今年一年のゲーム関連企業を時価総額の動きから振り返ってみる(2013年)

2013/12/14 20:00

今年もあと半月を残すばかりとなったが、振り返ればゲーム業界では多種多様な出来事が起き、時代の躍動を感じさせる一年であった。とりわけ世間に加速度的な浸透を進めるスマートフォンに絡んで、ゲームアプリが大いに売り上げを伸ばし、販売企業の業績を底上げし、株価に小さからぬ影響を与えたことは、多くの人の記憶に残っている。今回はスマートフォンに焦点を当て、日本国内の主要ゲーム関連企業をピックアップし、今年一年における株式の時価総額の動向を確認し、状況を把握していくことにする。

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大きく飛躍するガンホー、その原動力はスマホの「パズドラ」


今回スポットライトを当てるのは株式時価総額。これは「株価」×「発行株式総数」で算出されるもので、簡単に言えば「その企業の価値」。時価総額が大きいほど、その企業は規模も大きく、価値の高い存在であり、勢いも有している。少なくとも市場からはそう見られている。

今回スポットライトをあてる企業は、ゲーム業界大手の任天堂、スクウェア・エニックス、携帯電話向けゲーム大手のガンホー、GREE、DeNA。そして今夏に類似主旨の記事を展開した際には登場していないが、先日から「モンスターストライク」で話題を集めているミクシィを追加した(他にも上場ゲーム企業は多数存在するが、時価総額や携帯電話向けソフトをメインにしていないことから、今回は取り上げていない)。この6社の株式時価総額に日経平均株価動向をかぶせる形で、今年1年間の値動きを盛り込んだのが次のグラフ。

対象とした企業内で一番目立つ動きをしているのがガンホーであることから、同社の主な出来事について注釈を吹き出しで加えている。また今回追加したミクシィについても、直近の大きな出来事、「モンスターストライク」の関連リリースが出た件も注釈を追加した。

↑ 主要国内ゲーム関連企業の株式時価総額比較(各社は億円、日経平均株価は円)(-2013年12月13日)
↑ 主要国内ゲーム関連企業の株式時価総額比較(各社は億円、日経平均株価は円)(-2013年12月13日)

色々な意味で今年一番ゲーム業界、そして株式投資業界を引っかき回し、大きな動きを見せたのがガンホー。同社が2012年2月にリリースした、スマートフォン向けパズルゲーム『パズル&ドラゴンズ』(パズドラ)が、「超」をつけても誰もクレームをつけないであろうほどのヒットを見せたのが原因。今年3月12日にはダウンロード数が大台となる1000万を突破。決算も売上で2.7倍・営業利益が7.9倍に達したと公知されたことで、勢いが付く形となる。

同社の株式時価総額は4月にはこちらも大台となる1兆円を突破。同業他社のDeNAやGREEをはるかに超え、スマートフォンにおけるソーシャルゲームの成功事例として、国内だけでなく国外でも広く伝えられることとなった。特に株価の上昇(時価総額が増えているのは、株価が上がっているからに他ならない)度合いは目を見張るものがあり、「ガンホーにつづけ」「第二のガンホー銘柄を探せ」とばかりに類似企業への注力も高まり、またその注目ぶりはスマートフォン向け自社開発ゲームアプリ市場をさらに活性化させる原動力となった。

そして5月下旬にはほんのわずかな期間ではあるものの、時価総額の上でガンホーはあの任天堂すら追い超してしまう。ある意味同社の興隆を示す印象的な出来事として、多方面で話題となった。

しかし同社の時価総額上の勢いもそこがピーク。主軸タイトルの「パズドラ」は相変わらずダウンロード数を積み増しし、海外展開や他プラットフォームでの発売決定、各種関連グッズの発売など、さらに拡散する勢いを見せるものの、株価は下落。時価総額も落ち着きを見せるものとなる。とはいえ年末の現時点でも、年初と比べれば5倍以上の勢いを維持しているから、大したものである。

コンプガチャと一般携帯からの脱却に手間取る各社


一方、GREEやDeNAは去年の「コンプガチャ」問題の痛手から回復しきれていないこともあり、株価は横ばい。それに伴い時価総額も大きな変化は無く推移している。年末にかけてGREEではやや復調の兆しが見えているものの、かつての勢いは見られない。両社の財務諸表などを確認しても、増加する経費、落ち込む売上など、頭の痛い問題が随所で見受けられる。

理由は多種多様に及ぶが、「コンプガチャ」以外であえて一つだけ挙げるとすれば、上記ガンホーとは対照的に、一般携帯電話(フィーチャーフォン)からスマートフォンへの開発ラインのシフトが遅滞した、十分でなかったことが挙げられよう。無論両者とも現在では多数のスマートフォン用アプリの展開を始めており、攻勢をかけている。しかし少なくとも時価総額上では、その成果は見えてこない。

ここまで急速に、特にゲーム世代となる若年層にスマートフォンが浸透し、注力がスライドするなど、予想するのは難しかったに違いない。また一般携帯電話で大成功をおさめたからこそ、スマートフォンへのシフトが難しかったともいえる。

スクウェア・エニックスは今夏以降、少しずつだが確実に時価総額を積み増ししている。同じタイミングで数多くのオンライン系ゲームの展開が成され、それが好評を博していること、スマートフォンなどへの展開を積極化したことなどが評価されているものと思われる(財務上も11月発表の2014年3月期・第2四半期では純利益で黒字転換を果たしている)。


↑ 先日展開を開始した『ドラクエVIII』のスマートフォン版。動作の上での評価は高い。【直接リンクはこちら:スマホ版『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』プレイ映像】)

最後のミクシィだが、こちらもゲームがメイン事業では無いものの、一般携帯からスマートフォンへのシフトが遅れていることで、低迷を続けている。ところが10月10日に配信を開始した「モンスターストライク」が大ヒットの様相を見せ、12月2日には利用者数が30万人を突破したと公知。スマートフォンのゲームであること、そして元カプコン専務取締役岡本吉起氏が制作に参加していることもあり、話題性・期待感で注目が集まり、「第二のガンホー・パズドラか」との連想から株価は沸騰。それと共に時価総額も盛り上がりを見せる。


↑ 昨今のミクシィでの注目株「モンスターストライク」。【直接リンクはこちら:モンスターストライク】

しかし5日連続ストップ高の後、ストップ安が続く状況が続いており、当然時価総額も下落のさなかにある中で、今に至る次第となっている。



ガンホーの「パズドラ」による成功譚は極端な事例だが、今回取り上げた各社に限れば、今年一年は「スマートフォンの急速な普及」を基盤とし、その流れに乗れた企業が概して業績を上げ、評価を受け、時価総額を底上げした感は強い。要は「スマホの波に乗った勝ち組」が時価総額を上昇させたといえる。もっとも本文中にもある通り、多くの関連企業にとって、この1、2年でここまで急速にスマートフォンが浸透するとは思いもよらなかっただろう。

来年はさらにスマートフォンの普及が進み、市場そのものは拡大していく。しかしそれ以上に供給側の参入が増えることから、多分に供給過多に陥る可能性はある。よほどの実力と発想力、そして幸運が無い限り、「第二のガンホー、パズドラ」は登場しえないと思われる。

もっとも市場が大きければ大きいほど、多種多様なアイディアのもとに創られた作品は投入されやすくなる。市場情勢と需要を正しく見極め、創り手が存分に実力を発揮し、幸運の女神に微笑まれるタイトルが、今まさに生まれるべく、プランナーによって企画が書類にまとめられている、スタッフが必死に制作を続けている、あるいは最終チェックを受けているのかもしれない。


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