災害廃棄物処理間もなく9割に…震災がれき処理動向(2013年10月31日時点)

2013/11/30 15:00

復興庁は2013年11月29日付で同庁公式サイトにおいて、「沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況」の最新情報となる、被災三県(岩手県・宮城県・福島県)での「震災がれき」(災害廃棄物等。災害廃棄物と津波堆積物)の2013年10月31日時点の処理進捗状況を公開した。その発表資料の内容によると災害廃棄物の処理は88.5%、津波堆積物は77.0%まで進行していることが明らかになった。今記事では最新情報を含め、これまで復興庁が発表してきた各種「震災がれき」の処理状況の状況を知る値を精査、当サイトの独自指標も合わせ、現状までの動向を確認していく。

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震災がれきは2665万トン、未処理分は424万トンにまで減少


「災害廃棄物」「津波堆積物」「災害廃棄物等」(「震災がれき」)など、今記事に登場する各種がれき関連の専門用語の意味は記事一覧ページ(【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】)にまとめている。必要な場合はそちらを参考のこと。

最初に展開するのは、各対象物の「仮置き場」への搬入状況。災害廃棄物などは災害発生現場から仮置き場に搬送され、各種処分(焼却、埋め立て、再利用など)へと移行される。直接現場から処理現場に運ばないのは、処理工程での混乱防止、作業の円滑化が理由。そして何よりも現場(大部分は生活の場やその隣接地域)からの「がれき」排除を最優先事項としているからに他ならない。全体では10月31日時点で災害廃棄物が95.1%・津波堆積物は93.6%との値が出ている。

↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年10月31日時点)
↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年10月31日時点)

がれき処理の作業進行に従い、仮置き場に運ばれた総量は増加する。一方でがれき推定総量の再計測、解体作業による新たな廃棄物の発生などもあり、今件数字は一方的に上昇するのではなく、発表期間によりいくぶん上下する形となる(実際、前回記事でのがれき総量は2641万トン、今回月では2665万トンとなり、20万トン強増えている)。現状では両方とも9割を超えたが、昨今では状況の変化に伴う加算分・減少分による変化、さらに作業が難しい地域での処理が残っていることから、この数か月間では大きな変化は生じていない。また逆算すると、現時点ですら5%足らずの災害廃棄物・6%強の津波堆積物が「未だに」現場に残されている現実も把握できる。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を示すグラフを作成し、現状を確認する。「処分」には対象の状況次第で多用な手法(単純な埋め立て処分、再生燃料化、素材として売却処分・再利用)がある。【海水利用のコンクリート、大林組が開発・被災地のがれき処理にも有益】も一つの事例。なお今グラフの「未処理」は被災現場に残されたままのものと「仮置場」に搬入されている状態のもの双方を含む。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年10月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年10月31日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年10月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年10月31日時点)(万トン)

上記にある通り全体で災害廃棄物は95.1%・津波堆積物は93.6%までと双方とも9割以上にまで進んでいる仮置き場への集約率と比較すると、処理・処分済み具合が遅れている(グラフ上では「ぼやけた塗り部分の面積=未処理部分」が広い)状況が分かる。特に津波堆積物では未処理部分の面積が大きく、遅れが深刻である状態が把握できる。

この遅延理由としては、「震災がれき」の処理は通常の建築物の取り壊しによるがれきと比べて内容が複雑で量も多いため(何しろ想定されない状況下でがれき化している)、時間がかかることが最大の理由。そのため、それぞれの被災県内の処理だけでは、能力的・物理的に短時間での作業進行は不可能となる(要は行程数・リソースが足りない)。従って「迅速な」処理には被災県だけでなく県外でも併行しての処理が不可欠となる。しかし(昨今ではやや沈静化しているが)、この被災地外での処理に関して、非科学的・感情的な理由を起因とした障害・妨害がある。

