災害廃棄物はあと4か月強で終了?…震災がれき処理動向(2013年9月30日時点)

2013/10/26 14:00

復興庁は2013年10月25日に同庁公式サイトで、「沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況」の最新情報となる、被災三県(岩手県・宮城県・福島県)での「震災がれき」(災害廃棄物等。災害廃棄物と津波堆積物)の2013年9月30日時点の処理進捗状況を公開した。その発表資料によると災害廃棄物の処理は85.5%、津波堆積物は69.5%まで進行していることが分かった。今回は前回月分の状態を精査した記事を継承し、今回発表された最新値を反映させ、さらに当サイトでの独自指標を算出し、がれき処理の最新の状況を確認していく。

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震災がれきは2640万トン、未処理分は550万トンにまで減少


「災害廃棄物」「津波堆積物」「災害廃棄物等」(「震災がれき」)などのような、今記事に登場する各種がれき関連の用語の意味は記事一覧ページ(【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】)にまとめている。そちらを参考にしてほしい。

まず最初に算出するのは、各対象物の「仮置き場」への搬入状況。災害廃棄物などは各種災害現場から仮置き場に搬送され、各種処分(焼却、埋め立て、再利用など)へと移行される。直接現場から処理現場に運ばない理由は、処理工程での混乱防止、作業の円滑化、そして現場(大部分は生活の場)からの「がれき」排除を最優先事項としているため(商品の流通網と同じである)。全体では災害廃棄物が94.9%・津波堆積物は92.2%との値が出ている。

↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年9月30日時点)
↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年9月30日時点)

がれき処理の作業進行に従い、仮置き場に運ばれた総量は増加する。一方でがれき推定総量の再計測、解体作業による新たな廃棄物が発生し、今件数字は一方的に上昇するのではなく、発表期間によりいくぶん上下する形となる(実際、前回記事での総量は2630万トン、今回月では2641万トンとなり、10万トン強増えている)。現状では両方とも9割を超えたが、昨今では状況の変化に伴う加算分・減少分による変化が生じており、さらに片づけと搬送が難しい地域での処理が残っていることから、この数か月間では大きな変化は生じていない。なお現時点はで5%強の災害廃棄物・8%近い津波堆積物が「未だに」現場に残されている計算になる。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を示すグラフを作成し、現状を確認する。「処分」には対象の状況次第で多用な手法(単純な埋め立て処分、再生燃料化、素材として売却処分・再利用)がある。【海水利用のコンクリート、大林組が開発・被災地のがれき処理にも有益】も一つの事例として挙げられよう。なお今グラフの「未処理」には被災現場に残されたままの状態のものもあるが、直上で解説している通りその多くは「仮置場」に搬入されている状態のものである。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年9月30日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年9月30日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年9月30日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年9月30日時点)(万トン)

上記にある通り全体で災害廃棄物は94.9%・津波堆積物は92.2%まで進んでいる仮置き場への集約率と比較すると、パッと見でも処理・処分済み具合が遅れている(グラフ上では「ぼやけた塗り部分の面積=未処理部分」が広い)状況が分かる。特に津波堆積物の遅れが深刻。

この遅延理由としては、「震災がれき」の処理は単純な建築物の取り壊しによるがれきと比べて内容が複雑で量も多いため、時間がかかることが最大の理由。そのため、それぞれの被災県内の処理だけでは、能力的・物理的に短時間での作業進行は不可能となる(クラス掃除を生徒一人で行わせると、時間がかかるのと同じ)。従って「迅速な」処理には被災県外処理の協力が不可欠となる。しかし(昨今ではやや沈静化しているが)、この被災地外での処理について、非科学的・感情的な起因で、少なからぬ障害・妨害がある。さらにはその機運を自勢力の求心力の拡大に悪用している筋もいる。

がれきの処理無くしては物理的、そして心理的な復興への足掛かりを得ることは出来ない。現場に、仮置き場におかれた廃棄物は時間が経てば処理がさらに困難となるだけでなく、その時間の分だけ周囲の人たちの心を傷つけていく。スピーディーな処理が強く望まれる。

間もなく7割に届く津波堆積物処理…全体的な処理の推移


復興庁では同庁公式サイト上で2011年12月時点分以降、災害廃棄物等の搬送動向を定期的に公開している。その公開資料で、処理・処分動向が掲載されたのは2012年2月14日分・津波堆積物は2012年7月31日分から。

そこで公開値として記録が確認できる範囲のデータを用い、処理状況の推移を折れ線グラフ化したのが次の図。一番右、今回精査している最新値の2013年9月30日時点は、震災から2年以上が経過している。その上で進捗を確認してほしい。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年9月30日)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年9月30日)

グラフのカーブ度合いを見れば分かる通り、災害廃棄物の処理は去年の年末、津波堆積物は今年の春先から処理ペースが上がっている。しかし、その上昇の一部は「国の直轄処理地域での処理状況が計算から除外されたこと」を起因としているため、処理の加速化のみが原因ではないことを記しておく。また上記で少し触れているが、処理の残りが少なくなるにつれ、より困難な場所での作業が必要となるため、災害廃棄物の処理状況はこの数か月に限れば、ややその歩みを遅くしているように見える。ともあれ最新の2013年9月30日時点で災害廃棄物の処理は8割半ばとなり、津波堆積物も間もなく7割に手が届く形となった。

今回月までの値をを基に単純計算をすると(震災直後の混乱期における処理不可能状況を半年と試算し、2013年9月30日時点で約25か月の処理期間が得られたと仮定する)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するまでにあと約4か月強、津波堆積物はあと約10か月ほどかかることになる。もっともこの類の処理は9割を超えたあたりから処理スピードが鈍化する(直上で説明した通り、処理が困難な場所での作業となることや、細かい部分の調整や集約、整理統合に時間がかかる)ため、災害廃棄物の処理がきっかり4か月で終わるとは考えにくい。良くてあと半年は必要になるだろう。

全体進捗率は79.2%…進行現状のまとめ


最後に現時点での処理状況を一目で把握できるよう、各県ごとの災害廃棄物と津波堆積物双方の処理済み・未処理トン数、さらには総重量に対する処理進捗状況を公開値から独自に算出し、その値を元にグラフを生成する。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年9月30日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年9月30日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年9月30日時点)(対全体進捗比率)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年9月30日時点)(対全体進捗比率)

一色で塗りつぶされている部分が処理済、ぼかし効果のある部分が未処理(現場に置かれたままのに加え、仮置き場に移されたものも含む)。「震災がれき」の処理進捗・現状がよく把握できる。現時点では震災がれきの処理は79.2%まで進んでいることになる。

今グラフのうち、特に万トン数の積み上げグラフから見るに、今なお550万トン近い震災がれきが処理されず、仮り置き場や現場に残されている、さらには現場に残されたままとなっている状況が分かる。現地での現場で作業を進める現場関係者、そして後方各面で作業をする方々の労苦がしのばれるばかり。同時に、さまざまな想いを去来させるがれき群を視野に収めねばならない現地の方々の心の痛みは、想像を絶するものがある。

一刻も早い状況の改善のため、関係者の作業の障害となるものを少しでも取り除けるよう、心から願いたいところだ。


■関連記事:
【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】
【震災がれき広域処理、賛成派88.3%・反対派8.9%】(2012年8月)

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