男性向けは前年同期比で全誌マイナス…少年・男性向けコミック誌部数動向(2013年4月-6月)

2013/08/24 15:00

社団法人日本雑誌協会は2013年8月23日、四半期単位で更新・公開を行っている印刷部数に関し、公開データベース上の値について2013年4月-6月分を掲載した。協会側が許諾を受けている主要定期発刊誌の「印刷証明付き部数」を載せたもので、業界の動向・実情を示すものとして、各紙・各出版社が個別に発表している「公称」販売部数より高精度な値である。今回は「少年・男性向けコミック誌」のデータを複数の切り口でグラフ化し、現状を精査していく。

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直近四半期の動向、少年ジャンプは相変わらず群を抜く


データの取得場所の解説や「印刷証明付部数」など用語の説明、諸般注意事項は一連の記事まとめページ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

まずは少年向けコミック誌。相変わらず「週刊少年ジャンプ」の独走トップ状態に違いは無い。


↑ 2013年1-3月期と最新データ(2013年4-6月期)による少年向けコミック誌の印刷実績

「ジャンプ」は直近データによれば印刷部数は280万9167部。ジャンプでも返本は存在しているはずなので、販売実数はこれよりも少なくなる。大体250万部前後が目安だろう。雑誌を取り巻く環境の変化(主に荒波、逆風)の中で、これだけの値を維持していることには、素直に感服させられる。もちろん同誌の最盛期にあたる1995年時点の値、635万部と比較すると見劣り(4割強)はしてしまうのだが。

今四半期は幸いにも脱落誌は無く、また追加誌も無い。前四半期で相次ぎ非公開化された角川グループの雑誌について公開値復帰の動きは見られない。

続いて男性向けコミック誌。こちらも世間一般のイメージ通りの印刷部数展開。


↑ 2013年1-3月期と最新データ(2013年4-6月期)による男性向けコミック誌の印刷実績

該当誌の中では「スーパーダッシュ&ゴー!」が脱落している。これは以前「スーパーダッシュ&ゴー!」休刊、一部作品はウェブで夏から展開継続】で伝えたように、同誌は2013年4月25日の第10号をもって休刊してしまったからだ。一部はウェブに移行しているが、そのウェブ版は完全無料で月2回のスタイルを維持し、現在も逐次更新中である。

それをのぞけば、三巨頭「ビッグコミックオリジナル」「ヤングマガジン」「週刊ヤングジャンプ」の独壇場は継続中。ただし前四半期から続く形で、部数下落状況に変わりはない。

一連の記事で追いかけている、2誌の統合・再構築による展開という珍しい形で発売継続中の「グランドジャンプ」と「グランドジャンププレミアム」だが、今四半期でも情報の公開は前者のみ。統合前の「ビジネスジャンプ」の最後期データ23.9万部を下回る状況は続いているが、ようやく部数下落にも歯止めがかかり、落ち着きを見せるようになった。ここから流れを反転させ、部数を盛り上げられるか否かがポイントとなる。


↑ グランドジャンプの印刷実績(万部)(2013年4-6月期まで)

前四半期比較で動向を眺める


続いては今件データから、各誌の前・今四半期間の販売数変移を計算し、状況の確認をする。季節変動「など」を考慮しない、単純比較になるが、短期間の動きをダイレクトに知るのには一番の手立てとなる。なお今回データが非開示となった雑誌、今回はじめてデータが公開された雑誌はこのグラフには登場しない(比較のしようがないため)。

まずは少年向けコミック誌。


↑ 雑誌印刷実績変化率(少年向けコミック誌)(2013年4-6月期、前期比)

「コロコロイチバン!」と「別冊コロコロコミックスペシャル」の伸びが目立つ。部数そのものの伸びはそれぞれ、約2万部・約2万3000部で、中期的には誤差の範囲に収まる値だが、大きな上昇には違いない。前者は2013年7月号の付録「ポケモントレッタピカチュウ」と「特製トレッタBOX」が大きな牽引力となったのだろう。

