アルゼンチンが最上位、ベネズエラが急騰、プエルトリコは沈静化(国債デフォルト確率動向:2013年11月)

2013/11/15 15:30

国債・公債などの債券の危険性を示す指針である「CDS(Credit default swap)」を基に逐次算出されている、国・地域の国公債のデフォルト確率を示す指標「CPD」。当サイトでは主要国の中でも財政・債務のリスクが高い国々の動向、経済情勢の目安として、毎月定期的(月半ば、大体15日)にこのCPDの上位国の動向と、それをもとにした周辺環境の確認を行っている。今回は本日、2013年11月15日に取得した値をグラフ化し、現状の精査を行うことにする。

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CDSや、国公債のデフォルト確率を表す言葉CPD(5年以内のデフォルト可能性を示す)の詳しい定義、今件データの取得場所、そして各種概念の説明はまとめページ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で行っている。必要な場合はそちらで確認のこと。

今グラフは日本時間で2013年11月15日、つまり先程取得したばかりの一番新しいデータをもとに作成している。前回月も値が取得できた国・地域は前回値を併記している。今回はイラクが前回月では上位10位以内に無かった国として登場しているため、同国の前月分には「NO DATA」が記載されている。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年11月15日時点)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年11月15日時点)

2007年に露呈したアメリカのサブプライムローンに関わるリスクをトリガーとして、世界全土を覆う形となった金融危機に伴う不況だが、欧州ではそれと前後して各国、特に中堅諸国の債務問題が取り立たされることになった。ギリシャやスペインの情勢が毎日のように海外ニュースとして報じられる日々も続いていたが、それらもここ一、二年の間に最大の山場を越えた感はある。

無論危機的状況は続いているが、かつてのように「来週、下手をすると明日にでも対象国が経済的に崩壊するかもしれない」という切羽詰まった雰囲気は感じられない。これもひとえに(多分の失策も含め)各国、そして包括する欧州委員会、ECB(欧州中央銀行)などの組織が経験を得てより正しい対策を学び、その経験を活かした施策を打ち出しているからに他ならない。特に今年前半あたりから明確化された、基本的対処戦略の転換(緊縮財政のみの強行ではなく、経済再成長の道筋を明確化した上での財政適正化)の影響が大きい。

今回月の動向に目をやると、かつてヨーロッパ債務危機の象徴でCPD周りでも常に最上位、90%超えは当たり前だったギリシャは36.87%と低め(とはいえ上位10位以内だが)に留まり、時代の流れを感じさせる。昨今ではアルゼンチンが最上位の常連となり、今回月もその座は維持している。

先月債務リスクの問題で大きな懸念が生じ、CPDも跳ね上がったプエルトリコだが、今回は30%ポイント近い下落を示している。最大の危機は脱したようだ。多分に本国のアメリカ自身における債務・予算問題が、ひと山越えたことも大きいのだろう(もっともそれは、アメリカ本国の予算問題の先延ばし先、つまり来年初頭にかけて再び上昇する可能性が高いことをも意味する)。

一方、急上昇を示したのがベネズエラ。同国についてニュースなどで確認すると、11月12日付で債券相場が急落したことが報じられている(【ベネズエラ債が急落、物価統制で軍が家電量販店を占拠(ブルームバーグ)】)。これによると同国のインフレ率の上昇を抑制する取り組みとして、軍を家電量販店のDAKAに派遣し占拠したことで、逆に政情の不安定さ、経済成長への懸念が高まったことにより、国債は急落、利回りは急上昇している。


↑ ベネズエラ軍による家電量販店占拠を伝えるニュース映像(アルジャジーラ公式)。【直接リンクはこちら:Venezuela troops seize shops over high prices】

アメリカ自身はこの一か月の間に予算案・債務上限問題は一応の決着を見せており、一部で懸念視されていた「アメリカ本国自身がCPD値上位ランキング入り」という事態は免れることとなった。とはいえ、同国の財政、特に債務上限問題について根本的な問題解決がなされたわけではなく、また上にある通り今後状況の改善がなされない限り来年1月までには再び同様の問題が発生する可能性はある。同国内の各州(プエルトリコも似たようなもの)もその多くで財務上の問題を抱えており、今件リストでもイリノイ州は相変わらずランク入りしており、数字も多少ながら上乗せされている。



日本はCPD上位を示す上記グラフにその名前は無く、それだけCPD値が低い=デフォルトのリスクが低い。一部で声高に語られている、日本の債務状態が欧州諸国の今件リストに挙げられている国々と同じレベルであるという認識は、少なくとも市場関係者においては皆無であることが分かる。

また今リストに無い諸外国の動向は、四半期ペースで公開されるCMD Visionのリスクレポートの最新版(【CMA Release Global Sovereign Credit Risk Reportの一覧ページ】)で確認できる。その値をチェックした限りでは、日本のCPDは5.2%、順位は低い方から数えて19位。前四半期と比べると値はさらに改善、相対順位は変わらずということになる。詳しくは解説記事の【日本の順位変わらず・数字はやや改善(国債デフォルト確率動向:2013年Q3)】で内容を確認してほしい。

欧州では以前と比べて比較的平穏化の方向に動きつつある債務問題だが、アメリカではむしろ問題が少しずつ悪化している感も否めない。またCPD上位国リストには名を連ねたことは無いが、中国関連の財政問題も、世界全体の市場に不安の影を落としている。

今回のベネズエラのように、何らかの懸念が生じた場合、概して市場は敏感に反応する。ある意味CPDは、情勢把握のためのアンテナ、リトマス試験紙的な役割を果たしていることになる。今後もCPDの上位国の動向を精査し、それを通じて世界規模での経済の現況を推し量ることにしよう。


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