総計48.7万台、地デジ化後では初の全サイズプラスへ(薄型テレビ出荷動向:2013年9月分)

2013/10/29 11:30

2013年10月28日付で電子情報技術産業協会(JEITA)は同協会公式サイトにて、【民生用電子機器国内出荷統計】の最新値、2013年9月分のデータを発表した。その公開値によれば2013年9月の薄型テレビの出荷台数は48.7万台となり、前月比ではプラス23.6%、前年同月比ではプラス14.1%という結果になった。2011年7月の地デジ化後では初の、全サイズで前年同月比プラスの値を示したことになる。

スポンサードリンク


純粋出荷数、前月・前年同月比の確認


データ取得元の詳細やデータ内容に関する諸注意、「出荷数」の定義は一連の記事の集約ページ【定期更新記事:薄型テレビなどの出荷動向(電子情報技術産業協会(JEITA))】にあるのでそちらを参考のこと。

最初に算出するのは、純粋な出荷台数。直近2013年9月分の出荷台数、さらには過去の公開値を基に当方で算出した前月比・前年同月比をグラフ化した。テレビは季節による売行きの変化が激しいので、単純な前月比よりも前年同月比の方が、全体的な出荷すう勢を推し量りやすいことに留意しておく必要がある。

↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(万台)(2013年9月分、JEITA発表)
↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(万台)(2013年9月分、JEITA発表)

↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(前月比・前年同月比)(2013年9月分、JEITA発表)
↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(前月比・前年同月比)(2013年9月分、JEITA発表)

2013年9月における薄型テレビの日本国内出荷台数は48.7万台。ここ数か月は漸増しているように見え、季節変動を考慮しなくても済む前年同月比を算出でもその勢いは思い違いでないことが分かる。

また冒頭でも触れたように、今回月では地デジ化後(2011年8月以降)では初、そして一連の定点観測的記事の展開以降でも初となる、全サイズ区分、さらにはBDレコーダー・プレイヤーも含め、すべての前年同月比項目がプラスとなっている。前月比もプラスなことから、これもはじめてグラフ生成においてマイナス領域が必要の無い、すっきりとした形の図となった。

この流れはここ数か月前からのもので、突発的、イレギュラー的なものというよりは、満を持しての感が強い。小型(29型以下)はやや弱含みで次月には再びマイナスにぶれる可能性もあるが、全体的な流れに大きく逆らうことはないだろう。

台数そのものと前年同月比の変化


【カラーテレビの買い替え年数をグラフ化してみる(2013年分対応版)】でも確認しているが、世間一般的にはテレビの買い替えは8年から10年単位で行われている(直近では7.9年)。1年や2年のような短期間で「地デジ特需」の反動が収まるとは考えにくい。極端な話、7年位先の需要を先取りしてしまう事例もあるからだ。

次のグラフは薄型テレビの出荷台数そのもの、そしてその台数の前年同月比を算出して図にしたもの。「停波前特需、特に年末・年度末」「停波直前の駆け込み型特需」「停波後の年の年末に慌てて購入」の3期間で盛り上がりを見せ、それ以降は軟調な動きで推移しているのが分かる。今回も前回に続き、昨今のトレンド転換を受け、それが分かりやすいように、前年同月比のグラフでは2012年1月以降限定のものも併記した。

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、万台)(-2013年9月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、万台)(-2013年9月)

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(-2013年9月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(-2013年9月)

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(2012年1月-2013年9月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(2012年1月-2013年9月)

グラフ中にも吹き出しで説明している「アナログ波停止」(2011年7月)までは小型(青線)・中型(赤線)の方が値は高く、良く売れているのが分かる。特に停波による切り替えまで一年未満となった2010年末から、その傾向が強くなる。アナログ波が終了、デジタル波への移行が完全実行された2012年以降になると、逆に大型(緑線)が伸びはじめる。前年同月比ではいずれもマイナスだが、線の上下関係には明らかな違いが生じている。

