砂糖やや上昇するも全体的には安定した動き、だが…(2013年10月分世界食糧指数動向)

2013/11/09 14:00

2013年11月7日付で国連食糧農業機関(FAO、Food and Agriculture Organization)は、毎月定期的に同機関の公式サイトで更新発表している【世界食料価格指数(FFPI:FAO Food Price Index)】の2013年10月分について発表を行った。この値は1990年以降にFAOが世界の食料価格の変化を月単位で定期的に集計、計算した上で発表しているものである。今回はこの10月分の最新発表値を基に複数のグラフを生成し、世界規模での食糧価格の推移を精査していく。

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金融危機で上昇後、高値安定で推移。最近は下げ基調から再び…?


今記事中にあるデータの取得元、用語の解説に関しては、一連の記事のまとめページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で行っている。そちらで確認のこと。

最初に生成した図は、公開データとしては最古の1990年1月から現時点の最新値(2013年10月分)までを反映させた、FAOで公開されている全データを使った折れ線グラフ。前世紀終盤以降の中長期的な食料価格の変移概要が一目で把握できる。概要を俯瞰するという点では有益なもの。

なお食糧指数FFPIについて、2013年11月発表分以降から適用食品の範囲が一部変更され、それに伴い値そのものも1961年以降すべてにおいてさかのぼって算出し直されている。今回の記事におけるグラフは、その変更を反映している。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2013年10月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2013年10月)

砂糖は相場関係の話、あるいは市場関連の話でしばしば話題に登るように、価格変動性が高い食料品として知られており、その実態を今グラフの動向で再確認できる。砂糖の指数動向を示すオレンジ色のグラフ線が、いかに激しく動いているかが一目で分かる。

一方、それ以外の項目は大きな動きは無く、2005年前後までは下限を50、上限を150とした領域での値動きが続いている。

ところが2005年終盤以降は、全体的に少しずつ上昇機運を有するようになる。直近の金融危機のきっかけとなる「サブプライムローンショック」(2007年夏-)の時期には、これまでには見られないほどの急激な上昇を示す。その後は上昇の反動による急降下、そして「リーマンショック」(2008年9月以降)を経て、乱高下の末、現在の高値安定の動きに至る。2007年を区切りとし、平均がほぼ2倍から2.5倍に突如底上げている形となる。

直近では2011年後半期から、各食品項目により下げ率に違いはあるが、少しずつ値を落としている。また砂糖に限れば急速な下落を示し、他の指数に近づきつつある。そして砂糖以外では穀物と油脂の下落、乳製品の上昇という小幅な動きはあるものの、この一年では比較的安定した動きが続いている。ただし砂糖が底値を打ち反転を見せ、乳製品や油脂なども上昇気配を示すなど、新たな動きの気配も覚える。

続いて、グラフ生成開始時期を食糧市場にも大きな影響を与えている金融危機が勃発した2007年にして、描写対象期間を短くし、金融危機以降の動向を詳しく見ていくことにする。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2013年10月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2013年10月)

2010年初頭からジェットコースターのような急落と急上昇が砂糖指標で確認できるが、これは当時過熱感のあった砂糖相場で、「豊作の報」をきっかけとした相場反動(反落)が起きた結果。しかし一時的な豊作によるものである以上、中期的な価格上昇の原因となる「需要の拡大(新興国、特に中国)に伴う需給バランスの不安定感」の解決にはつながらず、すぐに再上昇の動きを示している。

直近の一、二年では、2011年中旬の約400が天井。その天井突破を何度か試みた後、失速する形が今年の春先までは続いていた。この動きは豊作による供給過多に加え、世界的な景気後退による甘味需要の減少が主な原因。もっとも上記の通り、この数か月は底値打ちの動きを示しており、わずかながらも景気回復感による影響が出てきた感はある。

前月比と前年同月比の動き


昨今、さらには直近の食料価格の動向を確認するため、各指標の元値から「前年同月比」と「前月比」をそれぞれ独自に算出。数字の変移が分かりやすいようにしたのが次のグラフ。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2013年10月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2013年10月)

総合指数は前月比でプラス1.3%と先月から転じてわずかに増加、前年同月比ではマイナス5.3%とこちらは先月同様の下落。全般的な指数の下げが昨年来続いていたが、直近ではその動きに変化が生じているのが分かる。

個別項目を確認すると、前年同月比では乳製品が唯一大きなプラス。これは先月から変わらず。穀物・油脂・砂糖の3項目が大きなマイナスで、こちらも先月からの継続。一年間という流れでは、これらがそれぞれ大きな上昇、下降を示していることになる。食肉は小幅にマイナス。

一方、前月比では砂糖が大きな上昇を示しており、これが総合値にも大きな影響を与えている。それ以外も全項目で小幅ながらもすべてプラスを指しており、まだ安定的なレベルだが、上昇機運が見受けられる。先月「砂糖は上げ幅が他と比べて大きめで、今後の値の変化につながる動きとなるのか、注視する必要がある」としたが、そのシグナルはさらに強まっている。

砂糖の上昇についてリリースでは「砂糖の最大の生産国にして輸出国であるブラジルにおいて、その南部で悪天候が続いたのが主要因。また同国のSantos港で発生した砂糖倉庫における火災も不安をあおる一因となった」と説明している。ここ数か月の上昇が、単なるイレギュラー的なものに過ぎないのか(全体的には供給過多には違いない)、それとも中長期的なものとなるのか、気になるところだ。

農林水産省のレポートで現状を確認


人口増加と諸国の生活水準の向上は概して、中期的視点に見れば有史以来継続的なもの。当然、食糧の需要は拡大する。戦争や大規模な疫病の発生など、突発的マイナス要因が無い限りは、あるいは「緑の革命」のような劇的な食糧増産の仕組みが展開されない限り、相場動向による上下変動を経ながら、食糧価格は上がり続けることになる。また昨今ではバイオエタノールの普及に伴い、食事用以外の需要も増加、価格上昇の機運は増加の一途をたどる。

今記事で毎月精査している【農林水産省の海外食料需給レポート】の2013年10月分で最新の動向を確認したが、例のアメリカ議会における予算折衝のトラブルで、同国の農務省による穀物等需給報告の2013年10月分の発表が中止されたため、農水省の今レポートの値も先月から変化は無い。つまり、小麦・とうもろこし・大麦・米で生産量が増加し、史上最高の量となる見込み。消費量も小麦・とうもろこし・大麦・米の全項目で増加し、こちらも史上最高の量となる見込み。そして期末在庫量見込みは生産量が消費量を上回ることから上昇する傾向を示している。

在庫が漸増を続けているのは、昨年の異常気象に伴う食糧生産量の減少に伴う反動が主要因。もっとも気象動向は人知でどうにか操作できるものでは無く、必然的に食糧の生産量も多分にイレギュラーな動きは十分にありうる。昨今の価格上昇の気配も気になるところではあるし、留意は継続すべきである。

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