全般的に軟調さは続く…少女・女性向けコミック誌部数動向(2013年4月-6月)

2013/08/28 11:30

社団法人日本雑誌協会は2013年8月23日に、四半期のペースで公開を行っている印刷部数について、最新分となる2013年4月-6月分を掲載した。これは協会側が許諾を受けている主要定期発刊誌の「印刷証明付き部数」を掲載したもので、各雑誌のすう勢を推し量る値としては精度の高い数字である。今回はその値を基に、「少女・女性向けコミック系の雑誌」について、グラフ化と状況の把握を執り行う。

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「ちゃお」の独走状況は変わらず


データの取得場所の解説や「印刷証明付部数」など用語の説明、諸般注意事項は一連の記事まとめページ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明済みなので、そちらで確認のこと。

まずは少女向けコミック誌。今四半期では同部門における脱落・追加雑誌は無し。前四半期で非開示化した「ASUKA」が復帰する気配はない。やはり角川グループ内における公開方針の変更は、継続中のようだ。


↑ 2013年1-3月期と最新データ(2013年4-6月期)による少女向けコミック誌の印刷実績

少年向けコミック誌では「週刊少年ジャンプ」が群を抜いた部数を見せているが、それと同じような状況が少女向けコミック誌では「ちゃお」において起きている。「ジャンプ」のように100万部には届かないが、「ちゃお」が第2位の「別冊マーガレット」に対し2倍以上の実績を見せている。第2位以降は今後のセールス次第で順位変動の可能性は多分にあるが、「ちゃお」のトップは不動のように思えてくる。

続いて女性向けコミック誌(要は少女向けと比べると、やや高い年齢層を対象としたもの)。こちらは少女向けコミックのグラフと比較して、横軸の区切りが小さめ(2万部単位)なのも一因だが、綺麗な序列でグラフが成形されている。なお前四半期でグループの方針によるものと思われる、データ非開示化が行われた「CIEL」の復帰は果たされていない。


↑ 2013年1-3月期と最新データ(2013年4-6月期)による女性向けコミック誌の印刷実績

トップは前四半期から継続する形で「BE・LOVE」。元は「週刊ヤングレディ」の増刊漫画誌。それから派生する形で、1980年に創刊している。女性の大人(30-40代)をターゲットにした「レディースコミック誌」(20歳以上の女性を対象とした漫画ジャンル)だが、第2位の「YOU」も同じジャンルの雑誌であることから、女性向けコミック誌における同ジャンルの強さが再認識できる。

また、発行部数そのものはいずれの雑誌も少なめで10万部に届いているのも2誌に満たないが、大きな順位変動が無いのもこの部門の特徴。対象雑誌に限れば、前四半期からの順位はまったく変わりない。

マイナス幅はやや縮小…直近の動向が分かる四半期変移


続いて前四半期と直近四半期との部数比較。要はこの3か月の間に、どれだけの印刷部数の変化を示したもので、季節変動などの影響を受ける可能性があるものの、最近の各誌の動向を知るにはもっとも適した値である。


↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2012年4-6月期、前期比)

赤対象、つまり誤差(マイナス5%まで)の範ちゅうを超えて下げた雑誌は皆無で、下げた雑誌もすべてが(一応)誤差の範囲に留まっている。前四半期が4誌であったことを考えると、状況は好転……というより悪化に足踏み感を覚える雰囲気はある(減少していることに違いは無い)。

なおここ数回に渡り注視している「別冊花とゆめ」と「ガラスの仮面」について、現時点で確認する限り連載の再開は果たされていない。単行本の第50巻も発売が延期され、現時点でも詳細は明らかにされていない。最新号の付録ではショートマンガBOOKなど、派生作品・企画は動いているものの、本家は止まった状態が続いている。部数動向も特需による盛り上がりから元に戻った形で、そろそろ新たな動きを見せても良いのだが。

女性向けコミックの動向は次の通り。


↑ 雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)(2013年4-6月期、前期比)

5%超えの下げ率を示したのは前四半期に続き「ザ・デザート」のみ。その他はいずれもプラスマイナスゼロか誤差範囲のマイナス値。プラス値は「フラワーズ」のみだが、こちらも誤差範囲。前四半期と比べると、多少ながらも落ち着いている。

以前紹介した、スティーブ・ジョブズ氏の伝記を漫画化した作品が連載中の「Kiss」だが、誤差の範囲内ではあるもののマイナス0.8%の下落。単行本の第一巻が発売され、それなりに支持を集めているようだが、現時点では雑誌部数のかさ上げに寄与するまでには至っていない。

厳しさを再認識させられる前年同期比


続いて算出するのは「前年同期比」の値。これは季節による販売の上下、すなわち「季節変動」「属性」を考慮せずにすむ値であり、年ベースでの雑誌の販売数すう勢が確認できる。まずは少女向けコミック誌。


↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2013年4-6月期、前年同期比)

前四半期記事のグラフとはさほど変わらず、状況は芳しくない。1年間で部数を1割以上も落とした雑誌が4誌もあるのだから、当然の話。なお上記でも触れた「別冊花とゆめ」は下げ幅の点で抜きんでているが、これは前四半期同様、「ガラスの仮面」特需の反動によるところが大きい。

続いて女性向けコミック。


↑ 雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2013年4-6月期、前年同期比)


↑ Cocohanaの部数推移(2013年4-6月期まで)

こちらも少女向けコミック同様、思わしくない状況が続いている。ただ、10%超えの下げ幅を示しているのが「ザ・デザート」のみなので、まだ悪化具合は大人しいといえる。

リニューアルにより一時的な部数の持ち直しを果たしたことで、この数回ほどモニタリングをしている「Cocohana」だが、今四半期では7.8万部。下落傾向に変わりはないが、リニューアル前と比べれば、この1年ほどはその下げ幅は緩やか。もっともこのままの状況が望ましいとは思えず、今後さらなるテコ入れが必要なのは言うまでもない。



今四半期は経済誌を中心に一部ジャンルで、前四半期と比べると復調の気配が見えてはいたが、少女・女性系コミック誌では四半期とさほど変わらない(やや落ち着いた、という程度でしかない)軟調さが目立つばかりの結果となった。

趣味趣向の多様化、メディアの上での選択肢の増加、「すきま時間」の消費性向の変わり様、雑誌を構成する内容の低迷など、複数の要因が昨今の不調の原因として想定される。ゲーム誌や女性向け一般誌(コミック誌に非ず)の中には、付録の充実により部数の底上げを模索し、一部で成功している事例もあるが、今ジャンルではそれも難しそうだ。

人口のほぼ半分が女性であることを考えると、もう少しこの分野、特に女性向けコミックには需要があっても良いように見えるのだが……。

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