景気回復と共に一部復調へ…ビジネス・マネー系雑誌部数動向(2013年4月-6月)

2013/08/26 11:30

社団法人日本雑誌協会は2013年8月23日付で、同協会が四半期ペースで更新・公開している印刷部数について、2013年4月から6月分の値を明らかにした。この値は主な定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」で示したもので、雑誌の販売実態を推し量る指標として、第三者が提示したものとしてはもっとも公平で信頼できる、精度の高いものとして知られている。今回はその値のうち、「ビジネス・マネー系雑誌」関連のものを抽出し、状況の精査を行うことにする。

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「プレジデント」が名前に恥じぬ売上ぶり


データの取得場所の解説、「印刷証明付部数」など用語の説明、諸般注意事項は一連の記事まとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

それではまず最初に、2013年の4-6月期とその前期、2013年1-3月期における印刷実績を確認する。


↑ 2013年1-3月期と2013年1-3月期のビジネス・金融・マネー誌の印刷実績

今四半期では増減誌は無し。そして対象誌の中ではいつも通り「PRESIDENT(プレジデント)」が群を抜く部数を誇っている。詳しくは次の項目で解説するが、前四半期の青棒よりも今四半期の赤棒の方が長い雑誌が多く、今四半期では多くの雑誌が健闘を見せていることが分かる。一方で各誌間の隔たりは比較的大きいままで、順位変動までには至っていない。

3誌が10%近い上昇…前期比較


続いて各誌における四半期間の販売数変移を計算し、こちらもグラフ化。約3か月の経緯で印刷部数(≒販売部数)の変化が生じたのかの割合を示すもので、何らかの環境、内部変化が無ければ、3か月程度では大きな変化は生じない。


↑ 雑誌印刷実績変化率(ビジネス・金融・マネー誌)(2013年4-6月、前期比)

今四半期では3誌、具体的には「プレジデント」「THE21」「COURRiER Japon(クーリエ ジャポン)」が9%台の増加を示している。各誌の該当期間中の発行号を確認しても「この号が売れたから全体的に伸びた」と特筆すべきものは見当たらないが、低迷続くビジネス誌でこれだけの堅調ぶりが確認できたのは珍しい。景気回復感がビジネス誌への注力を高めた、と考えれば道理は通るのだが。

ただあえてチェックを入れるとすれば、「THE21」では6月号の「誰とでも無理なく話せる「大人の雑談術」」、「プレジデント」では6月3日号の「人に好かれる言い方」という、対人関係の改善方法に関するコミュニケーション術的な特集が展開されているのが目に留まる。あるいはこれが牽引力の源なのかもしれない。

一連の記事で数回に渡りモニタしている「COURRiER Japon(クーリエ ジャポン)」も強い動きを続けている。内容的にやや軌道修正が成されており、その方向性に懸念を示す声も見受けられるが、部数そのものは堅調さを維持している。


↑ COURRiER Japon印刷証明付き部数(2013年4-6月期まで)

前年同期比動向でもあの雑誌が群を抜く


続いて前年同四半期の算出とグラフ化。この値なら、いわゆる季節変動などを考えずに、純粋な年ベースでの雑誌のすう勢を推し量ることができる。


↑ 雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系、2013年4-6月、前年同期比)

直上でも触れているが、「クーリエ ジャポン」がこの1年の間に急激な伸びを示しており、それが年ベースの変動値にも反映される形となっている。また、前四半期比で大きなプラスを示した残り2誌も健闘を示しており、今四半期の伸びがいかにインパクトのあるものだったのかが分かる。

他方、前期比で大きなマイナス値を示した2誌は、前年同期比でも低迷している。中長期的な停滞感の中にあると見て良いようだ。



本文で触れているが今回大きく部数を伸ばした3誌のうち2誌は、特集内容的に需要に応えた結果による可能性もある。しかし過去にも類似特集は繰り返し行われていたこともあることから、それだけで10%近い上昇を示したとは考えにくい。やはり景気動向の回復ぶりが、ようやく経済系雑誌にも反映されるようになってきたと見た方が道理は通る。

しかし一方、前期比・前年同期比の双方で、今期の部数が伸び悩んでいる雑誌があるのも事実。情勢の流れに乗れなかったのか、あるいは乗るだけのポテンシャルを持ち合わせてなかったのか。もう一度各誌を確認すると、概して専門誌色の強い雑誌に出遅れ感があるのは否めない。

他方、上昇を示した雑誌においても、確認した限りでは以前から指摘を繰り返している、「デジタル情報化社会」に即した、大胆な改善の動きは見られない。インターネットはもとよりスマートフォンやタブレット機の普及加速化は誰にも止められない事象であり、対応が求められている状況に変わりはない。次四半期も景気動向を受けて堅調な流れが継続しても、それに安穏とするのではなく、むしろ良い機会として、さまざまな手を打つ時と判断すべきだろう。

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