食料価格は概して安定、油脂がやや値上がりか(2013年11月分世界食糧指数動向)

2013/12/07 14:00

2013年12月6日付で国連食糧農業機関(FAO、Food and Agriculture Organization)は、同機関が毎月定期的に算出の上公開している【世界食料価格指数(FFPI:FAO Food Price Index)】の2013年11月分について発表を行った。この値は1990年以降にFAOが世界の食料価格の変化を月単位で定期的に集計、計算した上で発表しているものである。今回はこの各種値の11月分の最新発表値を基に、独自に複数のグラフを生成し、世界規模での食糧価格の推移を精査していくことにする。

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金融危機の上昇と反動による下落を経て、安定化の流れか


今記事中にあるデータの取得元、各種用語の解説に関しては、一連の記事のまとめページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で行っている。必要な場合はそちらで確認のこと。

最初に生成するのは、公開データとしては最古の1990年1月から現時点の最新値(2013年11月分)までを反映させた、FAOで公開されている全データを用いた折れ線グラフ。前世紀終盤以降の中長期的な食料価格の変移が、俯瞰的に確認できる。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2013年11月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2013年11月)

砂糖は価格変動性が高い食料品として知られており、実際その値動きを今グラフの動向で確認できる。砂糖の指数動向を示すオレンジ色のグラフ線が、他食料品と比べてダイナミックに動いている。それ以外の項目は大きな動きは無く、2005年前後までは下限を50、上限を150とした領域での値動きに留まっている。いわゆる「ボックス圏内」というものだ。

ところが2005年終盤以降は、全体的に少しずつ上昇機運を有するようになる。直近の金融危機のきっかけ「サブプライムローンショック」(2007年夏-)の時期には、これまでには見られないほどの急激な上昇を示す。これは株式市場の低迷、というより暴落で投資先を失った投資資金が商品先物に流れ込み、食料品価格を(食料品として消費する意味での需給そのものとしてではなく)思いっきり釣り上げたからに他ならない。その後は反動による急降下、そして「リーマンショック」(2008年9月以降)による乱高下の末、現在の高値安定の動きに至る。2007年を区切りとし、1990年代と比較すると平均がほぼ2倍から2.5倍に突如底上げている。

直近では2011年後半期から少しずつ値を落としている。また砂糖に限れば急速な下落を示し、他の指数に近づきつつある。そして砂糖以外では穀物と油脂の下落、乳製品の上昇という動きはあるものの、この2年ほどは比較的安定した動きが続いている(200プラスマイナス50を領域にしたボックス圏か)。

続いて、グラフ生成開始時期を食糧市場にも大きな影響を与えている金融危機が勃発した2007年に合わせ、対象期間を短くし、金融危機以降の動向を確認する。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2013年11月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2013年11月)

2010年初頭からジェットコースターのような急落と急上昇が砂糖指標で起きている。これは砂糖相場での過熱感と豊作による急落、そして需給状態を受けての再上昇の動き。その後2011年中旬の約400が天井となり、昨今では豊作による供給過多に加え、世界的な景気後退による甘味需要の減少をトリガーに漸減傾向にある。ここ数か月では景気回復感を受けてか、減少傾向は終わり、再び増加の兆しが見受けられる。

またそれ以外ではこの1、2年において穀物や油脂の急落、乳製品の急上昇、さらに油脂に関してはこの数か月における上昇の気配が見受けられる。

前月比と前年同月比の動き


昨今、さらには直近の食料価格の動向確認のため、各指標の元値から「前年同月比」と「前月比」をそれぞれ当方で独自に算出。数字の変移が分かりやすいようにしたのが次のグラフ。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2013年11月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2013年11月)

総合指数は前月比でマイナス0.2%と先月から転じてわずかに減少、前年同月比ではマイナス4.4%とこちらは先月同様の下落。昨年は大きな下落が起きていたものの、直近ではほとんど値動きが無い様子が確認できる。

個別項目を見ると、前年同月比では乳製品が唯一大きなプラス。これは先月から変わらずで、直上の折れ線グラフにもある通り、この1年で大きく値を上げていることが分かる。一方穀物・砂糖の2項目が大きなマイナスで、こちらも先月からの継続。こちらは乳製品とは逆で、この1年で大きな下落を示したが、ここしばらくは安定した値動きであることになる。

昨月上昇気配のシグナルを発したように見えた砂糖だが、今回月では前月・前年同月比共にマイナス。特に前月比では各項目中最大の下げ幅を示している。一時的な反動か、あるいは上昇機運が頭打ちとなったのかもしれない。

砂糖の上昇についてリリースでは「砂糖の最大の生産国かつ輸出国であるブラジルにおいて、収穫予想の改善が原因。また米ドル安も影響を与えている。全般的に砂糖は供給余剰の状態にあるが、多分に不確実性が大きく、価格面でも(通常以上に)不安定な状態にある」と説明している。世界経済が回復基調にあるのなら、砂糖の需要も増加し、それに伴い価格も上昇していくはずたが、少なくともこの数か月においては明らかな上昇機運は無い。もっとも昨今の水準でも5年前と比べれば7割増し程度にまで値を上げており、高値には違いないのだが。

農林水産省のレポートで現状を確認


今記事で毎月精査している【農林水産省の海外食料需給レポート】の2013年11月分で最新の動向を確認すると、国際的な穀物需給については、小麦・とうもろこし・大麦・米で生産量が増加し、史上最高の量となる見込み。消費量も小麦・とうもろこし・大麦・米の全項目で増加し、こちらも史上最高の量となる見込みが続いている。そして期末在庫量見込みは生産量が消費量を上回ることから、上昇する傾向を示している(4億8260万トン、生産量比で20.1%(期末在庫量÷消費予想値で計算))。

在庫が漸増を続けているのは、昨年の異常気象に伴う食糧生産量の減少に伴う反動が主要因。一方で消費量の増加は新興国の食料用需要以外に、飼料用、そしてエタノール用需要が増加していることに伴うもの。特に新興国で飼料用需要が増加していることは、今後さらなる需要増を示唆していることから(生活水準の向上による、より大量の穀物を消費する家畜関連の食品の需要が増加しうる)、穀物相場の上昇につながる可能性がある。昨年のように天候不順などで生産量が減退すれば、価格上昇の引き金にもなりうる。動向には十分留意したいところだ。


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