他方マイナス誌は多いものの、ほとんどが誤差の範囲。気になる下げ方をしているのは「コロコロミック」と「サンデージェネックス」。後者は前四半期の記事で解説したように、前四半期で強力な連載陣の展開による部数かさ上げが起きており、その反動によるところが大きい(実のところ、前々四半期と同じ値に戻っている)。

続いて男性向けコミック。こちらは少年向けと比べると多少ながらも軟調さが目立つ。


↑ 雑誌印刷実績変化率(男性向けコミック)(2013年4-6月期、前期比)

誤差と判定されないプラス誌は皆無、マイナス誌は3誌。前四半期分の記事でも言及した、マイナス幅が著しい「スーパーダッシュ&ゴー!」は、上記にある通り紙媒体としては休刊。今回は値が提供されておらず、当然グラフ上にも無い。それをのぞけば「ヤングアニマル」系の不調さがやや目立つ位で、大きな変化はない。

季節変動を考えずに済む前年同期比で検証


次に示すのは、季節変動による部数そのものの変化を考慮しなくても済む、前年同期比を算出したもの。今回は2013年4-6月分と、その1年前2012年4-6月分の数字の比較となる。これにより、雑誌の印刷数における年ベースでの伸縮動向が確認できる。

まずは少年向けコミック誌。


↑ 雑誌印刷実績変化率(少年向けコミック誌)(2013年4-6月期、前年同期比)

前年同期比でプラスを示したのは1誌、「別冊コロコロコミックスペシャル」のみ。逆に10%以上の下落を示しているのは「少年サンデースーパー」「ゲッサン」「コロコロコミック」「最強ジャンプ」「コロコロイチバン!」の5誌。

特に「少年サンデースーパー」の下落率は30%超と著しいものがあるが、これは昨年まで3万から4万部を維持していた同誌が、今年に入ってから2万5000部に部数を下げているのが原因。前四半期の記事で解説した通り、同誌は2012年1月売りの3月号からリニューアル・新装刊を行い部数の底上げをしたものの、その勢いは続かずに失速を続けている。それでもまだ、リニューアル以前よりははるかに多い部数なのが幸いだが。


↑ 雑誌印刷実績変化率(少年サンデースーパー)(部)

続いて男性向けコミック。こちらはグラフ上は真っ赤、現状としては(顔が)真っ青という表現が適している状態。


↑ 雑誌印刷実績変化率(男性向けコミック誌)(2013年4-6月期、前年同期比)

プラスを示した雑誌はゼロ。誤差を超えるマイナスぶりを示した雑誌は12誌。中堅層向け雑誌として手堅いセールスを見せていた「コミック乱」三兄弟のうち、「コミック乱ツインズ戦国武将列伝」がマイナス2割超の値を示しているのが意外な動き。同誌は三兄弟の中では一番部数が少なく、去年の末期から部数の減少ぶりが著しい。他兄弟との差別化が難しくなってきたのかもしれない。



雑誌業界が全般的に軟調なのはどの分野でも変わらない事実だが、今回取り上げた分野では男性向けコミック誌の方が状況的に厳しいように見受けられる。これは対象読者が成年男性であることから、ライバル的なメディアとなるモバイル端末への移行組が増えているのが大きな要因と考えられる。

無論雑誌社側でもそのモバイル端末組への移行の波に乗るべく、各種デジタル媒体化を推し進め、その中で紙媒体との連動性を高める施策を続けている。また一方で、【Jコミ】のように、既存の雑誌上の「資産」をデジタル上で有効的に再利用する動きも活発化している。特に「Jコミ」の場合、かつての名作の掘り起こしにより、紙媒体(雑誌では無く単行本だが)のセールスが底上げされるなど、興味深い動きも見受けられる。

とはいえ全般的には、今件記事の各数字にある通り、雑誌の販売数の減退ぶりに歯止めはかかっていない。時代の流れを明確につかみ取り、正しいかじ取りが出来なければ、この動きはさらに進むに違いない。

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