スマホ販売実績58%にまで伸長…世界全体のスマートフォンや一般携帯の販売動向(2013年第4四半期まで版)

2014/02/14 08:30

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ICT(情報通信技術)の調査、アドバイスを行う国際企業のガートナー(Gartner)社は2014年2月13日、世界全体の2013年第4四半期(2013年Q4)における携帯電話(一般携帯電話(フィーチャーフォン)、スマートフォンの双方を含む)の推定販売台数が4億9034万台に達したと発表した。そのうちスマートフォンは2億8217万台で、携帯電話全体に占めるシェアは57.5%となり、四半期ベースでは前四半期に続き一般携帯電話の販売台数を超えたことになる。また年ベースでも2013年におけるスマートフォンの販売シェアは携帯電話全体の53.6%となり、初めてスマートフォンが一般携帯電話を上回ることになった。携帯電話全体では年ベースでサムスンが最大のシェアである24.6%を占め、次いでノキアが13.9%、アップルが8.3%と続き、スマートフォンの販売伸長と共に、上位企業の寡占化が進んでいる。今回はガートナー社の各リリースを元に、過去のデータをも合わせ、2009年以降の各四半期における携帯電話の販売動向をまとめることにした(最新リリース:【Gartner Says Annual Smartphone Sales Surpassed Sales of Feature Phones for the First Time in 2013】)。


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前四半期からさらに伸び57.5%に…スマートフォンの販売シェア増加中


該当リリースを基に算出すると、2013年第4四半期の期間中に、全世界で販売された携帯電話は4億9034万台。そのうち57.5%はスマートフォン、残りは一般携帯電話(など)。スマートフォンの販売は伸長を続け、2四半期前に初めて過半数に達し、以降四半期毎にそのシェアを拡大している。

なお今件記事で示している数字はあくまでも「各該当四半期単位の『販売』実績」であることに注意。「特定時点における所有・稼働数、シェア」ではない。つまり今グラフは2013年Q4時点で「世界中の携帯電話の稼動数の過半数がスマートフォン」を表しているわけではない。

↑ 全世界における携帯電話「販売」台数(万台)(Gartner調べ)(2013年第4四半期)
↑ 全世界における携帯電話「販売」台数(万台)(Gartner調べ)(2013年第4四半期)

↑ 全世界における携帯電話「販売」台数シェア(各四半期毎)(Gartner調べ)(-2013年第4四半期)
↑ 全世界における携帯電話「販売」台数シェア(各四半期毎)(Gartner調べ)(-2013年第4四半期)

↑ 全世界における携帯電話「販売」台数シェア(年ベース)(Gartner調べ)(-2013年)
↑ 全世界における携帯電話「販売」台数シェア(年ベース)(Gartner調べ)(-2013年)

2010年まではやや大人しかったスマートフォンの販売シェアだが、2011年以降はほぼ直線の斜め線を描く形で増加している。この数四半期でも勢いに変化は無く、このままの状態が進めばあと1年内外で6割にも届きそう。見方を変えれば、現時点でも一般携帯電話の市場需要は無視できない大きさであることも分かる(何しろシェアはいまだなお4割強、2億台以上が四半期で売れているのだから)。

また冒頭で触れた通り、今回第4四半期までの数字が確定したことで、2013年通期における販売台数・各シェアも確定することになった。2013年の携帯電話販売数は18億0070万台。そのうちスマートフォンは9億6778万台でシェアは53.6%。年ベースでスマートフォンが過半数を超えたのは2013年が初めてとなる。

次の図は、四半期単位の動向(シェアではなく実販売数)を2009年第1四半期から順に積み上げ形式でグラフ化したもの。携帯電話全体としては「年末(第4四半期)によく売れる」「販売数は漸増を継続」「2011年以降は各四半期の販売実績はほぼ横ばい」との動きがつかみ取れる。そして上記グラフにある通り、主役が一般携帯電話からスマートフォンに移行しつつある動きも把握できる。

↑ 全世界における携帯電話「販売」台数(万台)(Gartner調べ)(四半期単位)(-2013年Q4)
↑ 全世界における携帯電話「販売」台数(万台)(Gartner調べ)(四半期単位)(-2013年Q4)

【アジア太平洋のモバイル加入者数や増加傾向】など新興国の携帯電話事情を解説した記事にもある通り、新興国では今なお非スマートフォンタイプの携帯電話が主役。これは販売単価やランニングコスト、さらには国ごとの環境整備が主要因である。

一方その新興国でも、特に「手軽なインターネットの窓口」との立ち位置から、スマートフォンが確実に販売実績をあげている。詳しくは後述するが、先進国での普及がある程度進み、急速な伸びは期待しにくい昨今でも、相変わらずスマートフォンの販売実績が堅調でシェアも伸びているのは、新興国における広がりによるところが大きい。

スマートフォンのOSシェア動向


成長を続けるスマートフォン販売数に限定して詳細を見ると、OSシェアの競争が激化し、この数年で大きな変化を見せているのが分かる。

↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数(OS別)(万台)(Gartner調べ)(四半期単位)(-2013年Q4)
↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数(OS別)(万台)(Gartner調べ)(四半期単位)(-2013年Q4)

↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数シェア(OS別)(Gartner調べ)(四半期単位)
↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数シェア(OS別)(Gartner調べ)(四半期単位)

スマートフォンのOS別販売数、シェアに関する記事展開時では常にコメントしている通り、「iOSはApple社のみによる提供」「Androidは多数企業の販売数を全部足している」という大きな環境上の違いがある。今件グラフ及び数字は「OS」に焦点を置いた上でのものであり、「1企業=iOS」のApple社と、「多数企業の合計によるAndroid」とでは、単純比較をするのには条件上、やや難があることを認識しなければならない。同時に、純粋にOSでの切り口で見れば、Androidの四半期販売シェアがiOSを圧倒的に凌駕しているのにも違いない。

さてAndroidの四半期単位での出荷台数は、前四半期からさらに増加。Appleも前四半期と比べて大きく増加。これは【NTTドコモからもiPhone販売へ、正式発表】にもある通り、前四半期末期でiPhoneの新機種5c/sが発売されたのが主要因。セールス状況に関しては何かと話題になった5c/sではあったが、今数字を見る限り、そして毎年恒例の年末商戦における販売攻勢もあり、大きく値を伸ばしている。

四半期区切りでの販売数のシェアに目を転じると、2009年当初はSymbianがトップで、次いでResearchInMotion(BlackBerry)。Appleは1割強でしかなく、Androidは2%にも満たなかった。だがその後は両方共に漸増を続け、特に2010年以降は成長著しく(上記グラフにある通り、スマートフォンそのものの販売シェアが伸び始めた時期と一致する)、2011年第1四半期時点で、双方合わせて過半数の販売シェアを確保する。そして直近の2013年第4四半期では、iOSとAndroid合わせての四半期単位の販売シェアは95.6%にまで達する形となった。前四半期が94.0%なので、さらに寡占化が進んでいる。そしてグラフ中にも記載の通り、数量の減退、全体に占める比率の減少を受け、今四半期からはBadaとSymbianが「その他」扱いを受け、個別の販売数は発表されないこととなってしまった。

昨今ではAndroidのシェア躍進が目立つが、今四半期ではiPhone 5c/sの展開により、ややiOSが押し戻す結果に落ち着いている。しかしこれまでの新機種発売後の動向をみるに、次四半期には再びAndroidのシェアが伸びていくことは、容易に想像が出来る。



一般携帯電話の需要が無くなることはない。上記で解説した通り、各種コストやインフラの問題、そして操作性上のハードルもあり、未だに一般携帯電話を求める声も大きい。しかし今後も漸次スマートフォンのシェアは拡大を続けていくことも違いない。

リリースでも繰り返し言及されているが、先進諸国である程度スマートフォンの普及が飽和に近い状態となった昨今においては、新興国での売り上げがスマホ全体を支えている状況となっている。2013年第4四半期においては、インドが前年同期比で166.8%の増加率を示したのをはじめ、ラテンアメリカが96.1%増、中東、アフリカ、アジア・太平洋、東欧諸国においてそれぞれ50%以上の増加を示している。また年ベースでは中国が86.3%の増加率を弾き出している。

ガートナー側ではこの状況は今後も続くと予想している。つまり2014年も引き続き新興国を中心にスマートフォンは売り上げを伸ばすというものだ。一方で新興国での販売が中心になるに連れ、高価格端末では無く中程度から低価格の製品の需要が増すため、各企業も生産主体をそれらに合わせる形で再構築することが求められるようになる。必然的に台数そのものは伸び続けるものの、販売単価は減退し、そして売上総額の増加率は低減していくことになるだろう。


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