高齢者による犯罪状況をグラフ化してみる(高齢社会白書:2016年)(最新)

2016/07/25 05:02

内閣府では2016年5月20日付でインターネット上の公式サイトにおいて、日本の高齢化の進行と今後に向けた施策などをまとめた白書「高齢社会白書」の最新版となる2016年版を一般に公開した。今回はその白書の中から抽出したデータなどを基に、高齢者(65歳以上)自らが行う犯罪の動向をまとめることにする(【高齢社会白書一覧ページ】)。

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高齢者でも聖人では無く普通の人間である以上、意図することなく、衝動的に、ふとしたはずみで、さらには自発的に罪を犯してしまう。今白書では高齢者による刑法犯の検挙人員数などをまとめているが、その公開値を再整理したものが次の通りとなる。

↑ 高齢者による犯罪推移(包括罪種別刑法犯検挙人員)
↑ 高齢者による犯罪推移(包括罪種別刑法犯検挙人員)

↑ 高齢者の犯罪者率(人口10万人あたりの検挙人員)
↑ 高齢者の犯罪者率(人口10万人あたりの検挙人員)

検挙人員数は2007年以降はほぼ横ばいで推移している。該当する高齢者人口が増加していることを考えれば、比率的には減少傾向にあると見て良い。実際、10万人あたりの検挙人員も2007年以降、わずかずつではあるが減少している。

ただしこの類の事例の常として、発生比率だけでなく、発生した件数そのものにも重点が置かれねばならないことを忘れてはならない。比率、総数が減っているとはいえ、高齢者だけでも年5万件近い検挙数があり、それは今世紀初頭の2001年と比較すれば2倍強もの増加に違いない。

また各報道などでも良く取り上げられる「窃盗犯」(物品の盗取)について、件数、そして比率が増加している点にも注目したい。これは多分に万引きによるところが大きい。ちなみに万引きは窃盗犯の一要件であり、万引きも窃盗には変わりない。

ここ数年の傾向としては検挙数全体が横ばいで推移し、その中で「窃盗犯」の人員が増加しているのだから、当然全検挙数に占める比率も増加することになる。

↑ 高齢者の犯罪者率(高齢者の刑法犯検挙人員に占める窃盗犯の比率)
↑ 高齢者の犯罪者率(高齢者の刑法犯検挙人員に占める窃盗犯の比率)

2006年までは窃盗犯比率も減少していたが、奇しくも検挙数全体が横ばいに転じた2007年以降増加に転じ、2013年においては3/4近い73.7%が窃盗犯で占められるようになった。直近の2014年ではいくぶん比率は落ちて73.1%となったが、高い値には違いない。シンプルな表現をすれば、警察に捕まった高齢者の4人に3人近くは窃盗犯となる。

一方で、グラフ中では赤色に相当する粗暴犯(暴行、傷害、脅迫、恐喝が該当)が数、比率共に増大しているのが目に留まる。高齢犯罪者の粗暴化とでも表現すべきか。

↑ 高齢者の犯罪者率(高齢者の刑法犯検挙人員に占める粗暴犯の比率及び人数)
↑ 高齢者の犯罪者率(高齢者の刑法犯検挙人員に占める粗暴犯の比率及び人数)

【「高齢者万引き数増加」の話をグラフ化してみる】【未成年者と高齢者の万引き推移をグラフ化してみる】で詳しく解説しているが、高齢者の万引き行為の背景は中堅層までのそれとは異なる場合が多く、多分に孤独感や生活苦がトリガーとなっている。社会構造の全般的な変化が無い限り、今後も高齢化社会の進展と共に、万引き、そしてそれにより底上げされる窃盗犯の比率は上昇を見せるのは容易に想像ができる。行政側、特に地域社会を包括する自治体レベルにおいて、発生事由を見極め、多方面からの状況改善施策が求められよう。

他方、原因の一つには病的状況も想定されるが、これは粗暴犯の増加にも結びつく話となる。多分に本人には罪の意識が無い以上、より難しい問題には違いない。


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