アルゼンチン最上位は変わらず、エジプト上昇の動き…(国債デフォルト確率動向:2013年8月)

2013/08/15 15:00

債券の危険性を示す指針の一つとして「CDS」をベースに算出された、国・地域の国公債におけるデフォルト確率「CPD」がある。当サイトでは世界主要国の中でも財政・債務リスクが高い国々の動向、経済情勢をかいま見るために、毎月定期的(月半ば)に「CPD」の上位国を確認し、その動向をチェックしている。今回は本日、2013年8月15日に取得したデータをグラフ化し、現状の精査を行うことにする。

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CDSや、国公債のデフォルト確率を表す言葉CPD(5年以内のデフォルト可能性)の定義、今件データの取得場所、そして各種概念の説明は記事まとめページ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で行われている。そちらで確認をしてほしい。

今グラフは日本時間で2013年8月15日、本日取得したばかりの一番新しいデータをもとに作成したもの。前回月も掲載された国・地域は前回値を併記している。今回はプエルトリコが前回月ではグラフ上存在しなかったため、前月分のところに「NO DATA」が記載されている。


↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年8月15日時点)

今春のキプロスの銀行閉鎖問題が印象的な出来事として代表されるように、複数国でのごたごたは続き、事態の根本的な解決には至っていないものの、欧州地域を対象とした債務問題は、この一、二年の間に集束の方向、少なくとも最大の山場を越えた感触は強い。これは該当各国や欧州委員会、ECB(欧州中央銀行)などの組織が実務的経験を積み重ね、より良い対処法を学び取り、各施策に対応しているからに他ならない。

さらにIMFなどによる「縮小財政政策一本槍」の方針が転換されたことを起因とし、各国が「緊縮財政のみに固執するよりも、成長のプロセスと並列する形でのリストラクチャリング」にかじ取りを変えたことも大きな要因ではある。例えるならば「極度の絶食、節食」から「栄養バランスの取れた、適量の食事」に切り替え、肥満を解消しようという動きだろうか。

ほんの数か月前までは最上位国として常連だったギリシャは、今回もトップからは脱落し、前回からさらにCPD値を押し下げている(リスクの縮小化と市場からは見なされている)。これは同国のGDPが減少過程にあることに違いは無いもののマイナス幅を縮小し、さらに財政基礎収入が黒字に転換したとの報が伝えられるなど、同国の財政問題に明るい兆しが相次いで見られたのが起因と考えられる。また、先日ギリシャの首相が訪米した際に、アメリカのオバマ大統領がギリシャの経済構造改革を支援すると伝えたことも大きい。


↑ オバマ大統領によるギリシャの経済構造改革支援を伝える報道映像。【直接リンクはこちら:Obama Calls on Greece to Balance Austerity】

他方気になる動きとしては「プエルトリコの突然の上位登場」「エジプトの大幅増加」が挙げられる。前者は原因が不明で、特にニュースの類は入っていない。前回月には少なくとも27.56%(前回第10位のレバノンの値)以下だったはずで、一か月の間に何が起きたのか、気になるところ。

一方エジプトについては、先日から各メディアで伝えられている通り、2011年のいわゆる「ジャスミン革命」に連動する形で同国内で繰り広げられている政治的騒乱が原因。直近でも8月14日付で現行暫定政府が首都でデモを続けている前大統領派の強制排除に踏み切り、多数の犠牲者が出ているとも報じられている。


↑ エジプトにおけるデモ隊と治安部隊との衝突を伝える報道映像。【直接リンクはこちら:Cairo, Egypt Protests: Deadly Crackdown on Egypt's Pro-Morsi Protestors】

政治的混乱が続けば財務的なリスクも高まる。特にエジプトは観光産業に依存するところが大きく、政局不安定は直接、そして大きな打撃を経済に与えることになる。CPDがかさ上げされるのも致し方ないところではある。



上記グラフにはその姿はなく、安心はできるが、やはり気になる日本の国債について。これは四半期ペースで公開されるCMD Visionのリスクレポートの最新版(【CMA Release Global Sovereign Credit Risk Reportの一覧ページ】)で確認できる。現時点では7月に発表された2013年2Q(第2四半期、4月-6月)分が最新のものとなっている。

それによると、日本のCPDは6.2%。順位は低い方から数えて19位。前四半期である2013年第1四半期の6.0%・20位と比較した場合、状況はやや悪化、相対順位はやや改善ということになる(詳しくは詳細解説記事【数か国で順位変動、日本は順位改善・数字はやや悪化(国債デフォルト確率動向:2013年2Q)】を参照のこと)。

最後に、欧州の財務状況に連動性を示すユーロ動向について確認をしておく。中国の経済への懸念などで生じた一時的な円高ユーロ安の動きはあるものの、概して4月以降は1ユーロ130円内外で安定した流れを続けている。


↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2013年8月14日)

債券リスクを反映するCPDは、対象国の経済情勢を推し量る重要な要素の一つとして注目すべき対象である。不特定多数の専門家によって(無論市場原理も多分に作用するが)決定づけられた値であり、その値を見て各種判断を示す人も少なくないからだ。

今後も引き続き、CPDを通し、特に欧州方面の経済的動向を眺め見ることにしよう。……もっとも最近は欧州そのものよりも、その周辺国の挙動の方がやや大きなものとなりつつあるのも事実ではあるが。

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