二極化と足踏み感と…諸種雑誌部数動向(2013年4-6月)

2013/08/27 11:30

社団法人日本雑誌協会は2013年8月23日付で、同協会公式サイトにて四半期単位で更新・公開を行っている印刷部数に関し、2013年4月-6月分を掲載した。これは協会側が許諾を受けている主要定期発刊誌の「印刷証明付き部数」を載せたもので、各雑誌のすう勢を推し量る値としては精度の高いものとして知られている。今回は多種多様な雑誌の「前年同期比」を算出し、グラフを生成。それぞれの分野における市場動向を精査していくことにする。

スポンサードリンク


写真中心の雑誌低迷感継続…一般週刊誌


データの取得場所の解説や「印刷証明付部数」など用語の説明、諸般注意事項は一連の記事まとめページ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明済み。そちらで確認をしてほしい。

まずは一般週刊誌。二極化の様相を呈している。


↑ 一般週刊誌印刷実績変化率(2013年4-6月、前年同期比)


↑ 一般週刊誌印刷証明付き部数(2013年4-6月)(万部)

今回計測分では「FRIDAYダイナマイト」がデータ公開から脱落している。雑誌そのものは継続中なので、該当期間にたまたま刊行誌が無かった可能性もある。また前期比(前年同期比にあらず・グラフは略)でプラスなのは7誌で、状況はやや改善。ただし5%超のプラスは皆無。

前年同期比で見ると、過去数四半期に渡り堅調を続けていた「サンデー毎日」が、今回も前年同期比でプラス。例の『めしばな刑事タチバナ』を掲載している「週刊アサヒ芸能」は前年同期比でマイナス2.4%。前期比でもマイナス1.0%と、やや足踏み状態。タチバナ効果もそろそろ薄れてきたのかも。

他方、写真を中心に展開している雑誌群の低迷は継続中。それぞれ部数は未だに数十万部レベルを維持出来ているが、そろそろ何か抜本的な手を打つ必要があるように見える。

育児系はベビモが頑張る


続いて育児系雑誌。


↑ 育児系雑誌印刷実績変化率(2013年4-6月、前年同期比)

育児系雑誌は少子化が進んでいるとはいえ、毎年一定数の新規市場加入者(妊娠者、出産者)があることから、幼児用教育誌と並び手堅いジャンルではある…はずなのだが、現状としては今一つ。

その中で唯一群を抜いて奮戦しているのが「ベビモ(Baby-mo)」。今誌は季刊誌だが、前四半期の5.7万部から7.0万部にまで売上を伸ばしている。情報の網羅具合に加え、役立つ付録の展開が受けているようだ。

食・料理・レシピ系雑誌は、昨今の食事情、すなわち内食・中食をする人の増加と共に、ジャンルベースでの需要は増えている。しかし紙媒体よりはるかに機動力・柔軟性が高いレシピサイトにお株を奪われている感は否めない。


↑ 食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2013年4-6月、前年同期比)


↑ (参考)レタスクラブ/栗原はるみ haru mi 印刷実績。2013年4-6月期まで

「きょうの料理」「栗原はるみ haru mi」が前年同期からほとんど変わらずなのをのぞけば、軟調さが目立つ。「オレンジページ」がやや低迷、「きょうの料理ビギナーズ」「レタスクラブ」が大いに減退している。特に「レタスクラブ」は元々部数が大きめなことから、この1年で8万部近い下落(34.0万部から26.2万部)を示しており、危機感は強い。

他方「栗原はるみ haru mi」は今回も堅調な動き。ややマイナスだが誤差の範囲。他の類似系雑誌と比べて「栗原はるみ」本人による付加価値が雑誌を盛り立てている。

エリア情報誌は苦戦、犬猫雑誌は底打ちか


エリア情報誌。情勢は好転せず。


↑ エリア情報雑誌印刷実績変化率(2013年4-6月、前年同期比)

前四半期の記事では唯一プラスを示した「北海道ウォーカー」も、今回はマイナスに。ただしマイナス幅は関連誌ではもっとも小さい。それ以外はすべて5%以上の下げ幅で、特に「福岡」「東京」の2誌が著しい。いずれも10万部足らずの雑誌で、部数そのものの減少数は2万部にも満たないのだが、そろそろ何らかの変化が生じる可能性はある。

ペットとしては常に対で紹介される「犬猫」それぞれの専門誌、「いぬのきもち」と「ねこのきもち」。


↑ 犬猫雑誌印刷実績変化率(2013年4-6月、前年同期比)


↑ 「いぬのきもち」「ねこのきもち」印刷証明付き部数推移(万部)(2013年4-6月期まで)

写真投稿系ソーシャルメディアの普及で「自分のペット自慢」や「ペット関連の情報共有」という飼い主の需要面における、インターネットへのシフト感が強まる中、両誌の部数は減退を続けていた。しかしこの1年ほどの間に、ようやく底打ち感を見せる状況となった。もっとも「いぬのきもち」はもう少し下げる余地があると解釈することもでき、油断は禁物。

ちなみに直近期の発行部数は「いぬのきもち」13.0万部・「ねこのきもち」10.0万部で、部数そのものは「いぬ」の勝ちであることに変わりはない。

残された「小学一年生」「二年生」の動向やいかに


最後に小学生向け雑誌。「小学●年生」シリーズそのものはすでに2誌しか残っておらず、「小学3年生」以上はすべて休刊。そこで関連性の深い幼稚園に絡んだ雑誌3誌を追加し、グラフ化している。


↑ 「小学●年生」シリーズ+α印刷実績変化率(2013年4-6月、前年同期比)

今回は誤差範囲ではあるが、「小学一年生」が久々のプラスに。「小学二年生」の下落幅も一応5%未満に留まっており、毎年減少を続ける両誌の下落ぶりに歯止めがかかった……という期待は持てる。他方、「入学準備学習幼稚園」のマイナス14.5%という下落幅が気になるところ。もっとも部数換算なら0.8万部の減少でしかなく、過度な心配はいらないのかもしれない。



以上かいつまんだかたちではあるが、いくつかの部類における雑誌動向を確認した。全体的なイメージとしては、雑誌業界そのものの低迷感は否めないものの、前四半期と比べるといくぶん下落速度にブレーキがかかった雰囲気はある。もっとも下げていることに変わりはない。

料理本におけるレシピサイトの存在、犬猫などのペット関連誌ではソーシャルメディアなど、既存の紙媒体誌を代替するどころか、雑誌には不可能な有益機能を豊富に盛り込んだインターネットサービスが、各雑誌の立ち位置を危うくしつつある。どのような媒体でも可能な情報提供誌では無く、紙媒体にしかない付加価値の提供、紙媒体だからこそ出来る企画・方針への戦略的転換が、各雑誌には早急に求められている。

それは今回取り上げた部門に限った話ではないのだが。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー