「生活が苦しい」その原因は何か?

2013/12/02 15:30

日本生協連が2013年11月28日に発表した「日本の社会保障制度への意識や考え方に関する調査」の結果によれば、生活困窮者が増える原因について調査対象母集団では「非正規など不安定な雇用が増えているから」と考えている人がもっとも多く、過半数を超えていることが分かった。次いで「一度失敗すると再チャレンジが難しい風潮」「該当者自身の意志が弱くなまけている」などが続いている。回答者の年収別では高年収者ほど「生活困窮者自身に責がある」との認識が強い結果も見受けられる(【発表リリース:社会保障に関する調査を行いました】)。

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生活困窮者増加原因は「非正規など不安定雇用」、だが…


今調査は2013年9月にインターネット経由で20歳から79歳を対象に実施されている。男女比・世代構成比は日本の年齢・性別比でウェイトバックが実施済み(60-70代はまとめて算出。そのうち70代は出現に任せる形のため、70代の回答者数が実人口配分よりも少なめとなっている)。

生活困窮者が増える原因について、複数選択肢を提示し、同意できるものに回答してもらったのが次のグラフ。ただし設問では「生活困窮」という言葉そのものに関する具体的な説明は無く、文字面から回答者が推測し判断することになっている。

↑ 生活困窮者が増える原因と思われるもの(複数回答、3つまで)
↑ 生活困窮者が増える原因と思われるもの(複数回答、3つまで)

トップは「非正規など不安定な雇用が増えている」で唯一過半数の53.3%。これは収入源の不安定化、低水準化により、生活が困窮しかねない状況を思い起こせば、十分理解できる結果ではある。

一方、この項目の設問では「現在、非正規雇用者の増加などを背景に、所得の格差は広がっています。そうした中、高齢者だけでなく若い世代でも生活が困窮する人が増えています。生活困窮になる人の原因は何だと思いますか」との文言が用いられており、質問の時点で具体的に「非正規雇用の増加などを背景に」と、トップとなった選択肢を肯定するかのような説明が行われてしまっている。これでは回答者が多分に、この選択肢を選ぶよう誘導されかねない。今選択肢の高回答率については、この点も留意しておく必要がある。

次いで「一度失敗すると再チャレンジが難しい風土」が41.0%で高い値を示している。一度失敗すると再挑戦ができず、生活が困窮した状態を継続せざるを得ないという実情は、よく見聞きする話であるだけに、高回答率も納得がいく。

生活困窮者自身に責を求める意見、例えば「その人たちの意志が弱くなまけている」や、富の独占による結果だとする回答も少なくない。

「生活困窮者自身に責がある」の意見は高所得者に多い


これら選択肢のうち一部、生活困窮者の自責や社会的負担が大きいからとするものなどについて、回答者の年収別に再整理した結果が次のグラフ。

↑ 生活困窮者が増える原因と思われるもの(複数回答、3つまで)(一部、回答者年収別)
↑ 生活困窮者が増える原因と思われるもの(複数回答、3つまで)(一部、回答者年収別)

「生活困窮者自身に責がある」を意味する「その人たちの意志が弱くなまけている」、社会情勢からそのような状態に追い込まれる人が増えるのは仕方ないとする「社会進歩の過程では増加は避けられない」は、共に高年収者ほど同意意見が増える傾向がある。社会システムそのものに問題があるわけでは無い、あきらめねばならないとする意見だ。年収が生活の困窮の有無とすべてリンクするわけではないが、深い関係があることを考えれば、「(回答者)自身は生活困窮者では無い状態にあるのだから、社会が悪いからとは一概に言い切れない」とする認識が回答率にも反映されているのだろう。

一方、「税金や社会保険料の負担が大きい」とする回答は、低所得者の方が多い。回答者自身が生活困窮者に該当する場合も含め、低所得ほど租税公課による生活への圧迫を実体験しており、それが高回答率につながっている。

また低所得者層では「分からない」とする回答率が高いのも特徴。この傾向の原因は不明でリリースにも解説は無い。問題意識が薄い、あるいは考える余裕すら無いことこそが、生活困窮の状態に陥りやすい原因なのかもしれない。


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