この動きを消費者サイドの立ち位置で推定すると、「切り替え前…テレビが視聴できなくなるのが困る。『テレビ視聴環境が無くなる』のを避けるため、安いものでよいのでまずは1台調達」、「切り替え後…末永く使うのを前提に、少々高くても大型のものを調達」という購入パターンがイメージされる。この推定ならば、上記の出荷実績動向も説明が出来る。

また地デジ導入後に顕著となった薄型テレビの需要低迷に伴い販売価格が下がり、大型テレビの購入ハードルが下がったのも大型テレビ堅調化の一因。「買い替えは滅多にしない。サイズの差による価格はあまりない。ならば少しでも大きいものを買おう」という次第。

注目すべきは「前年同月比」のグラフの動向。地デジ切り替え後に需要が大幅に減った2011年夏以降、急降下の後、各項目ともマイナスが続いていた。これは直前の特需の反動が主要因。しかしその下落から1年経過後の2012年秋以降でも、前年同月比ではマイナスのまま推移している。

これにより特需による計算上の反動に留まらず、中期的な需要そのものの減退が起きていることが分かる。「地デジ化特需」が先取りしたテレビの需要は、数年分まで及んでいたことになる。上記の「カラーテレビの買い替え年数をグラフ化してみる」にもある通り、テレビの買い替えは平均で10年前後で果たされるからだ。

一方で前年同月比のグラフにもある通り、マイナス幅は少しずつ小さくなっている。先取りした需要の先取り分が漸次消化され、従来の状況に戻りつつある。今回月では前月再びマイナス化した小型も再びプラスに転じたことで、全タイプのプラス化が果たされることになった。特に大型は元々ここ一、二年では一番の成長株だったが、この数か月における伸びは著しく、薄型テレビ全体を引っ張っている感すらある。

月ごとの販売動向を経年で


最後に季節変動を考慮せずに販売動向の確認ができる、別の切り口によるグラフを生成する。これは「たばこの販売実績」の月次解説記事でも用いているスタイルのもので、個々月の動向を経年で比較している。毎年年度末と年末が季節上の特需時期となること、その翌月は反動で販売台数が大きく落ち込み、そして2010年(赤い棒)の年末は「地デジへ切り替えラッシュ」で特需が発生しているなどの動きを確認することができる。

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(万台)(-2013年9月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(万台)(-2013年9月)

今年2013年は9月分までグラフの中身が埋まることとなったが、月単位で確認しても地デジ化直前の2010年(赤)-2011年(緑)をピークに、それ以降は減少が続いている状況が把握できる。その一方、2011年から2012年にかけての下げ方と比べれば、2012年から2013年への下げ幅はわずかなもので、下げ止まりの時期に突入しているのが分かる。「8月分は2013年が前年比プラスに見えるが、これはグラフの記述様式によるもの」とは昨月の記事の表記だが、今月9月分は明らかに前年比でプラスを示している。

「そろそろ地デジ特需の反動も終わりか」とはここ数か月の締めの言葉の常套句ではあるが、今回全サイズでプラスを示したこと、元々動きの良い大型テレビでダイナミックな伸びを示したことから、その言葉にさらなる信ぴょう性が加わった感は強い。もちろん数か月に渡ってプラス化、少なくともプラス圏近辺での安定化が見えないと、反動や失速の可能性もあるため、しばらく様子を見る必要があるものの、「反動による低迷の終息宣言」を示すのも、そう遠い話のことではないようだ。

もちろん「反動による低迷」が終わったとして、その後薄型テレビの販売動向が漸増を継続するかどうかは分からない。世帯数は増加しているが世帯構成人数は減少し、若年層のテレビ離れは続いている。モバイル端末でのテレビ視聴の動きも進んでいる。良くて横ばい、あるいは再びマイナス圏で低迷する可能性も否定できまい。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー