吉野家の奮戦続く、すき家軟調…牛丼御三家売上:2013年8月分

2013/09/06 07:55

吉野家ホールディングスは2013年9月5日付で、同社子会社の牛丼チェーン店吉野家での2013年8月の売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でプラス2.9%となった。牛丼御三家と呼ばれる主力牛丼企業のうち松屋フーズ運営の牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年7月における売上前年同月比はマイナス1.5%、ゼンショー展開の郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス9.9%との値が発表されている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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売り上げで吉野家トップ継続、すき家苦戦



↑ 牛丼御三家2013年8月営業成績(既存店)(前年同月比)

吉野家に注目した上で、昨年同月の営業成績と比較すると、一年前における客単価前年比はプラス5.2%。今月はそこから転じて5.6%の下落をしている。御三家の中では最大の下落幅となるが、これは先月も言及したように、主力商品の牛丼を値下げしたのが主要因。これにより御三家の中では先月から継続する形で、客単価項目では最大の下げ幅を示している。

しかしその値下げによる集客効果も明らかで、客数は前年同月比で9.1%と唯一のプラス。これは前々年同月比を算出しても4.4%のプラスとなり、他社との比較からも、売上高にも多大な貢献をもたらしているのが分かる。なお同社では単価が高めな「新 焼鳥つくね丼」(【吉野家で「新 焼鳥つくね丼」が22日から発売、鳥マヨつくね丼もあるよ】)を期間内に新発売したが、客単価の底上げには今一つパワーが足りなかったようだ。


↑ 牛丼御三家2013年8月営業成績(既存店)(前々年同月比)

松屋は今回月(8月)では、【松屋の夏の風物詩「うまトマハンバーグ定食」8月8日から発売開始】で伝えた「うまトマハンバーグ定食」をはじめ、御三家中では一番精力的に新商品の展開を行っている。その甲斐もあってか、客単価はわずかながらも唯一のプラス。しかし客数がマイナスとなり、売上をプラスに押し上げるまでには至らなかった。

すき家では【「トリコ」とタイアップの「お好み牛玉丼」、すき家から期間限定登場】で紹介した「お好み牛玉丼」の展開などが確認できる。これらが貢献したから、客単価はほぼ前年同月比でプラマイゼロを維持できたものの、客離れには歯止めがかからず、売上も御三家中もっとも低迷する形となった。


↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2013年8月)

前年同月、前々年同月の売上グラフを見比べる限り、ここ一年以上続いている松屋・すき家での客数減少による売上減退は、前年同月の盛況からのリバウンドではなく、1年以上の中期的に渡り継続している。特にすき家では客入りの減り方が著しく、それが収まる気配を見せていない(2年前比で約2割の減少は異常事態とすらいえる)。

両社、特に松屋ではここ数か月の間、メニューのバラエティさをアピールし、単価の高めな商品を絶え間なく展開し、客単価の引き上げを模索している。しかし目新しさによる集客効果は限定的で、思ったほどの効果は出ていない。既存商品の焼き直し、過去商品のリバイバルでは、飽きを覚える人が増えているのだろう。

吉野家の客数増加はまだ続く?


牛丼業界において来場客減少が売り上げの低迷の主要因となっているのは明らか。今回月で松屋は17か月、すき家は21か月、客数の前年同月比マイナスが継続中。他方吉野家は先月から続き5か月連続して来店者数をプラス化しており、主力商品の牛丼への「値下げ」が功を奏しているのが分かる。しかも今回月はわずかながらも再び盛り上がりの気配を示している。


↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2013年8月)

このグラフで確認する限り、客数の顕著な減少は2011年夏から起きている。このタイミングを考慮すると、客数減少のきっかけは2011年3月の東日本大地震・震災と見ても良い。しかし時間の経過と共に震災の直接的な影響が薄らいでいくにも関わらず、客足が戻らない現状は、震災をきっかけとして、世間一般の「牛丼離れ」、消費性向そのものに変化が生じた結果と考えられる。

他のファストフード業界(例えばハンバーガーチェーン店)も多くで似たような状況にある。【コンビニエンスストアの商品構成別売上推移をグラフ化してみる(2012年12月分まで反映)】で指摘した、手軽さといえばファストフード店と肩を並べる、コンビニの日配食品が競合相手となり、シェアが奪われている可能性は大いにある。

先月の記事で指摘したように、吉野家の客数・売上の堅調さが、そのまま利益に結び付くわけではない。とはいえ、客入りの増加は小売店では大きなアドバンテージとなる。その状況を活かし、売り上げだけでなく利益もアップできる体制に移行できるのか。その観点で、吉野家の動向が気になるところだ。


■関連記事:
【牛丼御三家の店舗数推移などをグラフ化してみる(2012年8月分まで対応版)】

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