出版業界の決算動向をグラフ化してみる(書店編)

2013/10/20 10:00

帝国データバンクは2013年10月17日、特別企画として「出版業界 201年度決算調査」を発表した。それによると書店経営業者でトップについたのは紀伊國屋書店で、2012年度の売上は1082億円だった。次いでブックオフコーポレーションの587億円が続いている。書店売上高上位陣の純利益率は1%内外だが、10位の中にも赤字を出した企業が3社確認できる。全般としては概して小規模書店の方が売上・利益共に厳しい状態にあるようだ(【発表リリース:特別企画 : 出版業界 2012年度決算調査】)。

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上位陣は売上伸び悩み・利益はそこそこ良好


今調査は2013年9月時点で帝国データバンクが把握している出版社・出版取次業者・書店経営業者のデータを基に作成されたもの。それによると書店の売上高トップは紀伊國屋書店で、2012年度は1082億円の売上を上げている。ただし同社では2年連続して売上高が減少しているのも確認できる。

↑ 書店2012年度売上高(上位10社)(億円)
↑ 書店2012年度売上高(上位10社)(億円)

↑ 書店売上高前年度比(売上高上位10社)
↑ 書店売上高前年度比(売上高上位10社)

売上高上位10書店に限れば、有隣堂のプラス化や未来屋書店の伸び率拡大、紀伊国屋書店・文教堂の下げ幅縮小なども見受けられるが、前年度と比べて売上高の点で状況が悪化した書店も少なくない。また2012年度単年で見ても、前年度比がマイナス(つまり減収)の書店は6店となり、大手ですら売上の点では伸び悩みを見せていることが分かる。

他方利益の面では売上高での上位10社のうち7社が純利益を上げており、売上動向と比べるとそれなりに堅調さを示している。

↑ 書店2012年度損益(売上高上位10社)(億円)
↑ 書店2012年度損益(売上高上位10社)(億円)

↑ 書店2012年度売上高純利益率(売上高上位10社)
↑ 書店2012年度売上高純利益率(売上高上位10社)

未来屋書店のように売上はそこそこだが利益率が高く、高い純利益を出しているところもあれば、逆のパターンの書店もあり、各書店毎のビジネススタイルの違いや内部事情による決算動向が見えてきて興味深い。また黒字を出しているところに限ると、売上高純利益率(売上高に対してどれだけ純利益を計上できたかを示す値。要は効率よく最終利益を得られるか否か。収益性を推し量る指標の一つだが、営業外利益も含めての計算となるため、企業によっては本業のみの指針とはやや外れる場合もある)は1%内外であることも分かる。

色々と注目を集めているブックオフだが、売り上げは書店内では第2位、利益は4.3億円、売上高純利益率は0.73%となっている。

大規模書店ほど経営は楽、かも


今回のデータに関して「売上高上位30社」「売上高上位31位以下」の2グループ、要は大手書店と中小書店に区分し、それぞれのグループの売上高や損益動向をまとめたのが次のグラフ。

↑ 書店売上高2期動向(売上高順位グループ別)
↑ 書店売上高2期動向(売上高順位グループ別)

↑ 書店損益2期動向(売上高順位グループ別)
↑ 書店損益2期動向(売上高順位グループ別)

売上高上位10社内では悲喜こもごも的な状態ではあったが、グループ化して上位陣としてまとめて見ると、概して売上高が大きい≒規模が大きい書店の方が、経営上は安定していることが分かる。ただし上位30社内で2012年度に赤字転換をした企業が16.7%も確認できることから、2012年度は大手ですらも厳しい状態だったことも透けて見える。

【出版社と売上高の関係をグラフ化してみる】【書店数とその坪数推移をグラフ化してみる】などでも触れているが、書店は他のエンタメ系小売店同様、多様化する消費者の趣味趣向に対応するため、また競合のインターネット通販に後れを取るまいとして、規模を拡大し少しでも多くの利用客の即時需要に応えられる体制へと移行しつつある。中小の書店の営業状況が大手と比べるとやや厳しい状態にあるのも、このような書店を取り巻く環境においては、致し方ないのだろう。


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【定期更新記事:出版物販売額の実態】

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