保育所待機児童の推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/12/05 05:22

厚生労働省は2016年9月2日、保育所関連の状況を取りまとめた報告書を発表した。それによると、保育所の入所を希望して申請しているにも関わらず、希望保育所が満員などで入所できない「保育所待機児童」(待機児童)は2016年4月1日時点で2万3553人となり、前年同時期比で386人増加したことが明らかになった。これは2年連続の増加となる(【発表リリース:保育所関連状況取りまとめ(平成28年4月1日)】)。

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そもそも論として保育所が必要なのは、出産後の世帯において共働きなどの理由により、日中の育児をする人が居なくなるため。離婚率は減少中だが、それ以外の理由も含め、片親と子供で構成される世帯は多数存在しており、また核家族化により育児をお願いできる祖父母が世帯内に居ないのも、保育所が必要となる原因。他方、核家族世帯が多く、母親の就労先と成りうるパート・アルバイトの就業先が多数存在することから、都市部での需要が増えている。そして需給の関係から、保育所に子供を任せたくとも任せられない状態「保育所待機児童」が発生することになる。

なお一連の調査において2015年分以降の「保育所」は、2015年4月に施行した「子ども・子育て支援新制度」において新たに位置づけられた幼保連携型認定こども園などの特定教育・保育施設(幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園、地方裁量型認定こども園)と特定地域型保育事業(小規模保育事業、家庭的保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業)(うち2号・3号認定)の数値を含んだものとなる。

発生事由から分かるように、待機児童は概して都市部に多い。資料によれば人数の上位市町村は東京都世田谷区の1198人をはじめ、千葉県船橋市、沖縄県那覇市、大分県大分市、宮崎県仙台市など大都市圏が多数を占めている。

↑ 待機児童数上位都道府県(2016年4月1日時点)
↑ 待機児童数上位都道府県(2016年4月1日時点)

↑ 待機児童数上位市区町村(2016年4月1日時点)
↑ 待機児童数上位市区町村(2016年4月1日時点)

次に挙げるグラフは、2005年以降毎年4月1日時点の待機児童数、そして保育所の定員推移。保育所の定員数そのものは増加しているものの、求められている地域に過不足なく展開しているとは限らず、そして保育所への入所を希望する事例も増えていることから、待機児童数は減少するどころか増加傾向にすらあった。しかしこの数年では各方面の努力が実を結びつつあり、2011年以降は2014年まで4年連続して減少を示していた。

ところが2015年では保育所定員が大きな上昇を示したにも関わらず、需要はそれを上回り、5年ぶりに待機児童数は増加に転じてしまっている。景況感の回復に伴う若年女性就業率の向上や、新制度の導入・サービスメニューの多様化による保育サービスの利用ハードルの低下から保育の申請者数の大幅増加が生じた結果ではある。直近の2016年も同様な状況で、制度改革による効果も合わせ保育所の定員は増加を続けているが、需要がそれを上回るなどの理由で、待機児童数はわずかだが増加を来している(直近年の申込者数は255万9465人、前年は247万2781人でプラス8万6684人)。なお都道府県レベルでは青森県、山形県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、鳥取県、広島県、高知県、宮崎県の12県で待機児童ゼロが達成されている(地方単独保育施策に入所している事例も含む)。

↑ 待機児童数と保育所定員推移(各4月1日時点)
↑ 待機児童数と保育所定員推移(各4月1日時点)

待機児童の存在は該当世帯の経済的な負担増にもつながり、好ましくない状況に違いない。これを受けて国はもちろん、地方自治体でも保育所の増設や規制の緩和などを行い、受け入れ体制を強化している。例えば神奈川県横浜市ではこの10年間で保育所の定員数を1.8倍に拡大し、2013年4月時点の待機児童数をゼロにしたことで注目を集め、その翌年も20人、2015年4月時点では8人までに留める状況を創りだした。しかしながら直近の2016年4月時点では、就学前児童数は前年より2831人減少したものの、保育所などへの利用申請者数は3642人も増加し、結果として待機児童数も391人に増加している(【保育対策課 横浜市の待機児童対策】)。

↑ 神奈川県横浜市の保育所定員数と待機児童数の推移(公開ページから抜粋)
↑ 神奈川県横浜市の保育所定員数と待機児童数の推移(公開ページから抜粋)

同市では待機児童ゼロを達成するために、保育所の整備に限らず、保育士の確保をはじめ多種多様な施策を実施し、環境整備を続けている。しかしながら最新のリリースを確認する限りでは、需要の拡大や多様化に伴い対応が間に合わない、ミスマッチの増加などが見て取れる。これは横浜市だけの悩みでは無く、多くの自治体共通の問題に違いない。


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