開発途上国への開発協力はなぜ必要? 最多意見は「資源安定供給に貢献」(2016年)(最新)

2016/03/15 11:58

内閣府は2016年3月14日、外交に関する世論調査を発表した。その内容によると調査時点において、日本国が行っている開発途上国への開発協力について、その実施する理由・意義を聞いたところ、最多同意意見は「エネルギー資源などの安定供給の確保に資するから」で、過半数を占めていることが分かった。次いで「国際社会での日本への信頼を高める必要があるから」「開発協力は日本の戦略的な外交政策を進める上での重要な手段だから」などが続いている。世代別では概して中堅層が多方面で意義を感じているが、高齢者では意義への同意率は押し並べて低く、さらに「特にない」「分からない」との意見も他世代より多く見受けられる(【発表リリース:外交に関する世論調査】)。

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今調査に関する調査要項などは先行記事【日本のアメリカ合衆国への親近感84%、対中親近感は過去最低継続(2016年)(最新)】を参考のこと。

日本も含め先進国は開発途上国に対し、資金協力や技術協力などの開発協力を行っている。今件調査ではかつて「ODA」(Official Development Assistance(政府開発援助))との表現を用い、政府あるいは政府の実施機関により、開発途上国や国際機関に供与・貸与される、資金や技術提供による協力行為のことを対象としていたが、【開発協力適正会議】にもある通り、有償資金協力や技術協力も合わせた、より広義な支援を意味する「開発協力」の言い回しが前回の2014年調査分から用いられている。

とはいえ目的はODAと何ら変わるところは無い。外務省の解説(【外交政策:ODAとは】)によると、ODAは国際社会での重要な責務であり、日本の信頼をつちかい、存在感を高めることに資する役割を果たしている。また開発途上国の安定・発展化に寄与することで、国際平和に依拠し、資源・食料を海外に依存する日本にはプラスとなるとも解説している。

この開発協力について、どのような観点から意義がある、実施すべきであると考えているかにを聞いたところ、「エネルギー資源などの安定供給の確保に資するから」とする意見がもっとも多く、53.1%に達していた。

↑ 政府による開発協力を実施すべき観点(複数回答)
↑ 政府による開発協力を実施すべき観点(複数回答)

日本は石油、ガス、石炭などエネルギー資源の大部分を海外に依存しており、諸外国の情勢不安定化はそれらの資源の供給が不安定化することにもつながる(前世紀のオイルショックが良い例)。この項目への回答者が多いのも納得できる話。

次いで多いのは「国際社会での日本への信頼を高める必要があるから」で51.0%。さらに「開発協力は日本の戦略的な外交政策を進める上での重要な手段だから」が46.3%、「中小企業を含む日本企業や地方自治体の海外展開など、日本の経済に役立つから」が43.6%で続いている。表現や細部の対象、方向性は異なるものの、目指すところはほぼ同じであるとみなせる項目が上位に続いている。

「東日本大震災に際して得られた各国からの支援に応えるためにも、引き続き協力すべきだから」との意見は「恩には恩で報いるべき」との、当たり前ではあるが、当たり前だからこそ難しい行動として開発協力を認識していると受け止められる。この項目は前年2014年調査結果よりも順位は下げているものの、震災からほぼ5年が経過した調査時点においてもなお高い回答率を示しており、震災に際して受けた助力がいかに多くの人にとって支えとなり、励みとなり、心に刻まれたかを知ることができる一つの指針ともいえる。

前回調査となる2014年分からの変移を見ると、大よその項目で値を増やしており、対外開発協力への重要性が一層認識されている感はある。特に回答率そのものはまだ低いが「中国などによる開発途上国への進出が著しく、日本の存在感を確保する必要があるから」が大きく伸びており、他の項目の増加も多分に日本の海外における相対的立ち位置の低下を懸念したものであるとも解釈ができる。「開発協力は日本の戦略的な外交政策を進める上での重要な手段だから」が年々増加の動きにあるのも、それを納得させる材料となる。

これを世代別に見ると、概して中堅層が高い値を示し、若年層と高齢層は低い傾向が見受けられる。

↑ 政府による開発協力を実施すべき観点(複数回答)(年齢階層別)(2016年)
↑ 政府による開発協力を実施すべき観点(複数回答)(年齢階層別)(2016年)

興味深い動きが2点。1つは若年層は関心度が低いこともあり、複数の項目で回答率が他の年齢階層と比べて低め。ただし「国際社会での日本への信頼を高める必要があるから」「中小企業を含む日本企業や地方自治体の海外展開など、日本の経済に役立つから」では他の年齢階層よりも上、「中国などによる開発途上国への進出が著しく、日本の存在感を確保する必要があるから」でも高齢層は別としても中堅層にほぼ肩を並べる動きを示している。国際社会における日本の立ち位置について、低い評価を受けること、日本企業や自治体の展開の現状に不安を抱いている感はある。この数年、海外における日本企業の入札事案が他国、特に中国に競り負ける報道が相次いでいることから、それを受けての反応だろう。

一方で60代まではむしろ他年齢階層よりも高い値が示されている例があるほどだが、70代以上は低めの回答率を示しており、これは項目の上での例外は無く、押し並べて低い状態。しかも「特にない」「分からない」の回答率も高い。限られた日本国内のリソースの使い道について、中長期的な成果が期待できるものの、即効で見返り・成果は望めない開発協力に対する関心の薄さ(≒回答者自身に恩恵が生じる可能性は低い)が、数字となって表れているのかもしれない。


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