今期販売目標1800万台の達成率は現時点で22%…ニンテンドー3DS販売数動向(2013年度Q2)

2013/10/31 11:30

任天堂(7974)は2013年10月30日、2013年度(2014年3月期、2013年4月-2014年3月)第2四半期決算短信を発表した。売上はやや落ち込んで前年同期比でマイナス2.2%となったものの、当初の想定より円安が進んだことで為替差益が発生し、経常利益・純利益は黒字に転換した。特に純損益は中間期としては4年ぶりに黒字を確保することとなった。今回はそれらの業績はさておき、過去の記事のスタイルを踏襲する形で、任天堂の主力携帯ゲーム機ニンテンドー3DS(3DS LL含む)における販売状況を、今回発表された最新の各種データを基に再精査し、現状を把握していく。

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日米以外の伸びが今一つ


↑ ニンテンドー2DS。3DSの弟分のようなもの。現時点では日本では発売未定
↑ ニンテンドー2DS。3DSの弟分のようなもの。現時点では日本では発売未定

データの取得場所の解説や、今記事で対象となる機種(3DSシリーズ)の概要などは一連の記事まとめページ【定期更新記事:ニンテンドー3DS販売動向(任天堂)】で説明がなされている。そちらで確認をしてほしい。

今回短信の添付資料で発表された各種データを元に、同機の販売動向をグラフ化したのが次の図。今短信掲載の元データは万台単位までしか表記されておらず、それらの値を基に当方が独自算出をしているため、項目によっては実質値と2-3万台ほどの差異が生じている可能性がある。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2013年9月)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2013年9月)

現時点で発売開始からの累計販売台数は、全世界で3498万台。今期(年間・連結累計)に限れば389万台。今四半期では249万台。今期では開始直後に販売目標を全世界で1800万台と設定していたが、これについて今回変更は行われなかった。なお上記グラフでは最初の期「2010年4月-2011年3月」は一年分で区切っているが、ニンテンドー3DSの発売日が2011年2月26日以降(日本での発売が世界で最初)でそれ以前の販売実績は無いため、実質的に他の期同様四半期と見なして良い。

直近の2013年度第2四半期(2013年6月-9月)においては、日米その他地域共に前四半期と比べて大いに伸びている。特に米大陸での伸び方が著しい。これは「とびだせ どうぶつの森」「ルイージマンション2」「マリオ&ルイージRPG4 ドリームアドベンチャー」「ドンキーコングリターンズ3D」などのタイトルが堅調に売れたのが後押ししている。

元々この時期は新作タイトルの発売が相次ぐことに加え、夏季休暇に合わせてゲームハードを買う機会が多く、毎年セールスが伸びている。しかし詳しくは後述するが、日米はともかくその他地域(欧州がメイン)の伸びが今一つで、全体の足を引っ張ることとなった。

なお「3DSシリーズ」の中身だが、日本では意外にもいまだに3DSが堅調で、今四半期に限っても1/4が3DS。一方で北米その他地域では主力はすでに3DS LLに移行しており、特にその他地域では3DSの四半期セールスは2割にも満たない。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2013年7月-9月期、3DSと3DS LL区分)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2013年7月-9月期、3DSと3DS LL区分)

達成率は現時点で2割強…長期的流れと今期販売目標に対する実績


今件各種データを四半期(最初の期は上記の説明の通り1年間)で区分し、各四半期における3地域での販売数を積み上げた形にしたのが次のグラフ。2011年度第1四半期の不調ぶり(全世界で72万台のみ)、そして値下げ効果と年末商戦効果により2011年度第3四半期が大きなセールスをあげたこと(836万台)、その反動で次四半期が再びセールスを落としたことなど、季節変動と各種販売方針により、売れ行きが大きく変わっていく様子が把握できる。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2013年9月)(四半期推移)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2013年9月)(四半期推移)

去年、一昨年の動向と比較すると、元々今四半期は前・前々四半期と比べてセールスが伸びる時期にあるが、今年もその期待にたがわず大いに売り上げを伸ばしている。

他方、2011年はともかく2012年と比べると、前四半期と合わせ販売台数そのものは減退しており、スタートダッシュの勢いはすでになく、厳しい状態にある。日本は非常に健闘しており昨年とほぼ変わらない台数が売れているものの、アメリカではやや少なめ、そしてその他地域が昨年同期の半分程度でしかない。このその他地域(欧州がメイン)の不調により、全体的なセールスの足が引っ張られたことが分かる。仮にこの地域の値が前年同期比でアメリカと同程度の変化に留まっていれば、今四半期累計販売台数は280-290万台に届いていたはず。

