足りる? 何とかなる?? 足りない!? 年金に対する考え方をグラフ化してみる(最新)

2018/12/29 05:17

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2018-1217医学の発達、社会的インフラの向上などを受け、平均寿命は年々伸びて行き、その結果として日本では加速度的に高齢化社会へと突入しつつある。それとともに社会保障制度の一つである年金問題が大きくクローズアップされている。受給時期にまで歳を重ねた際、果たしてその額で日常生活をまかなうことはできるのか否か、足りないと考えている場合、その理由はどこにあるのか。金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年調査・結果の公開を行っている、家計の金融行動に関する世論調査の公開値をもとに、年金に関する心境の現状と経年推移について見ていくことにする(【知るぽると:調査・アンケート公開ページ】)。

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「年金だけでは日常生活もキツい」単身世帯では5割強


まずは年金支給額について、その額(公的年金に加えて企業年金も含め、個人年金は除く。以下同)だけで老後の生活を営めるか否かを尋ねた結果が次のグラフ。単身世帯と二人以上世帯でそれぞれ区分して集計してある。

↑ 年金に対する考え方(単身世帯)
↑ 年金に対する考え方(単身世帯)

↑ 年金に対する考え方(二人以上世帯)
↑ 年金に対する考え方(二人以上世帯)

二人以上世帯で2001年に大きな変化が生じているが、これは同年から「日常生活費程度もまかなうのが難しい」の選択肢部分を変更したため。元々はより緩やかな生活をイメージさせる「年金だけではゆとりが無い」だったため(「ゆとりは無いが、日常生活費程度はまかなえる」とまぎらわしいのが変更の理由だろう)、表現の変更により回答率に変化が生じる次第となった。

経年動向を見ると、意外にも昔から直近まで、年金と老後生活の金銭的な関係において、考え方に大きな差は生じていないことが分かる。あえていえば二人以上世帯では「不自由なく暮らせる」が微減、単身世帯では微増しているぐらいが、中長期的な変化といえるだろうか。少なくとも今調査に限れば、公的年金受給額に関する心境は、昨日今日に騒がれ出した問題ではない

もっとも直近年の2018年に限れば、単身・二人以上世帯ともに「年金でさほど不自由なく暮らせる」「ゆとりは無いが、日常生活費程度はまかなえる」の値が前年から増加をしており、両世帯種類とも統計値のある限りでは両者の合計値が過去最高を計上することとなった。景況感の変化が影響しているのだろうか。

受給開始年齢引き上げへの懸念強まる


公的年金だけで老後の生活をまかなえるか否かについて、「ゆとりは無いが、日常生活費程度はまかなえる」「日常生活費程度もまかなうのが難しい」、要は「ゆとりが無い」とする回答者に、なぜ「ゆとりが無い」と考えているのか、その理由を選択肢の中から2つまで選んでもらった。その結果の直近年分および推移をグラフ化したのが次の図となる。

↑ 年金ではゆとりが無いと考える理由(ゆとりが無い世帯、2つまでの複数回答)(2018年)
↑ 年金ではゆとりが無いと考える理由(ゆとりが無い世帯、2つまでの複数回答)(2018年)

↑ 年金ではゆとりが無いと考える理由(単身世帯、ゆとりが無い世帯、2つまでの複数回答)
↑ 年金ではゆとりが無いと考える理由(単身世帯、ゆとりが無い世帯、2つまでの複数回答)

↑ 年金ではゆとりが無いと考える理由(二人以上世帯、ゆとりが無い世帯、2つまでの複数回答)
↑ 年金ではゆとりが無いと考える理由(二人以上世帯、ゆとりが無い世帯、2つまでの複数回答)

まず直近年分。回答数平均値を見ると、二人以上世帯では1.77個なのに対し、単身世帯では1.57個に留まっている。それだけ二人以上世帯の方が、ゆとりが無い世帯における不安要素が多岐にわたっていることが分かる。もっとも理由の順位に差異はほとんど無く、悩みの中身に大きな違いは無い。両種類世帯とも、最大の要因は「年金が支給される金額が引き下げられる」とするもの。ただし二人以上世帯ではそれに「高齢者への医療費用の個人負担増加」「年金支給年齢引き上げ」がほぼ同率で続くのに対し、単身世帯では「年金支給年齢引き上げ」が単独で続いているのは興味深いところ。

経年変化では、単身・二人以上世帯ともに「支給金額の減額」を懸念する声がもっとも大きいことに違いは無い。また、以前は「高齢者への医療費用の個人負担が増える」ことを心配する人が多かったが、少しずつ減少している。

このグラフ、状況の推移動向からは、「いくらもらえるか」「いつからもらえるか」この2点における懸念が、年金生活における不安を底上げしている現状がつかみ取れる。現実問題として支給金額の減額や、支給開始年齢の引き上げが起きていることから、それらへの心配が増すのも道理ではある。

なお今件調査は「2つまでの複数回答」であり、値が低い要件に関する懸念が無いことを意味しない。例えば医療費用の負担増加や支給年齢の引き上げに対する回答率は減少しているが、それらに対する懸念が鎮静化しつつあるのでは無い、相対的に優先順位が下がっているだけの話でしか無い。そのことに注意する必要があることを書き記しておく。


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