的な努力が続けられている。しかしかつてのような「すぐにでもあの国は破たんしかねない。そしてもしそうなったらドミノ的な破たんが起き、前世紀前半のような世界的大恐慌が発生しかねない」という類の危機感を覚えさせる状況では無い。これは当事各国、包括する欧州委員会、ECB(欧州中央銀行)などの組織による尽力と、経験則を基にしたより正しい道のりへの選択(経済再成長の道筋を明確化した上での財政適正化)によるところが大きい。

今回月の動向を具体的に見ていこう。上位10か国では前月15日と比べるといずれも数字を落としている。つまりそれだけリスクが軽減されていることになる。トップのアルゼンチンですら65.22%と前月から5%ポイント程の低下。かつて最上位の常連で90%超えも当たり前だったギリシャは35.27%と(それでも上位入りしているには違いないが)かつての高値が嘘のような状況である。

数か月前から大きな動きを示している、つまり情勢が不安定なプエルトリコだが、今回月ではウクライナ同様、数少ない「先月とほとんど変わらない」国に挙がっている。アメリカ本国がまた財務問題でドタバタし始めており、あるいはそろそろその影響を受けかねない状況にあるのは事実だが、少なくとも現時点では「まだ心配は要らない」と市場は判断しているようだ。

他国が情勢鎮静化と判断される一方、プエルトリコ同様に状況不安定感が継続していると認識されているのがウクライナ。同国では先日、EUとの関係を強化する「連合協定」の締結を見送る一方で、ロシアとの関係強化を模索する方向へ政策転換を実施。これに反対する勢力がデモを繰り広げるなど、混沌とした情勢が続いている。同国の債券や通貨は下落し、各国が懸念を表明している。アメリカでは一部議員による、制裁措置の検討も叫ばれているほど。


↑ ウクライナの首都キエフで発生した反政府デモ。レーニン像が引き倒される事態に。【直接リンクはこちら:レーニン像を引き倒す、ウクライナの首都キエフで反政府デモ(字幕・9日)】


↑ ウクライナの反政権デモによる、治安部隊との衝突を伝える映像。【直接リンクはこちら:ウクライナ反政権デモ、治安部隊とデモ隊が衝突】

ロシアのプーチン大統領は13日付で、ロシア主導の「関税同盟」への参加を呼び掛けるなど、ウクライナを巡る駆け引きは継続。同国内でも主要閣僚が「連合協定」への近い将来における署名について言及するなど、内外を問わず混沌化の様相を呈している(一部ではロシアが当て馬に使われているとの見方もあるほど)。各国の動向次第では、ウクライナのCPDがさらに上昇する可能性は多分にある。



日本はCPD上位を示す上記グラフにその名前は無く、それだけCPD値が低い=デフォルトのリスクが低い状態にある。日本の債務状態が、例えばギリシャのような欧州諸国のハイリスク国と同じ状況であると語る識者もいるが、少なくとも市場関係者間では、そのような解釈はなされていないことが分かる。

今リストに無い、つまりリスク上で上位に無い諸外国の動向は、四半期毎に公開されるCMD Visionのリスクレポートの最新版(【CMA Release Global Sovereign Credit Risk Reportの一覧ページ】)で確認できる。そのレポートによると日本のCPDは5.2%、順位は低い方から数えて19位。前四半期と比べると値は改善、相対順位は変わらず。詳しくは【日本の順位変わらず・数字はやや改善(国債デフォルト確率動向:2013年Q3)】で解説しているので、そちらで確認してほしい。

欧州では上記にある通り、一部で大国間の綱引きによる情勢不安定化が見られたり、債務的に負荷の大きい国と支援を行う国・組織との間の駆け引きが続いているが、以前と比べれば情勢は安定化に向かいつつある(少なくとも悪化には見えない)。他方アメリカでは欧州とはまた別の次元において、財務上の問題が悪化している雰囲気がこの半年の間にひしひしと伝わってきている。また断片的に伝わってくる中国関連の財政問題も、市場に不安の影を落としている。

先月のベネズエラ、今月のウクライナのように、政治上の大きな混乱が生じた国、特に新興国においては、その動きが過敏なまでにCPDに反応として表れる。冒頭でも触れたが、CPDは経済動向に関する一種の早期警戒レーダーのようなもの。今後も月一という比較的長い間隔ではあるが、CPDの上位国の動向を精査し、世界規模での経済の現況を推し量ることにしよう。


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