両誌とも前年同期比で大きくマイナス…「小学1年生」-「小学6年生」などの部数動向(2013年7-9月分)

2013/11/14 08:30

社団法人日本雑誌協会は2013年11月7日付で、四半期ペースで定期的に公開している「印刷証明付き部数」に関して、最新分の2013年7月から9月分の掲載を行った。今回はこの値を参照し、小学生向け、さらには幼稚園児向け雑誌における現状の把握と昨今の部数動向の精査を行うことにする。

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「小学一年生」「小学二年生」のみが残存


データの取得場所の解説や「印刷証明付部数」など用語の説明、諸般注意事項はまとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】上で説明済み。必要な場合はそちらで確認してほしい。

公式サイト上でデータが取得できる2008年4月-6月分以降、四半期単位で「小学一年生」から「小学六年生」までの「印刷証明付き部数」の推移を示したのが次のグラフ。「GAKUMANPLUS」は厳密には「小学●年生」とは別の雑誌だが、「小学五年生」「小学六年生」の統合・刷新版として登場したものなので、このグラフには反映させている。

↑ 小学一年生から六年生の印刷証明付き部数推移(2013年7-9月期まで対応)
↑ 小学一年生から六年生の印刷証明付き部数推移(2013年7-9月期まで対応)

元来高学年向けになるほど印刷部数は少なくなる傾向にある。これは歳を重ねるにつれて子供の好奇心とそれを充足する手段・知識が多様化し、定番の「小学●年生」以外の雑誌を求める気持ちが強くなるため。またそれに応えるべく、保護者も子供に呈する選択肢を増やす状況も考えられる。

そしてそのような事前環境の上で、昨今の雑誌不況のあおりを受け、部数が元々少なかった雑誌から、休刊に追い込まれることになる。まず「小学五年生」「小学六年生」が、そして「小学三年生」「小学四年生」が休刊。ピンチヒッター的に登場した「GAKUMANPLUS」も長続きはせず、今グラフでは3四半期分しかデータを残せなかった。

現在も発行を続けているのは「小学一年生」「小学二年生」の2誌のみ。元々部数も大きく、季節変動による上下のぶれも激しいのが特徴。そして2010年以降は全体的に上限を縮小する形で部数を下げている。今四半期はこれまでのパターン通り前四半期比で売上を落とす時期ではあるが、そのような季節属性を考慮せずにすむ前年同期比を試算しても、「小学一年生」はマイナス11.1%、「小学二年生」はマイナス5.8%を計上。決して安穏とできる状況では無い。

幼稚園関連誌を追加し状況を再確認


幼少時期の子供向け雑誌として、幼稚園関連の3誌「入学準備学習幼稚園」「幼稚園」「たのしい幼稚園」を加え、再構築したのが次のグラフ。小学生向け雑誌のうち発行部数を追いかけているのが、現時点で刊行中2誌では寂しいことから、数回前の記事以降追加している。

↑ 小学一年生から六年生などの印刷証明付き部数推移(2013年7-9月期まで対応)
↑ 小学一年生から六年生などの印刷証明付き部数推移(2013年7-9月期まで対応)

幼稚園関連の3誌の動向を「小学●年生」シリーズと重ねて見ると、小学生向けの雑誌で顕著な季節属性(年度の切り替え時に大きく部数を伸ばす)は確認できない。むしろ小学生向けの盛況期である1月-3月期が、その前四半期期(10-12月期)よりも下げている事例も多々見受けられる。一方、中期的には部数が減退状況であることは類似している。かろうじて「たのしい幼稚園」が横ばい……に近い形で推移している位だろうか。

子供向けで教育的な要素が多分にある、そして保護者が安心して購入して手渡せるタイプの雑誌が厳しいのは、小学生を対象とした雑誌に限ったものではないことが分かる。中でも「幼稚園」「入学準備学習幼稚園」はこの5年間で約半数に部数を落としており、危機的状況。

このグラフから休刊中のものを除外して、現時点で刊行中のものに限定して再整理したのが次の図。

↑ 現存「小学●年生」シリーズと幼稚園回り(一部)の雑誌・印刷証明付き部数推移(2013年7-9月期まで)
↑ 現存「小学●年生」シリーズと幼稚園回り(一部)の雑誌・印刷証明付き部数推移(2013年7-9月期まで)

見た目はすっきりしたが、それだけに余計に「全体的な右肩下がり」の状況がよりはっきりと分かるグラフとなっている(唯一例外の「たのしい幼稚園」がひときわ目立つ)。

この部数減少は、少子化の影響も「幾分は」ある。購入層の全体数が減れば、購入者が減るのは当然。しかしながらこの5年前後で幼稚園・小学生生徒が半減するほどの加速度的な減少はしていない(【小学生や中学生の数の推移をグラフ化してみる】で確認済み)。保護者が子供に買い与える子供向け雑誌そのものの需要が落ちている、選択肢が多様化して特定雑誌への注力が減っていることが想像できる。決して少子化云々だけで片付けられる問題では無い。



「小学●年生」で現存しているのは2誌「小学一年生」「小学二年生」のみ。前者は前年同期比で下げ幅が10%を超え、後者は経験則上の危険ラインである5万部割れが、次の四半期で起きる可能性を多分に秘めている。

無論両誌が単に状況を甘んじているわけでは無い。【小学一年生の公式サイト】を見ても、心ときめかせるような特集や付録が盛りだくさんで、かつて同誌で学んだ経験を持つ保護者世代から見れば、まったく別物の雑誌のようですらある。YouTubeの公式チャネルでも特集や連載の内容をアピールする動画を公開するなど、努力の程がうかがえる。


↑ 小学一年生の連載記事「でんじろう先生のびっくりかがくマジック」の実験映像。【直接リンクはこちら:でんじろう先生のびっくりかがくマジック(小学一年生12月号)】

しかしながら現状では、その施策の成果が上がっているとは言い難い。幼少児向け雑誌の場合、多分に子供自身の要望よりも、保護者の選択による購入が多いことから、マーケティングが難しいのかもしれない。子供を取り巻く環境の現状をしっかりと精査し、各雑誌のポリシーを貫きながらも、「今」に合った冊子作りが求められよう。

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