米動画視聴者が一番好むジャンルは何だろう

2013/10/18 11:30

アメリカの大手調査機関【Pew Research Center】は2013年10月10日付で同社公式サイトにおいて、同国内のインターネット上における動画視聴の動向に関する調査報告書【Online Video 2013】を公開した。今回はその公開データを元に、同国の動画視聴性向の移り変わりや、どのようなジャンルの動画が好かれているかについて確認をしていくことにする。

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成長続ける動画共有サイト


今調査の調査要件については先行記事の【米ネット利用者の7割は動画視聴、若年層なら9割を超える】を参考のこと。

その先行記事で解説したように、今調査対象母集団のうちインターネット利用者の72%、調査対象母集団全体では5割強が、YouTubeやVimeoなどの動画共有サイトで動画を視聴している。

↑ 動画共有サイトで動画を視聴(米、2013年7月、インターネット利用者対象)(再録)
↑ 動画共有サイトで動画を視聴(米、2013年7月、インターネット利用者対象)(再録)

この割合について、過去からの推移を見たのが次のグラフ。現時点で動画共有サイトの最大手YouTubeは2005年にサービスを開始したが、これを受けてPew Research Centerでは2006年から定期的(2012年は欠けている)に今件と同様の調査を実施している。第一回の調査時、2006年の時点ではすでに33%の人が利用していた。

↑ 動画共有サイトで動画を視聴する人の割合推移(米、インターネット利用者対象)
↑ 動画共有サイトで動画を視聴する人の割合推移(米、インターネット利用者対象)

それ以降も順調に利用者率は増加し、2013年の時点では2倍以上の72%に達している次第。

注意してほしいのはこれらの値は「インターネット利用者に対する比率」であること。2006年以降は漸次インターネット利用率そのものも増加しており、各年の調査対象母集団全体(つまりアメリカの成人全体)に占める利用者率は累乗的に増加していることになる。

人気が高いコメディとHowToモノ


それでは動画視聴率そのものでは無く、動画視聴者の視聴性向はどのような変化を見せているのだろうか。今回2013年分も合わせ都合3回分のデータがそろっているので、それを基にグラフ化したのが次の図。現時点で一番人気があるのは「コメディ・ユーモア」で、インターネット利用者の58%が視聴している。なおこの動画視聴には動画共有サイト「以外」からの視聴も含まれていることに注意してほしい。

↑ 視聴する動画のタイプ推移(米、インターネット利用者対象)
↑ 視聴する動画のタイプ推移(米、インターネット利用者対象)

次いで人気が高いのは、意外にも「HowTo物」。上手に素早くシャツを折りたたむ方法、きれいに油物の食器を洗う方法、そして恐らくはもっとも人気が高いであろう料理の作り方。動画ならば言語が分からなくともある程度理解は出来るし、何より具体的な映像により理解率・説得力が格段に跳ね上がる。また、その内容を実践することはないにしても、匠の技を観るだけでも充実した時間を楽しめる。


↑ 一時期話題に登った「シャツを2秒でたたむ方法」。【直接リンクはこちら:How to Fold a Shirt in Under 2 Seconds】

次いで多いのは「教育」「音楽」。半ば相反するジャンルだが、同率の50%が視聴している。「教育」も「HowTo物」同様に映像の利点を最大限に活かせるジャンルに違いない。「音楽」は昨今においては有名どころのアーティストが相次いで動画共有サイトをプロモーションの場として用いていることもあり、豊富なコンテンツが利用者のアップを後押ししているのだろう。

経年別に見ると、上昇率の幅に開きがあるものの、ほとんどの項目で増加を示しており、動画視聴者の視聴性向が幅広いものとなっていることが確認できる。これは利用者側の増加に加え、インターネットそのものや動画配信側の技術・環境が進歩し、多種多様なジャンルのコンテンツが高品質で提供できるようになったことに起因している。

ジャンルの順位の視点で確認すると、2007年当時にはトップに「ニュース」、次いで「コメディ」の順だったが、この6年の間に「コメディ・ユーモア」が大きく伸び、順位が入れ替わっているのが分かる。また「ニュース」は経年の上昇率が大人しい一方、「コメディ・ユーモア」「教育」「音楽」などの伸びが著しい。これもまた上記にある通り、技術の進歩により観るに耐える、さらにはテレビ視聴と変わらない質のものが提供されたことに伴うものだろう(「ニュース」は映像技術が進化しても、伝えるコンテンツそのものへの影響はあまりないため、メリットを享受できないでいる)。

さらに(経年データが無いのは残念だが)「HowTo物」の値の高さや「教育」「音楽」は、動画撮影側の環境整備により、個人・趣味のグループベースでも動画を作成・配信できるようになり、続々とコンテンツとして提供され、視聴できる動画の幅が広がったのも一因と考えられる。上記で例に挙げた「シャツを2秒でたたむ方法」も、個人ベースの映像であることを思い返せば、容易に理解はできる。動画作成のハードルが下がり、個人が動画市場に参加することで活性化したジャンルが、大いに受け入れられているという次第である。


↑ 編集技術を駆使すれば、個人でアカペラも可能。最近はこのスタイルの音楽映像も増え、人気ジャンルとなりつつある。【直接リンクはこちら:Epic Edit Choir - Joe Penna】

技術の進歩により動画品質が向上し、個人の参加が容易になることにより市場そのものが大きく広がり、ジャンルが多角化し、ますます動画視聴への魅力が加速度的・累乗的に高まりを見せていく。個人の活躍が容易なジャンルにおいては、今後さらに動画投稿量は増え、珠玉混合の中で視聴される動画は増え、今までより一層多くの人の時間を奪うことになるのだろう。


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