付録や著名連載再開で大きな伸び…ゲーム・エンタメ系雑誌部数動向(2013年4月-6月)

2013/08/25 14:00

社団法人日本雑誌協会は2013年8月23日に、四半期のペースで更新している印刷部数に関して、2013年4月から6月分の値を、同協会のデータベース上に反映させた。この値は主な定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」で示したもので、雑誌の販売実態を推し量る指標として、各誌が独自に公開している「公称」部数よりはるかに公平で信頼できる。今回はゲーム専門誌などをはじめとするゲーム誌や、声優・アニメを取り扱ったエンタメ誌などから成る「ゲーム・エンタメ系」のデータを精査していくことにする。

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Vジャンプ独走体制に変化なし


データの取得場所の解説や「印刷証明付部数」など用語の説明、諸般注意事項は記事のまとめページにあたる【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明をしている。そちらで確認をしてほしい。

それでは早速、まずは最新値に当たる2013年の3-6月期と、その直前期2013年1-3月期における印刷実績を見ることにする。


↑ 2013年の1-3月期と2013年4-6月期におけるゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績

幸いにも今回は脱落誌は無し。一方で追加誌も無く、前四半期で抜けた角川系の雑誌における公開復活の気配はない。

印刷部数そのものの絶対値としては、「Vジャンプ」の独走体制に変化はない。またアニメ系雑誌(いわゆる三大アニメ誌「ニュータイプ」「アニメージュ」「アニメディア」)では「ニュータイプ」が一歩先んじている感はある。

前四半期との相違を確認する


次に四半期、つまり直近3か月における印刷数の変移を計算し、その結果をグラフ化する。季節変動などによる動きもあるが、ダイレクトな変化を知れる値には違いない。


↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系雑誌)(2013年4-6月期、前期比)

前進半期同様、「ファミ通DS+Wii」が大いに下げている。これは3DS用ソフト『とびだせ どうぶつの森』発売に伴う、昨年末における前四半期比3割強の伸びを示した反動。同ソフトそのものは今なお高い稼働率を見せ新規販売本数も堅調さを示しているものの、旬を過ぎた感は否めない。

他方「Vジャンプ」と「ニュータイプ」の伸びは特筆に値する。前者は「遊戯王」の付録カードや『ドラクエ10』のアイテムコードが大きな牽引力となったようだ。後者は5月号から連載を再開した「ファイブスター物語」が大きなインパクトとなったと考えて間違いない。

前年同期比で年ベースでの動きを探る


続いて前年同期比における動向を精査する。「電撃プレイステーション」「「マックピープル」など一部の雑誌は2012年第4四半期から情報公開を再開したため、現時点では前年同期比の値が算出できないため、グラフからは除外される。そのため、上記グラフと比べるとやや寂しい形となる。


↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系)(2013年4-6月期、前年同期比)

前四半期ベースで大きく伸びた「Vジャンプ」だが、年ベースでも飛躍的な上昇を示したことが確認できる。一方、「ニュータイプ」は四半期単位では大きく伸びを示したが、年ベースではまだ盛り返しには足りない伸びだったのが分かる。

アニメ系雑誌は概して軟調。特に2割超のマイナス値を示している雑誌が2誌もあるのが気になるところだ。中でも上でも触れた三大アニメ誌だが、いずれもマイナス1割超のグループ。「アニメージュ」が一番下げ幅が小さく、相対的には奮闘している。部数縮小傾向に違いは無いが、縮小幅に差が出ており、その状況が続いているため、3誌間のパワーバランスにも変化が出ている。


↑ 三大アニメ誌の印刷実績(部)(2013年4-6月期まで)

直近値では「ニュータイプ」8万2000部、「アニメージュ」5万8500部、「アニメディア」5万9400部。ギリギリだがいまだに「アニメディア」が「アニメージュ」に競り勝っている状況にある。ただし部数差は確実に縮まる傾向にあり、いつ順位が逆転してもおかしくはない。



今回伸びを示した「Vジャンプ」と「ニュータイプ」のように、人気を集める付録の展開や注目の連載掲載で部数を伸ばす雑誌もあるが、概して一時的なものに留まる場合が多い。その「特需」を生み出す新企画を毎号のように輩出できれば、雑誌そのものの価値も上がり、部数も伸びていくはずだが、今のゲーム・エンタメ系雑誌には、そこまでの気概、材料は無い。

スマートフォンの普及が若年層にも進むことで、ゲーム用端末としてのゲーム機の地位も揺らぎつつある(【スマートフォンとゲーム機とパソコン、普段ゲームをする機会がもっとも多いのは?】)。それと共にデジタル系の情報媒体も普及しつつあり、速報性では紙媒体の雑誌は到底かなわない状態にある。変わりつつある市場環境に対応し、部数の維持、さらには上昇を目指すためには、「他には無い特別な一品」「手元に残しておきたい」と思わせるだけの価値を呈する必要がある。

今回の注目2誌のように、デジタルでは提供できない付録をつけたり、その雑誌でしか楽しめないコンテンツを提供するのも一つの切り口。さらに多種多様な切り口を見出し、それこそ毎号「特需」が発生するようなスタイルの雑誌を創りだすことができれば、低迷から脱することも不可能ではあるまい。

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