進む乳幼児のテレビ離れ、10年間で30分強減少

2013/10/25 15:45

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NHK放送文化研究所は2013年9月4日付、同所公式サイトで「2013年幼児生活時間調査」の概要を公開した。その内容によれば乳幼児の平日における平均テレビ視聴時間は99分であることが分かった。日曜はやや長めの109分となっている。また10年前の同様の調査結果と比較すると、平日は33分、日曜は14分ほど短くなっている。テレビ行為者率(テレビを視聴する人の割合)の減少と、テレビ行為者の視聴時間の双方が減少しているようだ(【NHK放送文化研究所:世論調査一覧ページ】)。


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保育園児は幼稚園児よりテレビを観る機会が少ない


今調査は2013年3月3日から4日に渡って、首都圏居住の0歳4か月以上就学(小学校入学)前の幼児を対象とし、調査票配布回収法で実施された結果を集計したもの。記入は乳幼児本人ではなく、その保護者が行っている。有効回答数は985人。

乳幼児にとって最大の娯楽であり、興味関心の対象であり、同時に保護者が注意を払わねばならないのがテレビ(視聴)。今調査では月曜と日曜それぞれにおける、子供のテレビ行為者率(テレビを観ている割合)を算出している。全体では月曜・日曜双方とも77%が観ているという結果になった。なお今件のテレビ視聴では録画番組やビデオ、テレビゲームは該当しないことに注意。

↑ テレビ行為者率(2013年)
↑ テレビ行為者率(2013年)

ゼロ歳児はさすがに少なめだがそれでも月曜で53%、日曜で43%。幼い時分で月曜の方が行為者率が高いのは、平日に母親が家事をしている最中に、子供をあやす代わりにテレビを観させているのかもしれない。3歳を超えると日曜の方が行為者率がやや高くなるが、月曜と大きな違いは見られない。

就園別に見ると、保育園児よりも幼稚園児の方が高い値を示している。保育園児は園にいる時間が長く、自宅のテレビに接触する機会が少ないため、その差がそのまま出てしまうのだろう。また【幼児を持つ母親の兼業率4割、10年で保育園預かり率は増加へ】にもある通り、構成年齢層は「未就園児」「保育園児」「幼稚園児」の順で高くなる傾向があり、これが「幼い子供ほどテレビを観ない(みせてもらえない)」のと合わせ、園別の行為者率に影響を与えているのも一因。

テレビ視聴時間では、3歳までは月曜、4歳からは日曜の方が長い(今件は「行為者」ではなく、各属性全体、つまりテレビを観ている子供と観ていない子供を合わせた平均であることに注意)。

↑ テレビ全員平均視聴時間(分)(2013年)
↑ テレビ全員平均視聴時間(分)(2013年)

特に4歳児以降は日曜の視聴時間が長くなる。行為者率の曜日差がさほどないところを見ると、日曜には長時間観たくなるテレビ番組が目白押しなのだろう。あるいは幼稚園や保育園に行かなくても良いため、観る機会が多く得られるのも理由ではある。

その就園関連で見ると、幼稚園児は曜日による差異がさほどないものの、保育園児は大きく日曜が伸びている。平日は長時間保育園にいるため、テレビを観る機会が少ない保育園児が、日曜にそれを取り戻すべく、テレビにかぶりつきな様子が想像できる。

10年で大きく減る「テレビっ子」


今調査ではほぼ同じ条件で10年前に行われた結果が併記されており、その値を並べ見ると、乳幼児のテレビ離れを確認できる。次に示すのは行為者率の10年間の変移を算出したグラフだが、ほぼすべての属性で大きく減少している、つまりテレビを観る子供が減っている。

↑ テレビ行為者率(2003年から2013年の変移)
↑ テレビ行為者率(2003年から2013年の変移)

5歳や6歳ともなれば自発的にテレビのスイッチを入れてテレビを観る事例も増えてくるが、概して乳幼児のテレビ視聴は保護者の教育方針によるところが大きい。保護者のテレビに対する評価・姿勢に変化が生じたのか、あるいはテレビ以外にも観る、する対象が増え、テレビの優先順位が下がったのか。恐らくはその双方だろう。特に平日の減少ぶりが著しい。

また就園別に見ると保育園児の減り方が大きなものとなっている。平日の減少ぶりは保護者の就労時間≒保育園児の園内行動時間の長期化が一因だが、日曜についてはその説明は成り立たない。理由を見つけることは今データの限りではかなわなかったが、気になる動きではある。

行為者率が減れば、当然のごとく平均視聴時間も減少する。

↑ テレビ全員平均視聴時間(分)(2003年から2013年の変移)
↑ テレビ全員平均視聴時間(分)(2003年から2013年の変移)

1歳の日曜でイレギュラーが生じているが、それ以外は視聴時間はすべて減少。行為者率の減少著しい平日における視聴時間の減り方が大きい。5歳児の月曜では41分、6歳では37分も減っている。

リリースではこの動きについて特段解説する所は無く、視聴傾向として「夕方以降の視聴が大きく減退し、一方で朝の視聴が増えている」とのみ解説している。朝の視聴が増えたのは保護者の多忙さによるところで、夕方以降視聴減少は、やはり上記にある通り「テレビへの姿勢の変化」によるものだろう。また別の要因として、ビデオの普及により録画番組やレンタルビデオなどの視聴が増えたことも原因として考えられることを付け加えておこう。

※スマートフォンやタブレットでゲームやテレビ受信が行えるため、それらの機器を代替品として用いているのが一因ではないかとする指摘がありましたことを、ここに書き記しておきます。ただし資料中の行動項目「テレビ」では「(テレビについて)実際に子供が「見たり聞いたりした」と思う時間」とだけあり、視聴対象媒体は特定していません。明記はされていませんが、スマートフォンなどでのテレビ番組の受信による視聴も、回答時には「テレビ視聴」としてカウントしていると考えられます


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【子供の「テレビ観過ぎ」が引き起こしかねない問題とは】


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