吉野家の客数増は続くも…牛丼御三家売上:2013年9月分

2013/10/07 14:45

吉野家ホールディングスは2013年10月4日に、同社子会社の牛丼チェーン店吉野家における2013年9月の売上高などの営業成績を発表した。それによれば既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス1.7%となった。牛丼御三家と呼ばれる主力牛丼企業のうち松屋フーズが運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年9月における売上前年同月比はマイナス3.8%、ゼンショーが展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス9.8%との値が発表されている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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全社前年同月比でマイナスだが吉野家トップ継続


↑ 牛丼御三家2013年9月営業成績(既存店)(前年同月比)
↑ 牛丼御三家2013年9月営業成績(既存店)(前年同月比)

牛丼御三家の前年同月比における客数・客単価・売上高の動向は上記のグラフの通り。そのうち吉野家に注目した上で、昨年同月の記事を基に営業成績を比較すると、一年前における客単価前年比はプラス5.1%。今月はそこから転じて8.4%のマイナスを示している。御三家の中では先月から続き最大の下落幅だが、これは主力商品の牛丼を値下げしたのが主要因(この値下げで基本メニューの牛丼価格は三社横並びとなった)。

しかしその値下げによる集客効果も確かなもので、客数は前年同月比で7.3%と唯一のプラス。これは前々年同月比を算出しても3.0%のプラスとなり、他社と比較しても、売上高にも多大な貢献をもたらしている。一方売上の面で足を引っ張った客単価だが、吉野家では該当時期に「ロース豚丼 十勝仕立て」の展開をしたものの(【ロース豚丼 十勝仕立て(吉野家「ロース豚丼 十勝仕立て」を9月12日から発売)】)、単価引き上げまでには至らなかった。同時期に行った施策、朝定食の時間の延長が、あるいは一因かもしれない。

↑ 牛丼御三家2013年9月営業成績(既存店)(前々年同月比)
↑ 牛丼御三家2013年9月営業成績(既存店)(前々年同月比)

松屋は今回月(9月)では、「生姜だし牛めし」「チキングリル定食」「豚と茄子の辛味噌炒め定食」など単価が高めな新商品を続々投入すると共に、「新米フェア」と称して定食の大盛・特盛化への無料キャンペーンを敢行、集客効果と客単価の引き上げを積極的に推し進めている。その成果が上がったのか、客単価は御三家では唯一プラスを示したものの客数の減少に引きずられる形となり、売上はマイナスに留まることとなった。

すき家でも「旨ポークカレー」「炭火やきとり丼」などの新商品を導入し、松屋同様に客単価向上を模索。しかし思惑通りに事は進まず、客高は下がり、さらに客数も大幅減。結果として売上高も御三家では最大のマイナス幅を示す形となっている。


↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2013年9月)

前年同月、前々年同月の売上グラフを見比べる限り、ここ一年以上続いている松屋・すき家での客数減少による売上減退は、1年を超えた期間に渡る中期的な流れであることが確認できる。中でもすき家の客数減少は著しく、これが売上の足を大きく引っ張る状況が続いている。2010年夏季をピークとし、それ以降は減退一直線である。

上記にもある通り吉野家と比べると松屋とすき家は次々に新しいメニューを展開し、目新しさによる魅力度の底上げと、客単価の引き上げを目論んでいるように見える。しかし客単価の面では松屋がわずかに成功しているがその上げ幅も限定的で、客数の減少傾向を押しとどめることはできない。小手先の変化では引止めできないほど、客離れが続いていると考えざるを得ない。

吉野家の客数増加継続中


牛丼業界では来場客の減少が現状における最大の解決すべき課題。今回月もマイナス値を示した松屋・すき家だが、松屋は18か月、すき家は22か月、客数の前年同月比マイナスを継続している。他方吉野家は先月から続き6か月連続して来店者数をプラス化しており、主力商品の牛丼値下げの効果が絶大なものであることが再確認できる。もっとも今回月は客数増加率は先月からほぼ変わらないものの、客単価が押し下げられ、売り上げはマイナスに至ってしまったわけだが。


↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2013年9月)

客数の顕著な減少は2011年夏からのもの。2011年3月の震災による影響が大きい、むしろそれを引き金としたと考えて間違いない。単なる一時的な影響ならば1年もすれば回復の兆しが見えてもおかしくないが、すでに2年以上も経過しているにも関わらず客数の減少が続いている状況は、短期的な・一時的ショックの類では無く、消費性向が大きく別方向にかじ取りされ、その結果として「牛丼(チェーン店)離れ」が起きたと見た方が道理は通る。

マクドナルドやモスバーガーに代表されるハンバーガーチェーン店でも似たような動きがあり、ファストフードは全般的に軟調さを示している。これはほぼ同時期に伸長を続けているコンビニの惣菜やフライヤー食品に代表される、ファストフード・日配食品にシェアを奪われた可能性が高い。かつて吉野家のキャッチコピーだった「早い・安い・美味い」のお株を奪われている形だ。

また先日【吉野家、業績予想下方修正】でも伝えたが、牛丼御三家では唯一客数の伸びで期待のかかる吉野家ですらも、コスト増には勝てず利益が圧縮され、業績予想の下方修正を発表している。今後もコスト負担の増加が容易に想像されることから、牛丼業界はしばらく難しい状況が続きそうだ。


■関連記事:
【コンビニエンスストアの商品構成別売上推移をグラフ化してみる(2012年12月分まで反映)】(コンビニの惣菜系商品の躍進が、牛丼などの一部ファストフードに影響を与えているのではないかとする話)
【牛丼御三家の店舗数推移などをグラフ化してみる(2012年8月分まで対応版)】

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