プエルトリコが急上昇、ギリシャ・キプロスは減少…(国債デフォルト確率動向:2013年10月)

2013/10/15 20:30

国債・公債などの債券の危険性を示す指針「CDS(Credit default swap)」を基に逐次算出が行われている、国・地域の国公債におけるデフォルト確率を示す「CPD」。当サイトでは主要国の中でも財政・債務のリスクが高い国々の動向、経済情勢の目安の一つとして、毎月定期的(月半ば)に今「CPD」の上位国の動向と、それをトリガーにした周辺環境の確認を行っている。今回は本日、2013年10月15日に取得した値をグラフ化し、現状の精査を行うことにする。

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CDSや、国公債のデフォルト確率を表す言葉CPD(5年以内のデフォルト可能性を示す)の詳しい定義、今件データの取得場所、各種概念の説明は一連の記事まとめページ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で確認のこと。

今グラフは日本時間で2013年10月15日、先程取得したばかりの一番新しいデータをもとに作成したもの。前回月も値が取得できた国・地域は前回値を併記している。今回も先月に続き、全部の国・地域が前月からの継続となったため、前月分が存在しないことを意味する「NO DATA」はグラフ上には無い。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年10月15日時点)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年10月15日時点)

ここ数年来当事国はもちろんその周辺各国、そして金銭上のつながりや心理的影響を考えればそれこそ全世界に影響を与えている、欧州地域を対象とした債務問題は、一昨年から昨年にかけて最大の山場を越え、少なくとも「現時点では」これ以上の状況の悪化は避けられそうな雰囲気で占められている。下り坂を折り続け随分と低い場所にたどり着いてしまったが、その坂がようやく終わりを遂げ、目の前には水平の道が広がっている感じである。

これは該当各国だけでなく、それらを包括する欧州委員会、ECB(欧州中央銀行)などの組織が、数多くの試練を通じて経験を得て、対処法を学び取り、現状に即した方針の軌道修正を行い(今年前半あたりから明確化された、IMFなどによる「縮小財政政策一本槍」の方針が転換されたことをトリガーとし、対象国の多くが「緊縮財政のみに固執するより、成長への道筋とリストラクチャリングの同時進行」にかじ取りを変えたのが良い例)、その知識を各施策に対応しているからに他ならない。もちろん該当国における絶え間ない財務上の努力によるところも大きいのは言うまでもない。

具体的に直近の動向を確認すると、EUなどの失業率動向ではスペインと共に常に最上位を争う、かつては今CPDでも群を抜いていたギリシャだが、今回は前回の第4位からさらに後退して第8位の座についている。無論CPD値は減少(=リスク縮小)。同国の経済指標が緩やかながらも回復の兆しを見せているのが、市場からも評価を受けているのだろう。また先月大いに上昇して気をヤキモキさせたポルトガルも、現時点ではその値を下げ、胸をなでおろした感は強い。

他方アメリカの自治領であるプエルトリコだが、再生可能エネルギーに活路を見出すべく四苦八苦をしているものの、財務的には破たんに近い状況が続いており(2009年3月に一度財政破たん宣言がなされている)、債務危機状態にある。その状況は今月も変わらず、というよりはさらに悪化し、ついにCPD値は70%を超え、勢い的には80%にすら届きそうである。相変わらず日本においては同国に関する報道は極めて少なく(しかもスポーツ系のものばかり)、わずかに10月8日付のウォールストリートジャーナルで【米政府やFRB、プエルトリコの経済・金融悪化を懸念】との記事が確認できる程度。

これによるとプエルトリコは債務不履行にすぐに陥ることはないものの、リスクは極めて高く、「自治区政府は、新発債の発行を延期する一方、混乱する金融・財政状態の修復に努めている」とあり、状況が混乱していること、そして今年7月に破産したデトロイトと比べても債務が大きく、アメリカ国内の自治体における債務問題としては小さからぬ懸念が抱かれていることなどが把握できる。

一方アメリカ自身も、記事執筆時点で予算案に関する与野党間の対立が続いており、10月1日以降、今なお政府機関は閉鎖されたまま。さらに債務上限問題に関するタイムリミットが10月17日とされており(あらゆる手を駆使すればあと数日、さらには10月末までは引き伸ばしできるとの話もある)、場合によってはアメリカそのもの債務不履行の発生懸念すら生じている。次回の今記事の計測タイミングとなる11月15日までには、この問題が解決していることを願わずにはいられない。万一CPDの上位陣にアメリカ自身が登場することがあれば、その時は速報的な形でお伝えしよう。


↑ 欧州のニュースでもアメリカ国内の与野党間の対立に伴う予算問題などには大きな懸念を抱いており、ニュースとしても良く取り上げられている。【直接リンクはこちら:United States budget battle protagonists lock horns over Obamacare 】



日本はCPD上位を示す上記グラフにその名前は無い。つまりそれだけCPD値が低い=デフォルトのリスクが低い。低値を示す国々の動向に関しては、四半期ペースで公開されるCMD Visionのリスクレポートの最新版(【CMA Release Global Sovereign Credit Risk Reportの一覧ページ】)で確認できる。その値をチェックした限りでは、日本のCPDは6.2%、順位は低い方から数えて19位。前四半期の2013年第1四半期では6.0%・20位なので、状況はやや悪化、相対順位はやや改善と解釈できる。詳しくは解説記事の【数か国で順位変動、日本は順位改善・数字はやや悪化(国債デフォルト確率動向:2013年2Q)】で内容を確認してほしい。

債券リスクを反映するCPDは、経済情勢を推し量る重要な要素。市場原理も多分に作用するが、不特定多数の専門家の思惑を経て決定づけられた値であり、さらにその値を見て各種判断を示す人も少なくない。値動きは経済の動向に従い、その値動きで経済もさらに動いていく。興味深い話ではあるが、同時に一度大きな流れが生じるとスパイラル的な変動が生じるため、過剰反応(現実の経済動向以上に各種指標が動いてしまうこと)の原因にもなりうる。

この一、二か月はCPDをはじめとする債務問題の注目が、欧州からアメリカに移った感はある。そしてその状況は今なお進行中である。平和裏、平穏に事が進み、情勢が平穏化することを祈りながら、今後も引き続きCPD値を通して世界の経済動向を推し量ることにしよう。

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