「ニート」の人口比率をグラフ化してみる(最新)
2020/03/16 05:18


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先行展開記事の【「ニート」数推移をグラフ化してみる】にある通り、子供・若者白書では「ニート」をほぼ同定義の「若年無業者」と表現しているが、その数はほぼ横ばいから漸減への動き。雇用市場も含めた景況感の改善や、若年層人数全体の減少、社会認識の変化などが要因として考えられる。

↑ 若年無業者(≒ニート)数(万人)(再録)
これらはあくまでも絶対数による人数の推移。多数の他資料からもある通り、日本の若年層人口は漸減傾向にあるので、「若年層全体に占めるニートの割合」は増加しているのか減少しているのか、この動向だけでは判断は難しい。そこで具体的にその状況を逐次算出し、折れ線グラフで推移を示したのが次の図。

↑ 15-39歳人口に占める若年無業者の割合
データの収録開始年である1995年当時は該当世代の1.3%でしかなかった「ニート」だが、その後上下を繰り返しながら中期的には比率は漸次上昇。2004年には2.0%に達し、2012年には最大の2.3%。その後、やや値を落としたが2016年では再び上昇し最大となる2.3%(2012年と同じ)の値を示した。直近の2019年では再び最大の2.3%に。概算だが2019年では15歳から39歳が43人集まると、そのうち1人がニートとなる。
このグラフ・値の動向の特徴としては、景気動向に大きく左右される事なく、上昇していた点が挙げられる。2001年から2002年にかけての0.5%ポイントもの上昇は、先行記事で言及した「若年無業者の急増」が、同年齢階層の全体人数の急増による比例的な増加によるものではなく、何らかの要因によって割合が増加した結果であることを表している。
この急上昇に関しては先行記事の通り「学校完全週5日制」をトリガーとする論説もあるが、そのほかに当時の不況を反映しているとの解釈もできる。しかしながらその後の景気回復にもかかわらず割合は減少していないことから、景気とは大きな関係は無いと推測される。不景気のみ連動し、好景気とは無関係の可能性もあるが、ならば2007年夏以降の金融不況の際にも、同様の大幅な上昇が起きねばならない。しかしながらそのような動きは見られない。
就業構造や社会情勢に大きな変化が無い限り、この比率は引き続き中期的には上昇を続けていくものと考えられる。ただしこの数年間の動きからは、現状がほぼ天井のようにも見える。
今後もニート数の絶対数とともに、該当年齢階層の人口比についても注視する必要があることには違いない。
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