がれきの処理無く物理的、さらには心理的な復興への足掛かりは得られない。現場に、仮置き場の廃棄物は時間が経てば処理がさらに困難となるだけでなく、その時間の分だけ周囲の人たちの心を深く、そして広く傷つけていく。スピーディーな処理が強く望まれる。

3/4をようやく超えた津波堆積物処理…全体的な処理の推移


復興庁では同庁公式サイト上で2011年12月時点分以降、災害廃棄物等の搬送動向を定期的に公開している。その公開資料で、処理・処分動向が掲載されたのは2012年2月14日分・津波堆積物は2012年7月31日分から。

それら公開値を逐一取得し、処理状況の推移を折れ線グラフ化したのが次の図。一番右、今回精査している最新値の2013年10月31日時点は、震災から2年以上が経過している。今なお100%にグラフが達していない現状は、遺憾とコメントせざるを得ない。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年10月31日)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年10月31日)

グラフのカーブ度合いを見れば分かる通り、災害廃棄物の処理は去年の年末、津波堆積物は今年の春先から処理ペースが上がっている。しかし、その上昇の一部は「国の直轄処理地域での処理状況が計算から除外された」のが原因のため、処理の加速化のみが原因ではないことを記しておく(無論政情の変化などによる処理加速化が主要因ではあるが)。

また未処理部分が少なくなるにつれ、より困難な場所での作業が必要となるため、災害廃棄物の処理状況はこの数か月に限れば、その歩みを遅くしつつある。グラフのカーブが明らかにゆるやかになっていることからも、その実情が確認できる。ともあれ最新の2013年10月31日時点で災害廃棄物の処理は9割近くとなり、津波堆積物もようやく3/4を超えた。

今回月までの値をを基に単純計算をすると(震災直後の混乱期における処理不可能状況を半年と試算し、2013年10月31日時点で約26か月の処理期間が得られたと仮定する)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するまでにあと約3か月強、津波堆積物はあと約8か月ほどかかることになる。来年の夏頃までには、災害廃棄物の処理に関して、事実上の終了宣言が出せると良いのだが。残念ながら震災から3年以内の終了は難しそうだ。

全体進捗率は84.1%…進行現状のまとめ


最後に現時点での処理状況を一目で把握できるよう、各県ごとの災害廃棄物と津波堆積物双方(つまり「震災がれき」全体)の処理済み・未処理トン数、さらには総重量に対する処理進捗状況を公開値から当方で独自に算出し、その値を元にグラフを生成する。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年10月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年10月31日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年10月31日時点)(対全体進捗比率)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年10月31日時点)(対全体進捗比率)

一色で塗りつぶされている部分が処理済、ぼかし効果のある部分が未処理(現場に置かれたまま、仮置き場に移されたもの、双方合わせて)。「震災がれき」の処理進捗・現状がよく把握できる。現時点では震災がれきの処理は84.1%まで進んでいることになる。

今グラフのうち、特に万トン数の積み上げグラフから見るに、今なお424万トンもの震災がれきが処理されず、仮り置き場や現場に残されている、さらには現場に残されたままとなっている。引越しに使われることもある大型の4トントラックなら106万台分、戦艦大和(満載時、7.11万トン)ならば約60隻分と表現すれば、その量がイメージできるだろうか。

震災から2年をゆうに過ぎてもなお、現場で作業を進める関係者、そして後方各面で作業をする方々の労苦がしのばれるばかり。同時に、さまざまな想いを去来させるがれき群を今なお視野に収めねばならない現地の方々の心の痛みは、想像を絶するものがある。

一刻も早い状況の改善、次なる一歩を確実なものとするため、関係者の作業の障害となるものを少しでも取り除けるよう、心から願いたいところである。


■関連記事:
【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】
【震災がれき広域処理、賛成派88.3%・反対派8.9%】(2012年8月)
【「がれきの撤去」はまだ半ば…被災三県がボランティアに望むこととは】(2011年11月)

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