災害廃棄物処理率は78.5%まで進展…震災がれき処理動向(2013年7月31日時点)

2013/08/31 14:00

復興庁は2013年8月30日に同庁公式サイトにおいて、「沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況」の最新情報となる、被災三県(岩手県・宮城県・福島県)における「震災がれき」(災害廃棄物等。災害廃棄物と津波堆積物)の2013年7月31日時点の処理進捗状況を公開・発表した。それによると災害廃棄物の処理は78.5%、津波堆積物は55.5%まで進行していることが明らかになった。今回は前回月分記事を継承する形で、今回発表された最新値を反映、更新し、複数の切り口から処理の最新の状況を精査していく。

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震災がれきは2629万トン、未処理分は800万トンに


「災害廃棄物」「津波堆積物」「災害廃棄物等」(「震災がれき」)など、今記事に登場するがれき関連の言葉の定義は記事一覧ページ(【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】)を参考のこと。

まず最初に算出するのは、各対象物の「仮置き場」への搬入状況。災害廃棄物等は最初に災害現場から仮置き場に搬送されて、それから各種処分(焼却、埋め立て、再利用など)が行われる。直接処理現場に運ばれないのは、処理の工程での混乱防止、作業の円滑化、そして現場(大部分は生活の場)からがれきを取り除くのを最優先事項としているのが理由。まずは仮置き場への移動が欠かせないのだが、全体では災害廃棄物が97.0%・津波堆積物は85.8%との値が出ている。


↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年7月31日時点)

がれき処理の作業進行に従い、仮置き場に運ばれた総量は増加する。一方でがれき推定総量の再計測、解体作業による新たな廃棄物の発生で、結果として今数字は一方的に上昇するのではなく、発表期間により上下する形となる。そして現時点はで3%の災害廃棄物・1割強の津波堆積物が「未だに」現場に残されている計算になる。

なお今回発表分では前回発表分に続き災害廃棄物、特に福島県相馬市・南相馬市のそれにおいて先月と比べ、搬送量が減退している。資料では「国が直轄で処理を行う避難地区を除いた地域について、進捗状況を整理」との説明がされており、今般数字には反映されない直轄作業部分の再計算が行われたと考えられる。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を示すグラフを作成、状況の精査を行う。「処分」には対象の状況次第で多用な手法(単純な埋め立て処分の他、再生燃料として用いる、素材として売却処分・再利用)がある。【海水利用のコンクリート、大林組が開発・被災地のがれき処理にも有益】も一つの例。なお今グラフの「未処理」には被災現場に残されたままの状態のものに加え、「仮置場」に搬入されただけのものも計上されている。


↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年7月31日時点)(万トン)


↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年7月31日時点)(万トン)

上記にある通り全体で災害廃棄物は97.0%・津波堆積物は85.8%まで進んでいる仮置き場への集約率と比較すると、処理・処分済み具合が低い(グラフ上で一色にベタ塗されていない、ぼやけた塗り部分の面積=未処理部分が広い)状況が分かる。特に津波堆積物は半分近くが未処理のまま。

これは「震災がれき」の処理には時間がかかることが最大の理由。そのため、それぞれの被災県内の処理だけでは、能力的・物理的に短時間での作業進行は不可能となる(大教室の掃除を生徒一人で行うのには、時間がかかるのと同じである)。従って迅速な処理には県外処理の協力が欠かせない。昨今ではやや沈静化の動きもあるものの、少なからぬ障害・妨害があることは否定できず、このような結果が出ている。

無論がれきの処理無くしては物理的、そして心理的な復興への足掛かりを得ることは出来ない。一刻も早い処理が強く望まれる。

8割に間もなく手が届く…全体的な処理の推移


復興庁では公式サイト上において2011年12月時点分以降、災害廃棄物等の搬送動向を随時公開している。その公開資料で、処理・処分動向が掲載されたのは2012年2月14日分・津波堆積物は2012年7月31日分以降。

その記録が確認できる値を用い、処理状況の推移を折れ線グラフ化したのが次の図。一番右、今回精査している最新値の2013年7月31日時点は、震災から2年以上が経過していることをお忘れなく。


↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年7月31日)

災害廃棄物は去年の年末、津波堆積物は今年の春先から処理ペースが上がっている。しかし、その上昇の一部は「国の直轄処理地域での処理状況が計算から除外されたこと」を起因としているため、一概にその加速化を喜べるわけではない。ともあれ最新の2013年7月31日時点で災害廃棄物の処理はようやく8割に手が届きそうな状況に達したが、一方で津波堆積物はまだ6割に満たない。

この値を基に単純計算をすると(震災直後の混乱期における処理不可能状況を半年と試算し、2013年7月31日時点で約23か月の処理期間が得られたとする)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するまでにあと約6か月強、津波堆積物はあと約1年半かかるということになる。もっともこの類の処理は9割を超えたあたりから処理スピードが鈍化するため(細かい部分の調整や集約、整理統合に時間がかかる)、災害廃棄物の処理がきっかり半年で終わるとは考えにくい。

全体進捗率は69.5%…進行現状のまとめ


最後に現時点での処理状況を一目で把握できるよう、各県ごとの災害廃棄物と津波堆積物双方の処理済み・未処理トン数、さらには総重量に対する処理進捗状況を計算し、それを元にグラフを生成する。


↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年7月31日時点)(万トン)


↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年7月31日時点)(対全体進捗比率)

一色で塗りつぶされている部分が処理済、完全に塗りつぶされてはおらず、ぼかし効果のある部分が未処理(現場に置かれたままのに加え、仮置き場に移されたものも含む)。「震災がれき」の処理進捗・現状がよく把握できる。特に万トン数のグラフでは、現地での現場で作業を進める現場関係者、後方各面で作業をする方々の労苦がしのばれるばかりである。


■関連記事:
【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】
【震災がれき広域処理、賛成派88.3%・反対派8.9%】(2012年8月)

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