次四半期以降の動きを見ると、10月に発売された「ポケットモンスターX」「同Y」が非常に堅調な動きを示している他、上記写真でも紹介したニンテンドー2DSを海外で展開しており(【二次元表示限定の3DS廉価版「ニンテンドー2DS」、欧米で10月12日から129.99ドルで発売】)、年間でもっとも大きな売り上げが望める年末商戦に向けた下地固めは進んでいる。

一方、かつて相乗効果を期待していた据置型ゲーム機「Wii U」のセールスが今一つで、今期の販売目標900万台に対し現時点で46万台、発売開始から合わせても391万台しか展開されていない。当然、3DS側も十分な支援効果が得られていないのが不安要因。

最終的な2013年度期における販売目標台数(1800万台)に対する、現時点での実績をグラフ化したのが次の図。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2013年4月-2014年3月期における目標販売台数1800万台に対する達成状況)(2013年9月末時点での同期内販売累計)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2013年4月-2014年3月期における目標販売台数1800万台に対する達成状況)(2013年9月末時点での同期内販売累計)

達成率はおおよそ22%。上記グラフにある通り、3DS(に限らず家庭用ゲーム機の多く)は年末商戦、四半期区切りでは9月から12月において大きなセールスをあげるため、今四半期ではこの程度の達成率でも特に問題は無い。ただし前年度で単期販売目標を1850万台から1750万台、1500万台へと下方修正したにも関わらず、結局7%の未達に終わったこと、さらに前年の同四半期では達成率が約29%だったことを思い返すと、達成するには厳しい目標と認識せざるを得ない。



今四半期決算短信では3DSのセールスに関し、ビックタイトルの相次ぐ展開や、歩みの遅さが懸念される海外市場では2DSを投入して顧客層の拡大を目指し、年末商戦の勢いを加速化させると説明している。また、パッケージソフトのダウンロード版の販売を促進し、収益性の向上を推し進めるともコメントしている。販売機会の多様化で品切れによる機会損失を極力減らして顧客のハートをつかみ、ハードの魅力を積み増しする思惑が見て取れる。

一方、先の記事【ゲームをする時に一番良く使う端末はゲーム機? それとも……】などの調査結果にもある通り、スマートフォンの普及が進むに連れて、本来家庭用ゲーム機、特に携帯ゲーム機の「お得意様」だった未成年者の間にも、「ゲーム機といえばスマートフォン」の風潮が広まりつつある。そのスマートフォンは【スマホは高一3/4、高三6割…高校生の携帯電話所有状況】の通り今や中高生にも急速に浸透しはじめ、さらに乳幼児にまで普及の勢いを見せている。保護者が率先して使っていれば、その子も利用するようになるのは必然の流れではあるが、ここまで急激な動きは想像できなかった人も少なくあるまい。

そしてゲームプレイヤーのお財布の中身が一定額、ゲームで遊ぶ時間が一定時間な以上、スマートフォンにそれらのシェアを奪われれば、携帯ゲーム機が選択される機会が減るのも当然の話。

任天堂がソーシャルな仕組みを上手く活用することで、スマートフォンと携帯ゲーム機(今件では3DSシリーズ)の共存を図る、むしろ相乗りしてその勢いに乗ろうとしているのは事実。しかし携帯電話、特にスマートフォンと携帯ゲーム機は競合する運命にある。ゲームで遊んだことのある人なら誰もが理解している通り、多数のゲームを一度に並列して、同じ熱中で遊ぶ人は滅多にいない。

ゲームを取り巻く環境が日々変化し、ゲームに特化した携帯ゲーム機の立ち位置がこれまでとは異なる場に移りつつある中、任天堂が3DSシリーズを通じてどのような「何物にも代えがたい、携帯ゲーム機ならではの価値」をプレイヤーに提供し、引き続き支持を得ていくのか。ゲーム業界最大の猛者といえる同社の知恵と経験則の活かしどころといえよう。


■関連記事:
【任天堂曰くの「ソーシャルゲーム」とは】

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