繊維など多数項目がプラス、全体も14か月ぶりにプラスへ(2013年7月分大口電力動向)

2013/08/22 14:45

電気事業連合会は2013年8月19日付で同会公式サイトにおいて、2013年7月分の電力需要実績の速報を公開した。それによれば同年7月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で702億kWhとなり、前年同月比でプラス2.5%となった。一方、産業用の大口電力需要量は前年同月比でプラス0.7%を記録し、14か月ぶりに前年同月の実績を上回った。このプラスは窯業・土石、非鉄金属を除く主要業種で、前年同月実績を上回ったのが原因とリリースでは説明している(【電気事業連合会:電力需要実績発表ページ】)。

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マイナス項目は2つのみ


今調査の概要および用語解説は、過去の同調査結果を集約した定期更新記事の一覧ページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で解説が行われている。そのページにて確認のこと。

2013年7月では大口全体で前年同月比プラス0.7%となった。「前年同月比」であることから季節属性などに影響はされない数字であり、各種工場の施設の稼働で生じる電力の消費が前年と比べて減ったことになる(稼働率そのものではないことに注意)。


↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2013年6月-2013年7月)

前回月は化学と繊維の2業種が前年同月比でプラスを示したが、今回月では紙、鉄鋼、機械が加わり、5業種にまでプラス圏が拡大した。化学がやや値を縮小したのが気になるが、それ以外は概して横ばい、あるいは値を積み増ししている。7月は早めの梅雨明けや気温上昇も目立っており、単に工場の稼動率上昇だけでなく、冷房の稼働率が上がったのも一因と考えられる。

ちなみに次のグラフは震災前、2010年度と比較した今回月の大口電力使用量。今月は7月分なので、2010年7月時点での使用量との差異となる。単純に稼働率動向だけでなく、震災以降に加速化した節電効果と合わせの変化によるものだが、これだけ震災を経て各業種で電力使用量が減っている状況にあることを認識しておかねばならない。


↑ 大口電力使用量産業別「2010年度」同月比(2013年7月)

中長期的な動向確認


上記は短期的、あるいは個別月での動向である。次のグラフは連続的な流れを確認するためのもので、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移を記したものとなる。個々の値を細かく見定めることは難しいが「概略的な動向」を知るのにはこちらの方が向いている。


↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(-2013年7月分)

2008年秋に発生した「リーマンショック」が、各実態産業界にも大きな影響を与え、工場などの稼働率が低下し、電力使用量も急降下した様子が分かる(鉄鋼は前年同月比でマイナス40%を超える月すら確認できる)。昨今の節電による電力消費量低下とは、明らかに異なる要因によるものだ。2010年の秋口にはやはり鉄鋼の40%超えをはじめとする大きな上昇が起きているが、これとてリーマンショックの急落に対する反動でしかない。

その後はやや安定した流れを見せていたものの、2011年3月の東日本大地震・震災で大きく(とはいえ2009年のそれと比べれば小さなものだが)下げ、その後は一様にマイナス基調で推移している。これは震災による物理的な損害だけでなく、各種要因による稼働率の低下が一つ。そして電力需給問題や電気料金の引き上げが原因による、「稼働率に影響を与えない節電」によるところが大きい。

ちなみに今回の2013年7月・全体値の「前々年」同月比(2011年7月との比較)、つまり震災後における変化はマイナス1.0%。言い換えれば、震災直後における夏期の電力ひっ迫時(2011年7月)と比較して、一般電気事業者からの大口電力使用量は1.0%減じていることになる。



今夏は例年と比べて梅雨明けも早く、各地で高い気温が記録されている。上記にも記したが多分に前年同月比でプラスとなる業種が増えたのは、景気回復感による工場などの稼働率の増加に加え、冷房施設の動きによるものと考えられる。

一方、数字目標こそ無くなったが電力需給が綱渡り状態にあることに違いは無く、またその状態ですら維持のために行われる電力会社各社の金銭的負担は極めて大きい。そしてその負担は電力料金の値上げ、各大口電力需要者への負担増とつながる。

水同様に製造業全般においては、安定的で安価な電力の供給は、生産活動の維持には欠かせない。その環境の継続整備のため、行政はこれまで以上の尽力が求められる。どれ程売買で売上を上げても、それ以上のコストがかかるのでは、利益は上がらない。そして現状では電力の観点で多大なコストが計上されている。茹で上がるまで気が付かない「カエル」になるのは、カエルだけで十分である。

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