メリット「どこでも通用」ではデメリットは?…金投資の良い点・悪い点を探る

2013/10/24 14:45

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田中貴金属工業は2013年10月17日付で、投資に関する意識調査の結果を発表した。それによると調査対象母集団においては、金投資(ここでは投資対象として「金地金」の他に「金貨」「純金積立」も含む)について多くの人が良い点と答えた項目は「世界中どこでも通用する」だった。過半数の人が肯定している。次いで「値上がりの可能性がある」「世界で公開な価格で取引される」が続いている。一方不安な点としては「価格変動が大きそう」とする意見が最多を占め、5割近くに達していた。


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今調査は2013年6月28日から7月19日にかけて全国の20歳から69歳を対象に訪問面接方式で行われている。有効回答数は500人。男女比は1対1。

今調査対象母集団に現在投資している金融商品を聞いた結果が次のグラフ。株式や投資信託が多く、金投資は年々増加はしているものの、他の投資手段と比べればまだ少数派でしかない。

↑ 現在購入している金融商品(複数選択、特にない・預貯金を除く)
↑ 現在購入している金融商品(複数選択、特にない・預貯金を除く)

それでは金投資に関してメリットと思われるのはどのような点だろうか。考えられる選択肢を挙げ、同意できるものに答えてもらった結果が次のグラフ。最上位には「世界中どこでも通用する」の54%がついた。

↑ 金の投資についてよいと思う点(複数回答)
↑ 金の投資についてよいと思う点(複数回答)

工業的な点ではもちろん、観賞用、装飾用としても金(きん)は昔から価値ある存在として位置づけられている。その色合い、重厚感には魔力すら覚える。希少価値もまた、その魅力に大きな付加価値を積み重ね、世界中に通用するものとなっている(だからこそあらゆる物やサービスの対価として流通している貨幣の素材に、昔から金が使われているのである)。「金は世界に通用する投資対象」という認識も当然といえる。また「世界で公平な価格で取引される」も同じ理由。

次いで多いのは「値上がりの可能性がある」。中長期的に見れば金は確かに上昇傾向にある。特に投資そのものへのスポットライトがあてられるようになった今世紀に入ってからは、何度かの足踏みや下落を介しながら、概して大きな上昇機運のさなかにある。

↑ 田中貴金属における金(ゴールド)の販売・買取量指数の推移と金価格(指数は2001年の販売量を100とした時の値)(-2013年半期、一部概算)(再録)
↑ 田中貴金属における金(ゴールド)の販売・買取量指数の推移と金価格(指数は2001年の販売量を100とした時の値)(-2013年半期、一部概算)(再録)

この状況を見れば「価格が上がりそうなので期待したいな」と思う人が多いのも理解はできる。

他方、金投資に対する不安を抱く人も少なくない。その最大理由は「価格変動が大きそう」で46%の人が同意を示している。

↑ 金の投資について不安だと思う点(複数回答)
↑ 金の投資について不安だと思う点(複数回答)

上記のグラフは半年間隔なので上昇一本槍に見えるが、日々、あるいはもっと短い単位での動向を見ると、この指摘・不安が正しいことが分かる。

↑ 金価格と連動するETFの一つ、SPDRゴールド・シェア(1326)の過去半年間の動向(ヤフーファイナンスから)
↑ 金価格と連動するETFの一つ、SPDRゴールド・シェア(1326)の過去半年間の動向(ヤフーファイナンスから)

また「悪徳業者がいる」「品質が分からない」「セールスがしつこそう」など、悪質業者・非正規業者の存在によるマイナスイメージが深く浸透し、投資全般に対して影を落としている様子が見受けられる。さらに投資情報の浸透が不十分なことから「手続きが面倒」「どこで買えるか分からない」などの回答率も高いものとなっている。

金投資関連の商品を取り扱う業者サイドとしては、これらの「潜在需要」に応えるべく、利点をさらに引き延ばす工夫やサービスの開発と共に、悪徳業者に対する取り締まり強化へのアプローチを進め、広報宣伝活動に勤しむことが求められよう。


■関連記事:
【前年同期比で販売額は55%増加…田中貴金属、2013年上半期における投資用金地金などの取引量を発表】


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