確定発行枚数は14億4000.1万枚…年賀葉書の発行枚数(最新)

2024/01/18 02:42

このエントリーをはてなブックマークに追加
2024-0117以前掲載した解説記事【少しずつ、確実に減る「ハガキの年賀状」利用者】の通り、年賀葉書の利用状況は少しずつだが確実に減少を続けている。人口の減少、他人との付き合い方の変化、慣習に対する姿勢の移り変わり、核家族化など多種多様な理由が考えられるが、やはりインターネットとソーシャルメディアの普及によるところが大きいと見て間違いはない。それでは具体的に、日本郵便(かつては日本郵政公社)が発行している、年賀郵便用の年賀葉書(はがき)の発行部数はどのような変化を見せているのだろうか。今回はその動向をまとめることにした。

スポンサードリンク


初年は1949年・1.8億枚、ピークは2003年の44.6億枚


日本の郵便行政における年賀葉書の発行は戦後、1949年発行・1950年用のものが初めて(年賀郵便用の年賀切手は戦前から発行されていた)。その当時の発行部数は1億8000万枚。以後日本の経済復興、人口の増加に伴い枚数を漸増させながら、1964年には10億枚、1973年には20億枚を超える。その動向をまとめたのが次のグラフ。直近の動きを分かりやすくするため、今世紀に限ったグラフも併記した。なおデータは古い部分について日本郵政公社時代の「年賀葉書まめ知識」のページをキャッシュから取得、近年の分は日本郵便のリリースから随時取得している。

直近2023年発行・2024年用のデータに関しては、2024年1月17日に発表された【2024(令和6)年用年賀はがきおよび寄付金付お年玉付年賀郵便切手当せん番号の決定】にある確定発行枚数の値を用いている。それによれば2024年用年賀葉書の確定発行枚数は14億4000万1100枚。ちなみに2023年用の確定発行枚数は16億7690万8000枚だったので、前年比はマイナス約14.1%。

なお2024年用年賀葉書の当初発行枚数は14億4000万枚で、確定発行枚数はそれから1100枚しか増加していない。ここまで当初発行枚数と確定発行枚数との差が少ないのは、ここ数年の記録にある限りでは前例がない。

↑ 年賀葉書発行枚数(万枚)
↑ 年賀葉書発行枚数(万枚)

↑ 年賀葉書発行枚数(万枚)(2001年以降)
↑ 年賀葉書発行枚数(万枚)(2001年以降)

ピークは2003年の44億5936万枚。それ以降は多少の起伏を見せながらも漸次枚数は減少。直近15年間は連続で前年比マイナスを記録している。前年比でプラスを示した最後の年となった2008年は、【プリントゴッコ国内販売終了・個人向けプリンタ普及で】で報じている通り「プリントゴッコ」のメーカー販売が終了した年であり、年賀葉書の今後の動向を象徴する出来事の一つであったかのように思えてくる。

人口あたり枚数を算出


「人口は漸減状態なのだから、年賀葉書の需要が減るのも当然では」との意見もある。そこで各年の人口を総務省統計局の人口推計から抽出し(各年10月、直近年は確定報の最新月)、その人数で年賀葉書発行部数を割った値、つまり「日本にいる人全員が年賀葉書を購入した場合、一人あたり何枚になるのか」を算出したのが次のグラフ。

↑ 年賀葉書一人あたり平均枚数(枚)
↑ 年賀葉書一人あたり平均枚数(枚)

もう少し起伏に富んだグラフを期待していたのだが、実際には年賀葉書の発行部数の推移とほとんど変わらない形のものが形成されてしまった。これは人口推移そのものが短期間では急激な変化を示しているわけではないことに起因する。そしてピーク時も発行枚数と同じく2003年。平均枚数は34.9枚。直近2023年発行・2024年用分は11.6枚(確定発行枚数で計算)となる。

この「人口」には年賀状を出せない乳児など、そして年賀状を出さない人も含まれている。年賀状を出す人に限れば、一人あたりの平均購入枚数はもう少し上乗せされるはずである。ただし企業などでまとめて出す場合も多々あるため、一般個人としての平均値は、やはり上記算出値程度になるのかもしれない。



インターネットの普及率が今後も上昇を続け、デジタルネイティブ世代が次々と成人化するに連れ、年賀葉書の需要は今後も減少し、発行枚数も減らさざるを得ない事態が続くものと考えられる。時代の成り行きとはいえ、寂しさを覚える人もいるだろう。

余談ではあるが「年賀葉書まめ知識」には、年賀葉書のお年玉賞品のうち最高等級の品目推移も記録されている。それによると1949年発行分はミシン、以後写真機やタンス、家具一式、電気洗濯機、タンスなどが登場し、日本の家電商品、あるいは日常生活における「憧れ」とされていた調度品の変遷が面白いように把握できる。例えば電子レンジが初めて登場したのは1983年発行分となっている。

また【年賀はがきの1等賞金が10万円になったとの話】でも伝えている通り、2013年発行分から現金の賞金がくじの賞品に加わったが、2015年発行・2016年用の年賀はがき以降に関しては、これが10万円に底上げされる形となった(その分当選確率は1/10、「100万本に1本」に減少する)。さらに2019年からは当選割合はそのままで1等賞品の現金の金額が30万円に、3等のお年玉切手シートの当選割合がこれまでの「100本に2本」から「100本に3本」へとアップしている。それ以降も逐次、趣向を凝らした賞品が追加されている。

2024年用の年賀葉書に関するお年玉賞品の具体的ラインアップは次の通り。

・1等(6けた)…100万本に1本
 現金30万円または電子マネーギフト31万円分または2023年発行特殊切手集と現金20万円

・2等(下4けた)…1万本に1本
 ふるさと小包など

・3等(下2けた)…100本に3本
 お年玉切手シート

賞品の引換は2024年1月18日から7月17日まで。郵便局に当せん葉書・当せん切手を持参のこと。1等や2等の場合は本人の住所と名前の確認ができるもの(運転免許証など)も必要となる。

2024年用年賀葉書の販売は2023年11月1日から2024年1月10日まで(インターネット通販での予約・販売受付は2023年10月23日から12月22日)だった。2025年用の販売などもほぼ同時期になるはずだ。


■関連記事:
【年賀状、出す予定がある人は5割強、平均枚数は40通近く(2015年)(最新)】
【年賀状、メールで送るその理由・「簡単だから」「ゼロ時に送れる」】
【手書きではがきなどの宛名を書く人6割強、年賀状では5割程度】
【「ネット上のみでの知り合いにもハガキの年賀状を贈れるヨ」知ってる人は2割強】
【ちょっと気になる年賀状の問題、宛名書きと手書きメッセージ】

スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS