ネットの伸び、雑誌やラジオのマイナスは続く(経産省広告売上推移:2013年12月発表分)

2013/12/11 14:30

経済産業省は2013年12月9日付で「特定サービス産業動態統計調査」に関する2013年10月分の速報データ(確定値に先立ち公開される値)を、同省公式サイト内で発表した。その公開値によれば、2013年10月の日本の広告業全体における売上高は前年同月比でプラス4.4%となり、増加傾向にあることが分かった。今件記事で精査対象となる5項目(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット)中では「雑誌」「ラジオ」が共にマイナス6.1%となり、2項目がマイナス値を示している(【発表ページ:経済産業省・特定サービス産業動態統計調査】)。

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ネットは18.0%と大幅プラス、テレビも3.0%と伸長


「特定サービス産業動態統計調査」に関連する解説は、それらの精査記事をまとめた【定期更新記事:4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】に記載している。必要な場合はそちらで確認のこと。

↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2013年9-2013年10月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2013年9-2013年10月)

前月分からの動きが分かりやすいよう、前回記事分(2013年9月分)データ(確定値に修正済み)と並列してグラフ化している。今回月では従来4マスはすべて前月と比べて値を落としているが、そのうち「ラジオ」と「雑誌」がマイナス領域にあるものの、「新聞」と「テレビ」はプラスを維持している。

「テレビ」は上げ幅を縮小したものの、その金額の大きさを考慮すると健闘していると評価できる。他方「インターネット広告」は堅調さが続いており、今件記事で取り上げている5項目では最大の伸び率、18.0%のプラスを見せている。

該当月、つまり2013年10月における大手広告代理店電通・博報堂の売上動向に関する記事【ネット飛びぬけ、一般も強い、電通は新聞・テレビが強め(電通・博報堂売上:2013年10月分)】で類似項目の動向を確認すると、「インターネット広告が大きく増加」「電通に限るが新聞とテレビが伸びている」との動きが確認できる。もっとも電通の新聞・テレビ双方とも前年同月の落ち込みの反動によるところが大きい。案の定、今件「特定サービス産業動態統計調査」でも、1年前の2012年10月分の「新聞」の値はマイナス8.3%、「テレビ」はマイナス7.9%。双方とも多分に反動によるプラスだと考えられる(2年前同月比ならば当然共にマイナスとなる)。

ちなみに4マス+ネット以外の一般広告の動向はこちら。

↑ 4屋外広告などの広告費・前年同月比(2013年10月)
↑ 4屋外広告などの広告費・前年同月比(2013年10月)

屋外広告は比較的健闘しているが、それ以外の主要広告はあまり調子が良くない。起伏の激しい海外広告はともかく、折込・ダイレクトメール広告は昨年同月もマイナス値を示しており、この一年強ほどは概してマイナス領域で推移している。費用対効果が薄いという認識が浸透しつつあるのだろうか。

新聞飛躍するもネットには届かず


今回も該当月(2013年10月分)における、各区分の具体的売上高をグラフ化する。広告代理店業務を営む日本の企業は、最大手の電通と博報堂のみだけでは無く、そして各広告種類の区分が業界内で統一されておらず、当サイトで月次更新している【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】との額面上での完全一致性は無い。

↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年10月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年10月、億円)

金額面では「インターネット広告」が「新聞」を超える月が継続中である。【どちらが優勢か…新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる】で解説しているが、2011年3月以降は継続して「インターネット広告」の金額が上の月が続いている。今回月で両者の関係は19か月続いており、今件5項目中では「テレビ」に次ぐポジションが固定化されつつある。

その「インターネット広告」は、他メディアと比べると起伏が大きいことも特徴の一つ。これは広告出稿・展開上の機動性・柔軟性の高さを示している。一方、グラフ化をするとこの一、二年では成長率が鈍化しているのが目に留まる。

↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2013年10月)
↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2013年10月)

次のグラフは今件記事で対象としている5項目、そして総計について、公開されているデータの中期的推移を示したもの。今調査で「インターネット広告」の金額が計上されはじめたのは2007年1月以降なので、それ以降に限定した流れを図にしている。

↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年10月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年10月分まで)

各媒体の動向が顕著に表れる図が生成された次第だが、特に「雑誌」「新聞」の低迷ぶりが気がかりとなる。両者は従来型の4マス、そして紙媒体という共通点を有しており、この共通項がここ数年のメディアのすう勢を左右する要因であることも連想される。

また、グラフ描写期間中には金融危機(2007年晩夏)、リーマンショック(2008年秋)、東日本大地震・震災(2011年春)と、広告費の上ではマイナスとなりうる事象が3件も発生している。当然、各項目ともそのタイミングで広告費が落ちているが(特にリーマンショック後の下落ぶりが著しい)、下落度合い、そしてそこからの回復の仕方や程度に、メディア毎の差異、そしてそこから個々の柔軟性、事態への対応度の違いが透けて見えてくる。



オリンピック招致決定による特需はすでに終焉を迎えており、今後は実態に伴った、少しずつ、そして確実な需要増加に期待がかかることになる。もっとも明確にその変化を見るには、当のオリンピックが開催される当年、早くても前年を待つ必要があるだろう。

今後は直近においては、消費税の引き上げに伴う消費者の消費性向の変化(来年春までは駆け込み需要、それ以降はその反動などによる需要の冷え込み)が大きな広告需給の影響要因となる。またそれとは別に、中長期的な流れとして、スマートフォンの普及浸透に伴う「受け手個人へのアピールの仕組み」の切り口の多様化、変化なども、広告業界への作用要因となる。

震災やリーマンショックの際のようなダイナミックな動きこそないものの、数か月、いや数年単位で変化を確認し、はじめて分かるようなゆっくりと、しかし確実な動きがあるに違いない。例えば「インターネット広告費」が「新聞広告費」に追いつき、追い越した状況のように。


■関連記事:
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2012年版)(上)…4マス+ネット動向編】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2012年版)(下)…ネット以外動向概況編】
【5年ぶりに前年比プラスの3.2%・総額5兆8913億円…過去20余年の媒体別広告費動向(2013年発表)】

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