災害廃棄物処理率8割を超える…震災がれき処理動向(2013年8月31日時点)

2013/10/01 14:45

復興庁では2013年9月30日付で同庁公式サイトにおいて、「沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況」の最新情報となる、被災三県(岩手県・宮城県・福島県)での「震災がれき」(災害廃棄物等。災害廃棄物と津波堆積物)の2013年8月31日時点の処理進捗状況を公開した。その発表資料によれば災害廃棄物の処理は81.7%、津波堆積物は62.4%まで進行していることが分かった。今回は前回月分を継承する形で、今回発表された最新値を反映した上で、複数の独自指標を算出し、がれき処理の最新の状況を精査していく。

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震災がれきは2630万トン、未処理分は678万トンにまで減少


「災害廃棄物」「津波堆積物」「災害廃棄物等」(「震災がれき」)などのような、今記事に登場するがれき関連の言葉の意味や定義に関しては記事一覧ページ(【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】)にまとめている。そちらを参考のこと。

まず最初に算出するのは、各対象物の「仮置き場」への搬入状況。災害廃棄物などは最初に各種災害現場から仮置き場に搬送され、その上で各種処分(焼却、埋め立て、再利用など)が行われる。直接処理現場に運ばれない理由は、処理の工程での混乱防止、作業の円滑化、そして現場(大部分は生活の場)からの「がれき」排除を最優先事項としているため。全体では災害廃棄物が94.4%・津波堆積物は89.5%との値が出ている。

↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年8月31日時点)
↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年8月31日時点)

がれき処理の作業進行に従い、仮置き場に運ばれた総量は増加する。これは当たり前の話。しかし一方でがれき推定総量の再計測、解体作業による新たな廃棄物が発生し、今件数字は一方的に上昇するのではなく、発表期間によりいくぶん上下する形となる。現状では両方とも9割前後となり、状況の変化に伴う加算分・減少分による変化が生じており(特に国が直接処理を行う避難地域の勘案によるデータの修正が著しい)、この数か月間では大きな変化は生じていない。なお現時点はで5%強の災害廃棄物・1割強の津波堆積物が「未だに」現場に残されている計算になる。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を示すグラフを作成し、状況の精査を行う。「処分」には対象の状況によって多用な手法(単純な埋め立て処分の他、再生燃料として用いる、素材として売却処分・再利用)がある。【海水利用のコンクリート、大林組が開発・被災地のがれき処理にも有益】も一つの事例として挙げられよう。なお今グラフの「未処理」には被災現場に残されたままの状態のものは今や少数で、「仮置場」に搬入された状態のが多分に及んでいる。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年8月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年8月31日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年8月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年8月31日時点)(万トン)

上記にある通り全体で災害廃棄物は94.4%・津波堆積物は89.5%まで進んでいる仮置き場への集約率と比較すると、処理・処分済み具合が小さい(「グラフ上で一色にベタ塗されていない、ぼやけた塗り部分の面積=未処理部分」が広い)状況が分かる。特に津波堆積物の遅れが目立つ。

これは「震災がれき」の処理には、単純な建築物の取り壊しによるがれきと比べて内容が複雑で量も多いため、時間がかかることが最大の理由。そのため、それぞれの被災県内の処理だけでは、能力的・物理的に短時間での作業進行は不可能となる(大教室の掃除を生徒一人で行うのには、時間がかかるのと同じ)。従って「迅速な」処理には県外処理の協力が不可欠となる。昨今ではやや沈静化しているが、この被災地外での処理に関し、非科学的・感情論的な起因を主にした、少なからぬ障害・妨害があることは否定できない。

がれきの処理無くしては物理的、そして心理的な復興への足掛かりを得ることは出来ない。スピーディーな処理が強く望まれる。

8割に届いた災害廃棄物処理…全体的な処理の推移


復興庁では公式サイト上において2011年12月時点分以降、災害廃棄物等の搬送動向を定期的に公開している。その公開資料で、処理・処分動向が掲載されたのは2012年2月14日分・津波堆積物は2012年7月31日分からとなる。

その公開記録が確認できる値を用い、処理状況の推移を折れ線グラフ化したのが次の図。一番右、今回精査している最新値の2013年8月31日時点は、震災から2年以上が経過している。その上で進捗を確認してほしい。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年8月31日)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年8月31日)

災害廃棄物の処理においては去年の年末、津波堆積物は今年の春先から処理ペースが上がっている(グラフの傾き度合いでそれが分かる)。しかし、その上昇の一部は「国の直轄処理地域での処理状況が計算から除外されたこと」を起因としているため、処理の加速化のみが原因ではないことを記しておく。ともあれ最新の2013年8月31日時点で災害廃棄物の処理はようやく8割に達し、津波堆積物も6割に届く形となった。

今回月までの値をを基に単純計算をすると(震災直後の混乱期における処理不可能状況を半年と試算し、2013年8月31日時点で約24か月の処理期間が得られたと仮定する)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するまでにあと約5か月強、津波堆積物はあと約1年と3か月ほどかかることになる。もっともこの類の処理は9割を超えたあたりから処理スピードが鈍化する(細かい部分の調整や集約、整理統合に時間がかかる)ため、災害廃棄物の処理がきっかり5か月で終わるとは考えにくい。実際グラフの最先端部分を見ると、2か月ほど前から進捗ぶりが緩やかになっているのが分かる。

全体進捗率は74.2%…進行現状のまとめ


最後に現時点での処理状況を一目で把握できるよう、各県ごとの災害廃棄物と津波堆積物双方の処理済み・未処理トン数、さらには総重量に対する処理進捗状況を公開値から算出し、その値を元にグラフを生成する。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年8月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年8月31日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年8月31日時点)(対全体進捗比率)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年8月31日時点)(対全体進捗比率)

一色で平坦に塗りつぶされている部分が処理済、ぼかし効果のある着色項目が未処理(現場に置かれたままのに加え、仮置き場に移されたものも含む)。「震災がれき」の処理進捗・現状がよく把握できる。現時点では震災がれきの処理は74.2%まで進んでいることになる。

今グラフのうち、特に万トン数のグラフでは、今なお700万トン近い震災がれきが処理されず、仮り置き場や現場に残されている状況が分かる。現地での現場で作業を進める現場関係者、そして後方各面で作業をする方々の労苦がしのばれるばかりである。一刻も早い状況の更なる改善のため、彼ら・彼女らの作業の障害となるものを少しでも取り除けるよう、願いたいところだ。


■関連記事:
【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】
【震災がれき広域処理、賛成派88.3%・反対派8.9%】(2012年8月)

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