6%という実態…米小売店に影響を及ぼす「ショールーミング」の存在

2013/11/24 14:00

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アメリカの大手民間調査機関【ギャラップ社】は2013年11月22日、店舗で商品を確認し購入はオンラインで行う「ショールーミング(Showrooming)」に関する調査結果を発表した。それによると調査対象母集団のうち調査実施時点で一週間以内に小売店へ足を運んだ経験がある人において、6%の人が「ショールーミング」を行ったと答えていたことが分かった。「今後オンラインで買う予定」の人も含めると9%に達している(【発表リリース:"Showrooming" Affecting U.S. Retail Sales - After looking in a store, 6% of Americans made purchase online instead】)。


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冒頭でも触れている通り、インターネット普及に伴いネット通販が人々の日常生活に浸透する中、「ネット上ではリアルな商品確認が出来ない」との弱点を、実店舗上で補う人が増えている。具体的には「実店舗で実商品を確認」「その場で買わずに(より安い)ネットで注文」という手法によるもの。これを実店舗のショールーム化という観点で「ショールーミング」と呼んでいる。

この「ショールーミング」は、価格比較サイトの普及で「少しでも安く手に入る方法」が消費者の手に届いたのが主要因とされている。またプロセスにおいては事前段階で「あらかじめ何を買うか決めてから実店舗に足を運ぶ」や「購入対象を決めずに実店舗に足を運ぶ」など複数のパターンがあり、ネットの注文も「自宅に戻ってから」以外に、実店舗で商品を確かめたその場でスマートフォンから注文をする事例もある。

今調査は2013年11月12日から16日にかけて、アメリカ合衆国内に居住している人の中から無作為抽出で選ばれた18歳以上の人2559人に対し、電話インタビュー形式で実施されたもの。そのうち1452人が一週間以内に小売店に足を運んだ(そこで購入したか否かは別として)ことがある。この「一週間以内に小売店に足を運んだ」1452人に対し、対象となった商品へどのような行動を選択したのか尋ねた結果が次のグラフ。

↑ あなたが過去1週間に小売店に足を運んだ際の事例について、対象となった商品に対してどのような行動を取ったか・取ろうとしているか(択一)
↑ あなたが過去1週間に小売店に足を運んだ際の事例について、対象となった商品に対してどのような行動を取ったか・取ろうとしているか(択一)

ウィンドウショッピングに留まり購入をしなかった人は7%。購入した人のうち小売店で購入済み・する予定の人は83%。一方、小売店で確認をしたが、購入したのはインターネット経由だった人は6%に達している。また、現時点では購入していないものの、今後ネットで購入予定の人は3%に登っており、合わせて9%の人が「ショールーミング」行為者という計算になる。

過去一週間に限定せず、これまでに「ショールーミング」の経験のある無しを聞いたところ、4割もの人が経験を有していることが分かった。また、世帯収入別では高収入者の方が経験率が高い。

↑ ある特定の商品を購入しようとした際に、その商品の情報を入手するために小売店に足を運び、購入はネット経由で行った経験はあるか
↑ ある特定の商品を購入しようとした際に、その商品の情報を入手するために小売店に足を運び、購入はネット経由で行った経験はあるか

↑ ショールーミング経験者(世帯月収別)
↑ ショールーミング経験者(世帯月収別)

高所得者ほど経験率が高くなる傾向については、購入対象の商品が日用雑貨や食品のような、低価格でショールーミング出来ない・し難いものに留まらず、インターネット経由で購入しても何ら問題の無い物を買う機会が多いからだと考えられる。もちろん、インターネットそのものの利用率の差も影響しているのだろう。

リリースでは「ショールーミング」について、ネット通販では実店舗よりもマージンを抑えられるため低価格で提供しえることに加え、価格の比較が容易に出来、一番安い店舗で購入できる現状がもたらした新しい買物のスタイルであると説明している。また「ショールーミング」をした6%においても、すべての人が最初から該当商品を購入する予定で実店舗を訪れたのではなく、他の目的で足を運び、店舗で実商品を見て購入意欲が沸き、結果としてネット通販で買った事例もあるとしている。つまり小売店の売上を奪ったのではなく、商品の購入意欲を呼び起こしただけの場合もあるというものだ(潜在的購入者の横取りには成り得るが)。また直上で解説した通り、食料品をはじめとした「ショールーミング」に適しにくい商品も少なくない。

一方、「ショールーミング」に対抗する形で、実店舗が価格の大幅値下げを敢行している事例もあるとリリースでは指摘している。しかし「実店舗で行われている価格値下げによる対抗手段は、消費者の購入性向が『価格のみ』に縛られていると想定したものである」とし、実際にはアフターサービスなどのサポート面も重大な購入決定要因になると説明している。

日本でもスマートフォンの急速な普及に伴い、「ショールーミング」に関する問題がちらほらと見受けられるようになった。今件ギャラップ社の調査のように、実態を知る調査結果はまだ見当たらないが、じきに国内動向に関する調査データも登場するだろう。


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