ネットは大きく伸びるが雑誌やラジオはマイナス(経産省広告売上推移:2013年11月発表分)

2013/11/14 14:30

経済産業省は2013年11月11日付で同省公式サイト内「特定サービス産業動態統計調査」において、2013年9月分の速報データ(確定値に先立ち公開される値)を発表した。その公開値によれば、2013年9月の日本の広告業全体における売上高は前年同月比でプラス5.1%となり、増加傾向にあることが分かった。今件記事で精査対象となる5項目(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット)中では「ラジオ」がマイナス5.7%、「雑誌」がマイナス4.2%と、2項目がマイナス値を示している(【発表ページ:経済産業省・特定サービス産業動態統計調査】)。

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ネットは15.5%と大幅プラス、新聞も5.1%と伸びを見せる


「特定サービス産業動態統計調査」に関連する解説は、それらの精査記事をまとめた【定期更新記事:4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】に記載している。必要な場合はそちらで確認のこと。なお今回9月分を取り上げた値が「速報値」であることからも分かる通り、後程「確報値」が公開され、場合によっては微調整が行われる。その場合、確報値で過去分は再入力しているため、今回月の記事における前回月(今件なら2013年8月分)が、前月掲載の記事とは異なる場合がある。

↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2013年8-2013年9月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2013年8-2013年9月)

前月分からの動きが分かりやすいよう、前回記事分(2013年8月分)データ(確定値に修正済み)と並列してグラフ化している。今回月では従来4マス中「ラジオ」に加え「雑誌」もマイナス化したものの、「新聞」と「テレビ」はプラス。特に「新聞」は前月から大きな伸びを示している。また「インターネット広告」も堅調で、今件記事で取り上げている5項目では最大の伸び率、15.5%のプラスを見せている。

該当月、つまり2013年9月における大手広告代理店電通・博報堂の売上動向に関する記事で類似項目の動向を確認すると、「新聞、テレビ、インターネットはプラス」「ただし新聞は前年の反動」などの動きが把握できる。案の定、今件「特定サービス産業動態統計調査」でも、1年前の2012年9月分の「新聞」の値はマイナス11.9%。今回月の新聞の躍進は、多分に前年のリバウンドであったようだ。

ちなみに前回、2013年8月時点ではオリンピック招致効果によるものと思われる、一般広告の躍進ぶりだが、今回月ではほぼ通常の動きに戻っている。

↑ 4屋外広告などの広告費・前年同月比(2013年9月)
↑ 4屋外広告などの広告費・前年同月比(2013年9月)

特需は早くも終焉を迎えたようである。

上昇続けるネット広告、新聞との差は70億円強に


今回も該当月(2013年9月分)における、各区分の具体的売上高をグラフ化する。広告代理店業務を営む日本の企業は、最大手の電通と博報堂のみだけでは無く、そして各広告種類の区分が業界内で統一されていないため、当サイトで月次更新している【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】との額面上での完全一致性は無い。

↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年9月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年9月、億円)

金額面では「インターネット広告」が「新聞」を超える月が継続中である。さすがに「テレビ」との差は大きく、「インターネット広告」と「テレビ」が順位を争う状況は想定しにくいが、第2位のポジションは固定化されつつある。

その「インターネット広告」は、他メディアと比べると起伏が大きいことも特徴の一つ。広告出稿・展開において機動力、柔軟性の高さを示しているともいえる。一方、グラフ化をするとこの一、二年は成長率の鈍化が気になるところ。今回月は前月比でプラスとなり、久々に下降傾向から脱した感はある。

↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2013年9月)
↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2013年9月)

次のグラフは今件記事で対象としている5項目と総計について、公開されているデータの中期的推移を示したもの。今調査で「インターネット広告」の金額が計上されはじめたのは2007年1月以降であることから、それ以降に限定した流れを図にしている。

↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年9月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年9月分まで)

各媒体の動向が顕著に表れる図が生成された次第だが、特に「雑誌」「新聞」の低迷ぶりが気になる。両者は従来型の4マスで、しかも紙媒体であるという共通点を有しており、この共通項がここ数年のメディアのすう勢を左右する要因であることは容易に想像が付く。

また、グラフ描写期間中には金融危機、リーマンショック、東日本大地震・震災と3つも、広告費の上ではマイナスとなりうる事象が発生している。当然、各項目ともそのタイミングで広告費が落ちているが(特にリーマンショック後の下落ぶりが著しい)、落ち具合、そしてそこからの回復程度にメディア毎の差異が大きく出ており、個々の柔軟性、事態への対応度の違いが透けて見えてくる。


「電通と博報堂」では9月まで続いたオリンピック招致特需だが、今件「特定サービス産業動態統計調査」ではその前月の8月で事実上終わってしまったようだ。また「新聞」がプラスの動きをしているのは前年同月が大きくマイナス値だったことの反動であることを考慮すると、「4マスではテレビのみ伸長」「インターネットは概して成長」という、震災前からの広告費における動向は、今なお継続していると見て問題ない。

今後は消費税の引き上げに伴う消費者の消費性向の変化、そしてスマートフォンの普及による「受け手個人へのアピールの仕組み」の切り口など、いくつかの点で広告動向に影響を与える動きがある。ダイナミックな流れは起きないだろうが、少しずつ、確実な動きはあるに違いない。いつの間にかインターネット広告費が新聞広告費を上回るのが当たり前になってしまったかのように。

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