機械などマイナス項目増加、全体も再びマイナスへ(2013年8月分大口電力動向)

2013/09/21 20:00

電気事業連合会は2013年9月19日付に同会公式サイトで、2013年8月分となる電力需要実績の速報を発表した。それによると同年8月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で785億kWhとなり、前年同月比でプラス1.2%となった。一方、産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス0.3%を記録し、2か月ぶりに前年同月の実績を下回ることとなった。このプラスは繊維、紙・パルプ、鉄鋼を除く主要業種で、前年同月実績を下回ったのが原因とリリースでは説明している(【電気事業連合会:電力需要実績発表ページ】)。

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マイナス項目は4つに増加


今調査の概要および用語解説に関しては、過去の同調査結果を集約した定期更新記事の一覧ページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で解説が行われている。そのページで確認のこと。

2013年8月では大口全体で前年同月比マイナス0.3%となった。「前年同月比」であることから季節属性などに影響を受けない数字であり、各種工場の施設の稼働で生じる電力の消費が前年と比べて減ったことになる(稼働率そのものではないことに注意)。


↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2013年7月-2013年8月)

前回月では5業種が前年同月比でプラスとなったが、今回月では化学と機械がマイナスに転じることで、プラス圏の業種は3業種のみとなった。昨年と比べて今年は夏の厳しさも増し、冷房の稼働率も上がっているはずだが、電力消費量が減っている業種が多いのは、節電効果と稼働率減少の双方を起因としているに違いない。

ちなみに次のグラフは2011年3月の震災より前、2010年度と比較した今回月の大口電力使用量。今月は8月分なので、2010年8月時点での使用量との差異となる。稼働率動向だけでなく、震災以降に加速化した節電効果と合わせた変化によるものだが、これだけ震災を経て各業種で電力使用量が減っている状況にあることを認識しておく必要はある。


↑ 大口電力使用量産業別「2010年度」同月比(2013年8月)

特に紙・パルプと非鉄金属のマイナスが目立つが、両業種は節電や自家発電などによる「みなし節電」が進んでいることでも知られている。単純に工場稼働率の低下による電力消費量の減退とは言い切れないことに注意する必要がある。

中長期的な動向の確認


上記は単月、あるいは短期間に限定した動向だが、次のグラフは連続的な流れを確認するために生成したもの。2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移を記している。個々の値を細かく見定めることは難しいが「概略的な動向」を知るのにはこちらの方が向いている。


↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(-2013年8月分)

2008年秋に発生した「リーマンショック」が金融市場だけでなく、各実態産業界にも大きな影響を与え、工場稼働率が低下、結果として電力使用量も急降下した様子が分かる(鉄鋼は前年同月比でマイナス40%を超える月もある)。震災以降特に顕著化した節電による電力消費量低下とは、明らかに異なる要因によるものだ。2010年の秋口にはやはり鉄鋼の40%超えをはじめとする大きな上昇が起きているが、これも経済の急回復・工業の活性化では無く、リーマンショックの急落に対する反動でしかない。

その後はやや安定した流れを見せていたものの、2011年3月の東日本大地震・震災で大きく下げ、その後は押し並べてマイナス基調で推移している。これは震災による物理的な損害に加え、各種要因による稼働率の低下によるもの。特に電力需給問題や電気料金の引き上げが原因による、「稼働率に影響を与えない節電」によるところが大きい(その分初期コストがかかる、従業員の負担が増えるなど、電力消費・稼働率以外の点で動きが生じている)。

ちなみに今回の2013年8月・全体値の「前々年」同月比(2011年8月との比較)、つまり震災後における変化はマイナス1.7%。言い換えれば、震災直後で各発電所が停止状態に追い込まれ、電力がひっ迫した時期(2011年8月)と比較して、一般電気事業者からの大口電力使用量は1.7%減じていることになる。



今夏は例年と比べて梅雨明けも早く、各地で平年以上の高い気温が記録されている。熱中症による救急搬送者数も前年と比べて多く、直近で猛暑を記録した2010年に近い動きを示すほどのものとなった。しかし今8月において電力消費が前年同月とほぼ変わらず、マイナスの業種が多いのは、稼働率の問題よりも節電施策が進んでいるからだと考えられる。

無論その8月において、各電力管轄では需給状態が危険領域に達することもしばしばあり、電力需給が綱渡り状態にあることに違いは無い。また状態維持のために行われる電力会社各社の金銭的負担は極めて大きい(震災以降毎年兆円単位の余分な燃料コストが発生している)。そしてその負担は電力料金の値上げ、さらには各大口電力需要者への負担増とつながる。

水同様に製造業全般においては、安定的かつ安価な電力の供給は、生産活動の維持には欠かせない。その環境の良質な状態での継続整備のため、行政は偏見や非科学的な声に屈することなく、これまで以上の尽力が強く求められよう。

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