ギリシャの若年層失業率62.9%に悪化、スペインは56.1%に…EU失業率動向(2013年7月分)

2013/08/31 15:00

EU(欧州連合)内外の統計情報を整理集約し、各国の政策に役立てる統計情報を提供するEU統計局(Eurostat)は2013年8月30日、関連諸国の失業率データについて最新値の2013年7月分を公開し、その分析レポートも合わせて発表した。今回はその値を用い、主にEU諸国における失業率、とりわけ若年層の値にスポットライトをあて、状況の把握を行う。今回月では若年層失業率の高さで知られるスペインやギリシャのうち、後者の最新値が5月発表分以来再び6割を超えてしまったのが確認されている。

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ギリシャは全体で27%台に


データ取得元の詳細、グラフ中などに出てくるEA17・EU28については一覧ページ(【定期更新記事:ヨーロッパ諸国の失業率動向(EU統計局発表)】)上の解説部分をしてほしい。

さて、ILO基準における2013年7月時点の失業率は次の通り。EU28か国では11.0%・EA17か国では12.1%を記録している(先月から変わらず)。このグラフもあわせ今記事では、直近2か月分のデータがEurostat上で未収録の場合、掲載時点で公開されている最新月分のデータを代用している。例えばギリシャは今回更新時点において2013年5月分までの値が公開されているため、ここでは7月分として収録・掲載している。


↑ 2013年7月時点でのEU諸国等の失業率(季節調整済)

今回月ではトップは先月から続きギリシャとなり、スペインはそれに0.3%ポイントの僅差をつけての2位。ギリシャの値は上記にある通り最新値は2013年5月時点のものでそれを用いているため、単純比較はやや問題があるものの、同月の値同士で両国の値を比較すると、スペインは26.4%となるため、やはりギリシャの27.6%の方が上になる。

今回最新値を入力した上で目に留まるのはギリシャの失業率。元々この国は失業率が高いことで毎回注目される対象となっているが、今回は前月比で0.6%ポイントも悪化している。

↑ 2012年3月-2013年5月でのギリシャの失業率(季節調整済)

若年層だけでなく労働者人口全体で2割超え、直近では1/4強の失業率を維持しており、しかもほぼ毎月悪化の一途をたどっている。後述するが若年層の失業率は再び6割を超えており、同国の労働市場が急速に悪化している状況が手に取るように分かる。ヨーロッパ諸国の債務問題では一番の「問題児」であり、当サイトでも定点観測をしているCPD値(債券デフォルトリスク)も常に高い値を示している同国。その債務問題は解消の兆しを見せてはいるものの、雇用環境はさらに悪くなっているようだ。

このギリシャを筆頭に、失業率がとりわけ高いスペイン、キプロス、クロアチア、ポルトガルなど、財政・債務問題で話題に登る国々が、今失業率の上位に名前を連ねている。失業問題は単独で各国に発生しているわけでは無く、各国の経済・財政問題との高い連動性を示していることが分かる。

今回も該当月の前月(2013年6月)の値との差異を計算し、グラフ化を行う。Eurostatでは過去データも逐次修正されているため、前月分もその修正を反映した上で算出されている(【Data Explorer】上の値を使用)。


↑ EU諸国等の失業率変化(プラス=悪化)(季節調整済・2013年6月→2013年7月)(またはデータ最新一か月前→最新)

国内人口の少ない国では統計値がぶれやすい。また誤差が生じやすい国もある(毎月発表毎に、数か月分の修正が行われる国も複数確認されている)。そこで今件ではプラスマイナス0.5%ポイント以内は「誤差」と見なしている。その観点で見ると、ギリシャの悪化が要チェックとなる。元々失業率の高い国だけに、その国での急速な増加は、状況の加速度的な悪化を示していることになる。

ギリシャ再び6割を突破…若年層失業率


昨今の先進諸国・中堅国の失業問題で、特に大きな社会問題とされているのが、元々雇用上の立場では弱い立場にある若年層の失業率。直近の2013年7月時点では25歳未満の失業率はEA17か国で24.0%・EU28か国でも23.4%を記録しており、5人に1人以上が失業状態にある。

全体の失業率上位でもお馴染みのギリシャの62.9%(2013年5月)、スペインの56.1%を筆頭に、クロアチア、イタリア、キプロスなど、経済的に不安定な状態にある国、労働市場・雇用構造上の問題を抱える国での高さが際立つ。常に最上位のポジションを占めるギリシャやスペインだが、今回月は共に前月分より悪化(スペインは今回修正が入り、2013年6月分は55.9%となった)し、特にギリシャは急速な悪化を示してしまった。


↑ 2013年7月時点でのEU諸国等の25歳未満の失業率(季節調整済)(7月データが無い国は直近分)


↑ 2013年7月時点でのEU諸国等の25歳未満の失業率・前月比(季節調整済)(7月データが無い国は直近分)

上記にある通りプラスマイナス0.5%ポイント以内を誤差基準としているので、今回月ではギリシャの悪化が確認できる。全体の失業率でも高い値を示していることで知られる同国だが、若年層失業率はさらに高く、元々5割は当たり前の状況にあった。そのような中で、一か月で3.9%ポイントもの悪化は雇用状況の急速な変化が起きていると考えざるを得ない。


↑ 2012年1月-2013年5月での25歳未満の失業率(季節調整済)(ギリシャ)

今回の急激な上昇には、夏季における観光業の盛況化に際しての労働市場の変化を一因に挙げる向きもある。だが、上記グラフにある通り前年同月の2012年4月から5月への変移は0.7%ポイントでしかなく、急上昇の理由には成りにくい。社会制度・風習の違いを考慮しても、25歳未満の労働可能人口のうち6割以上が失業状態と認識されている状況は、決して健全であるとはいえない。



欧州の債務問題は「緊縮一本槍」から「緩やかな緊縮と経済の成長」へとかじ取りを変えているものの、状況全体が変わるのには相当な時間を必要とする。そして今回スポットライトを当てたギリシャをはじめ複数の債務国では、緊縮施政をやや緩めたとしても、他国から見れば膨大な財政援助を受けている・受けざるを得ない状況にある。これに対し負担をする側の国からは反発感が強まっているのも事実である。

経済状態の改善は、その国の社会問題の大部分を改善する、あるいはそのきっかけとなる。社会制度をリソースの分配に例えれば、分配するもの自身を増やすことで、より多くの人が、より多くの分け前を得られるという次第である。EU諸国が共同体としての仕組みを上手に使いこなし、連携し、経済力を押し上げ、「共に」上昇を果たせれば、各国の失業率も少しずつ、そして確実に改善していくことだろう。

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