保育所待機児童の推移をグラフ化してみる(最新)

2018/09/08 12:11

2018-0908厚生労働省は2018年9月7日、保育所関連の状況を取りまとめた報告書を発表した。それによると、保育所の入所を希望して申請しているにも関わらず、希望保育所が満員などで入所できない「保育所待機児童」(待機児童)は2018年4月1日時点で1万9895人となり、前年同時期比で6186人減少したことが明らかになった。これは4年ぶりの減少となる(【発表リリース:保育所等関連状況取りまとめ(平成30年4月1日)及び「待機児童解消加速化プラン」と「子育て安心プラン」集計結果を公表】)。

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そもそも論として保育所が必要なのは、出産後の世帯において共働きなどの理由により、義務教育課程を受けるまでに成長していない子供の、日中の育児をする人がいなくなるため。離婚率は減少中だが、それ以外の理由も含め、片親と子供で構成される世帯は多数存在しており、また核家族化により育児をお願いできる祖父母が世帯内にいないのも、保育所が必要となる原因。他方、核家族世帯が多く、母親の就労先と成りうるパート・アルバイトの就業先が多数存在することから、都市部での需要が増えている。そして需給の関係から、保育所に子供を任せたくとも任せられない状態「保育所待機児童」が発生することになる。

なお一連の調査において2015年分以降の「保育所」は、2015年4月に施行した「子ども・子育て支援新制度」において新たに位置づけられた幼保連携型認定こども園などの特定教育・保育施設(幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園、地方裁量型認定こども園)と特定地域型保育事業(小規模保育事業、家庭的保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業)(うち2号・3号認定)の数値を含んだものとなる。

また2017年4月1日分の調査結果からは、待機児童の定義を改正し、保護者が育児休業中であってもその一部を加えるようにしている(【平成29年3月31日付け雇児保発0331第6号厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長通知、PDF】【保育所入所待機児童数及び定員数について(平成29年4月1日現在)(千葉県)】より)。例えば改定部分の記述には「育児休業中の保護者については、保育所等に入所できたときに復職することを、保育所入所保留通知書発出後や調査日時点などにおいて継続的に確認し、復職に関する確認ができる場合には、待機児童数に含めること。ただし、それが確認できない場合には、待機児童数に含めないこと」とある。

発生理由から推測できるように、待機児童は概して都市部に多い。

↑ 待機児童数上位地域(都道府県、人)(2018年4月1日時点)
↑ 待機児童数上位地域(都道府県、人)(2018年4月1日時点)

↑ 待機児童数上位市区町村(2017年4月1日時点)
↑ 待機児童数上位市区町村(2017年4月1日時点)

資料によれば人数の上位市区町村は兵庫県明石市の571人をはじめ、岡山県岡山市、東京都世田谷区、東京都江戸川区、兵庫県西宮市など大都市圏が多数を占めている。また、都道府県別では圧倒的に東京都が多い。続いて兵庫県や沖縄県などが入っているのはやや意外かもしれないが。

次に挙げるグラフは、2005年以降毎年4月1日時点の待機児童数、そして保育所の定員推移。保育所の定員数そのものは増加しているものの、求められている地域に過不足なく展開しているとは限らず、そして保育所への入所を希望する事例も増えていることから、待機児童数は減少するどころか増加傾向にすらあった。しかしこの数年では各方面の努力が実を結びつつあり、2011年以降は2014年まで4年連続して減少を示していた。

ところが2015年では保育所定員が大きな上昇を示したにも関わらず、需要はそれを上回り、5年ぶりに待機児童数は増加に転じてしまっている。景況感の回復に伴う若年女性就業率の向上や、新制度の導入・サービスメニューの多様化による保育サービスの利用ハードルの低下から保育の申請者数の大幅増加が生じた結果ではある。

直近の2018年では制度改革による効果も合わせ保育所の定員は増加を続けているが、需要がそれを上回るなどの理由で、待機児童数はいまだ多数存在している。もっとも、前年の2017年分から待機児童の定義を改めて、より広範囲に対象を広げたにもかかわらず、前年比で減少したのは、保育所の増設が一定の効果を示した結果だろう(直近年の申込者数は271万2359人、前年は265万0100人でプラス6万2259人)。

なお都道府県レベルでは鳥取県、岐阜県、山梨県、石川県、富山県、青森県で待機児童ゼロが達成されている(地方単独保育施策に入所している事例も含む)。

↑ 待機児童数と保育所定員(各4月1日時点)
↑ 待機児童数と保育所定員(各4月1日時点)

↑ 都道府県別待機児童実情(2018年4月1日時点)
↑ 都道府県別待機児童実情(2018年4月1日時点)(公開資料より)

待機児童の存在は該当世帯の経済的な負担増にもつながり、好ましくない状況に違いない。これを受けて国はもちろん、地方自治体でも保育所の増設や規制の緩和などを行い、受け入れ体制を強化している。保育所増加に伴い問題視されるようになってきた保育士不足に対しても、各種補助の制度を導入する地域も多数出ている(例えば埼玉県さいたま市の【さいたま市では、多様なメニューを用意して保育士として働くみなさんをバックアップしています!!】など)。

しかしながら最新のリリースを確認する限りでは、需要の拡大や多様化に伴い対応が間に合わない、ミスマッチの増加などが見て取れる。また保育所の新設には地域社会との兼ね合わせの問題もあり、特に需要が大きい都市部では難しいのが現状。

完全なゼロ化は難しいにしても、それを目指すため、さらなる努力が求められよう。


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