ネット飛びぬけ、一般も強い、電通は新聞・テレビが強め(電通・博報堂売上:2013年10月分)

2013/11/13 14:30

博報堂DYホールディングスは2013年11月12日付で、同社グループ主要3社にあたる博報堂、大広、読売広告社それぞれの2013年10月における売上高速報を公開した。また電通ではそれに先行する同年11月8日に単体売上高を発表している。これで日本国内の二大広告代理店の2013年10月次の売上データが出揃う形となった。今回は両社の主要種目別売上高の前年同月比を抽出の上、独自にいくつかの指標を計算して各種グラフを生成、それぞれの広告売上動向や広告業界全体の動きの精査を行っていく。

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ネットが強い、4マスは先月に続きテレビと新聞が健闘


データ取得元の詳細、各項目に関する算出上の注意事項は、まとめ記事の【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】にて解説済み。必要な場合、そちらにて確認のこと。

↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2013年10月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2013年10月分種目別売上高前年同月比

先の震災での混乱に伴い消費者の消費性向は大きな落ち込みを見せ、広告業界にも小さからぬ影響が生じた。過去のデータを参照してほしいが、震災後には大きなセールスの減退を示している。しかし時間の経過と共にその下げ具合も大人しいものとなり、昨今ではおおよそ回復の状況を見せ、震災以前に示していた業界内のすう勢を再び踏襲している。

具体的な動きとしては「従来型メディアの4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の影響力低下」「インターネットの伸長」が主なものとなる。一方で震災後は電力事情の変化、高齢化の進行もあり、「テレビの復調」「従来型広告の復権」という新たな流れも現れている。

今回の10月分を確認すると、従来型4マスでは概して軟調だが、電通に限れば新聞とテレビが比較的大きなプラスの値を示している。ちょうど1年前の状況を精査した記事で確認すると、電通では新聞がマイナス13.1%、テレビはマイナス10.5%の値を示しており、双方ともその反動が多分にあるものと考えられる。もっとも1年前のマイナスぶりは博報堂も同じで、それにも関わらず今回月もマイナスなのは、やや不安視せざるを得ない。

一方、インターネットは両社とも3割超えのプラス。やはり1年前の値は双方ともマイナスだったことから、そのリバウンドもあるが、それを考慮しても多分の伸びを示していることに違いは無い。

一般広告ではインターネットほどダイナミックではないが、多くの項目でプラス化しており、少なくとも4マスよりは強い勢いにあることが分かる。マーケティング・プロモーションがやや弱めに見えるが、これは1年前において数少ない大幅プラスを示していたため、その反動によるところが大きい。

取りまとめると「4マス軟調、ネットは堅調、一般広告そこそこ良し」という形になるだろうか。

電通の総額推移など具体的金額を確認


次のグラフは電通の各年10月の広告売上総額推移を抽出し、その動向をグラフ化したもの。同じ月の推移を見ることで、季節属性(季節や月により広告出稿の大小が生じる)を考慮することなく、純粋に年ベースでの動向を把握できる(無論各年に起きたイベント的な事象の影響は受けるが)。

↑ 電通月次売上総額推移(各年10月、億円)(-2013年)
↑ 電通月次売上総額推移(各年10月、億円)(-2013年)

電通の各年10月における総額動向を確認すると、2007年秋に始まる金融不況以降売り上げは落ち込み、リーマンショックや震災を経てもさほど回復の兆しは見せず、低迷が続いているのが分かる。昨月9月分の経年変化では、明らかに景気回復感の流れがあったのだが、10月分だけに限ればまだ低迷が続いているとしか解釈できない。2004年レベルのまでとは言わないが、せめて2007年位の値にまで戻してくれると、景況感の高揚も実感できるのだが。

ただしこの電通の10月分売上推移に限らず、過去の金額と現在の金額が同じであったとしても、その内容、種類別売上の構成・シェアには大きな変化が生じている。テレビやインターネット、一般広告の売上が伸び、新聞や雑誌、ラジオが落ち込んでいるのだから、それぞれのシェアが増え・減るのは当然の話。例えば今回月2013年10月分の電通の総売り上げに対するインターネット広告のシェアは約4.1%だが、1年前の2012年10月では3.3%、2年前の2011年10月では3.2%でしかなかった。

なお今記事の最上位にある項目別の前年同月比を示したグラフだが、それぞれの企業における項目別の比較であることに注意しなければならない。電通と博報堂の個々企業内の比率が同じだからといって、金額が同じわけでは無い。

下記に金額面での具体例をいくつかまとめてグラフ化しておく。個々項目では電通の方が概して額面は大きい。そして項目別では伸び率著しいインターネット分野の市場規模は、従来4マスの最大勢力であるテレビにははるかに及ばない(直上で電通における、総売り上げの比率が3-4%でしかないことからも容易に理解・把握はできるはず)。

↑ 電通・博報堂DYHDの2013年10月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂DYHDの2013年10月における部門別売上高(億円、一部部門)

ちなみに電通の支社別動向だが、今回月では全支社で前年同月比プラスを示しているものの、東京支社は7.7%のプラスで、関西支社の13.4%などと比べると低い。オリンピック招致効果はひとまず終焉を迎えたようだ。



電力需給そのものは震災直後から比べれば安定に向かいつつあるが、一方でエネルギー政策レベル、燃料確保の面では逆にリスクを高めつつある。また継続する電気料金の引き上げも、その需給問題に大きく関係しており、広告関連で電気を多分に使う部門における風当たりの強さは、今しばらくは継続しそうな気配。当然、デジタルサイネージをはじめとした電飾系方面で感じられる足踏み感は続き、その分、従来型の一般広告が活気づいている。

震災前にはほとんど動きが見られなかった、4マスの中で唯一再成長を見せ始めたテレビだが、質的向上やテレビ本体の普及率上昇などによるものでは無く、テレビ視聴を多分に好むシニア層の増加に伴うところが大きい。純粋な成長とは言い難く、また先細りが明らかなのが残念なところ。

また4マス中新聞や雑誌のような、紙媒体の衰退ぶりの著しさが、顕著になってきたのも震災後の動きの上での特徴の一つでもある。無論電通・博報堂両社の広告費が媒体のすべてを体現しているわけではないが、重要な指標になることには違いない。機会があればこの2媒体における前年同月比の経年推移を精査し、媒体そのものの勢いを見ていきたいところではある。あるいは毎月同時期に展開している、経産省の「特定サービス産業動態統計調査」の動向で、大よその流れは把握できるだろう。

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