「進撃の巨人」効果が目立った今四半期雑誌動向(2013年7-9月期印刷証明付き部数動向雑感)

2013/11/14 11:30

これまで6本の記事に渡り、社団法人日本雑誌協会が2013年11月7日付で発表した「印刷証明付き部数」の最新版、2013年7月-9月分も含めた過去の蓄積データを基に、各方面の雑誌の印刷、そして販売動向を精査してきた。従来ならばこれで今四半期分の記事展開は終わりなのだが、今回は気になる点、特筆事項とすべき動きがあり、まとめておくことにした。

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「進撃の巨人」に見る、カリスマ作品の必要性


まず一つ目は、なんといっても「進撃の巨人」効果。同作品は【「進撃の巨人」単行本累計2000万部突破、掲載誌「別冊少年マガジン」も部数3割増に】などで紹介しているように、講談社の「別冊少年マガジン」で連載している作品。アニメ化をはじめマルチメディア展開もなされており、絶好調の話題作。「別冊少年マガジン」自身は印刷証明部数の公開対象に無いため、一連の記事における「進撃の巨人」効果は確認できないものの、リリースでは「アニメ放送開始後の号は、前号と比べて実売数が3割増し」との文言が確認でき、相当な影響を与えていることが予想される。



↑ アニメ版「進撃の巨人」プロモーション動画(公式)。
↑ アニメ版「進撃の巨人」プロモーション動画(公式)。【直接リンクはこちら】

今サイトの一連の記事で把握できた限りでも、「月刊少年シリウス」(【横ばいか軟調、唯一輝くシリウス…少年・男性向けコミック誌部数動向(2013年7月-9月)】)、「PASH!」(【「巨人」効果でPASH!が伸びる…ゲーム・エンタメ系雑誌部数動向(2013年7月-9月)】)、「ARIA」(【「巨人」と「ミク」がけん引か…少女・女性向けコミック誌部数動向(2013年7月-9月)】の3誌で「巨人」特需が確認できた。精査対象外の雑誌も合わせれば、さらに特需の恩恵を受けている雑誌は増えることになる。

「PASH!」は元々堅調な部数伸長をしていた中での特集記事展開ということもあり、大きく伸びる結果を示している。もっとも単発的な話なので、断続的な類似展開が行われなければ、特需も今四半期限りのものとなるだろう。一方、「月刊少年シリウス」「ARIA」は連載のスタートによるもので、今後継続的な掲載が成されれば、特需は定期需要となり、同誌の部数を底上げする要因となる。「ウルトラジャンプ」の「ジョジョリオン」、「別冊花とゆめ」の「ガラスの仮面」的なポジションを確保できるはず。

今回の「進撃の巨人」のような、単発でも大きな影響力を与える、カリスマ的な作品の存在。昨今の雑誌界隈で欠けている、雑誌市場を勢い付けさせるには必要不可欠な要素の一つが、まさにこれに他ならない。ビッグタイトルの組み入れにより、多くの読者が魅力を覚え、購読するようになる。

この動きを「読者は踊らされている」と評する向きもある。考え方としては一理あるが、それはそれで別に良いのではないだろうか。別に踊らされていたとしても、雑誌そのものの購読が、エンタメという視点では同じ部類に含まれる「お祭り」であると考えれば。お祭りなのだから、皆が踊って楽しければ良い。適切な対価を支払ったと読者が認識しているのなら、誰も損はしない。

見方を変えれば、このような「踊ってくれる読者達」を雑誌業界は大事にし、ないがしろにせず、丁重に扱わねばならない。そしてお祭りならば曲のレパートリーを増やすように、大きな影響力を持ちうる作品を続々投入できるよう、作品を育て上げる環境を創生、整備する必要がある。これは雑誌業界側の責務といえる。

情報の取り扱いに関する問題


そしてもう一つ。今記事タイトルでは触れていないことからも分かるように、やや余談的な話になるのだが……今回発表された2013年7-9月期分では、公式サイトの公知より前に取得された情報を基に、結果的に間違っていたデータが流布され、情報の混乱と名誉棄損と受け止められても仕方がない状況が発生した。詳しくは【「アフタヌーン」印刷証明部数が3.2万部と伝えられていた件について】【「アフタヌーンの印刷部数が3か月で半分以下に」と伝えられていた件について】で解説しているが、月刊アフタヌーンの印刷証明部数が3.2万部であると大手掲示板経由でまとめサイトを介して伝えられたというものだ。

しかし公式公知の時点で明らかにされた実数値は8.5万部。前四半期から変化なし。情報の取得と精査、公知に関して、他方面に渡る問題提起を必要とする事象に発展している。読者の一部にはいまだに、結果的に誤報となった「アフタヌーンの部数が3か月で半分以下の3.2万部になった」の話のみ見聞きし、実体数を知らない人もいる可能性があることから、ここで改めて記しておく。


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