全都道府県でマイナス、大都市圏では大幅減…全国紙の地域別世帯シェア動向(2013年上半期版)

2013/09/24 14:45

読売新聞社の広告ガイドページでは半年のペースで、日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」を基にした、主要新聞社の各種動向を公開している。その最新版に該当する2013年前半期分が、先日2013年9月20日付で掲載された。今回は前回記事のスタイルを継承する形で最新値を反映させ、全国紙5紙(読売、朝日、毎日、日経、産経)の都道府県別シェアの更新と状況の検証を行うことにする。

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全都道府県で前半期比マイナス


まずは「全国紙5紙の朝刊世帯普及率」(夕刊は含まれていないことに注意)を算出し、単純に合計したものを都道府県別に列挙する。なお今回のデータは上記にある通り、日本ABC協会「新聞発行社レポート 普及率」2013年1月-6月平均データを一次ソースとしている(ことになる)。


↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率・単純合計値(2013年上半期)

グラフ中に但し書きがある通り、「1世帯が複数の全国紙を購読している事例も多分にあるため、この値がそのまま『いずれかの全国紙を購読している世帯普及率』では無い」ことに気を付ける必要がある。例えば奈良県なら96.3%とあるが、これは「奈良県ではほぼすべての世帯が、5大全国紙のいずれかを購読している」訳ではない。仮に新聞購読全世帯が5紙すべてを購読していた場合、実質世帯普及率はその1/5、20%足らずとなる。

とはいえ、専門紙と一般紙の組み合わせならともかく、多数の世帯が全国紙を複数定期購読しているとは考えにくい。また、このグラフで高い値を示している地域(関東・近畿圏や山口県)では、以前の地図による解説記事【「全国紙」の都道府県別トップシェア新聞を地図化してみる(2010年下半期版)】において、読売新聞や毎日新聞のシェア比率が高い結果が出ており、納得もできる。

さらにいえば、この値が低い地域は「新聞そのものを取っていない」わけではないことにも注意してほしい。今件はあくまでも全国紙5紙のみでの話であり、地域紙は一切含まれていない。

次に、直前期2012年下半期からの半期における差異を計算したのが次のグラフ。


↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率・単純合計値(2012年下半期から2013年上半期への差異)

前半期ではいくつか県でプラスが確認できたが、今半期ではほぼすべてマイナス。沖縄県は0.00%とあるが、世帯数は増加を示しており、端数部分まで算出すれば実質的にはマイナスだろう。

また下げ幅を見ると、関東地域、近畿地域の下げ率が目立つ。福岡県も周辺地域と比べると高い下げ幅を示している点を見ると、人口密集地帯での下げ幅が大きいと考えることができる。

5大紙の地域別動向を探る


続いて全国を「北海道・東北」「関東」「中部」「近畿」「中国」「四国」「九州・沖縄」に分割した上で、それぞれの地域別の朝刊世帯普及率を算出したのが次のグラフ。


↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率(地域別)(2013年上半期)

元々人口密集地帯で普及率も高めの関東・近畿だが、読売新聞(青)と朝日新聞(赤)が群を抜いているのが分かる。特に関東では両紙が他紙の追随を許さない状態にあるのが確認できる(2ケタ台はこの2紙のみ)。一方、「毎日新聞は近畿や九州・沖縄などの西日本の方が普及率が高い」「朝日新聞は中部地域に限れば、読売以上の世帯普及率を示しており、四国でも大健闘している」「産経新聞は関東と近畿に特化している」のような、地域特性や各新聞社の特徴などが見えてくる。特に産経新聞の動向は顕著で、人口密集地域に集中して経営・営業リソースを割いているように見える。

この値に関して、前半期からの変移を計算したのが次のグラフ。地域別の動向を眺め見ることができる。


↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率(地域別)(2012年下半期から2013年上半期における変移)

まず最初に目に留まるのが、関東地域での読売新聞の減少ぶり。前半期比で1.06%ポイントも減少している。また近畿でも0.76%ポイント、中国でも0.50%ポイントと、比較的大きな部数減少が確認できる。

部数では5紙中唯一前半期比でプラスを計上した産経新聞だが、九州・沖縄地方で確認できる唯一のプラスをはじめ、他紙と比べると減少幅が小さい。全国でも0.06%ポイントの減少に留まっている。見方を変えれば、一人身世帯の増加などに伴う世帯数全体が増加する現状においては、産経新聞レベルの部数上昇が無いと、世帯普及率は維持できないことになる。

最後に、地域別では無く、各新聞社別に普及率グラフを再構築してみる。


↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率(新聞別)(2013年上半期)

読売新聞の強さは人口密集地域である関東や近畿における世帯普及率の高さ、そして同時に商業圏での強さが把握できる。朝日新聞もそれに近い動きを見せており、戦略的にはほぼ同じ方向性にあるのだろう。産経新聞も「有望地域への集中展開」という観点では変わりないようだが、品質や知名度などを別にすれば、経営リソースの不足が、第二の読売新聞・朝日新聞には届かない主要因だと考えられる。



本文中でも触れているが、昨今の日本では世帯数そのものは漸増傾向にあるため、仮にすべての世帯が半年間新聞購読を継続していたとしても、新規世帯分が計算上の母数に加わることから、世帯普及率は漸減する動きを示してしまう。あくまでも今件記事の各値は「どれだけの世帯に新聞が届いているか」を示す指標に過ぎず、「どれだけの『人数に』新聞が届いているか」は発行部数そのものを見た方がより正しいものとなる(もっとも「押し紙」の問題も出てくるのだが……)。

また、今回の結果からは関東・近畿のような人口密集地帯での減少が著しいことが確認された。理由はいくつか考えられるが、例えば同地域における「一人身世帯の増加」「公共交通網の発達に伴い、新聞の代替手段となるスマートフォンの普及促進で、新聞購読者・世帯が減った」などの理由が考えられる。

新聞購読を止める際に、その理由を聞けるはずもなく、これを裏付ける調査もなかなか見つけることは出来ないが、連動する可能性は多分にある。今後関連性を示すデータが見つかれば、その際に改めて検証したいところだ。

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