増える都市部での長期居住高齢者…賃貸住宅の平均居住年数をグラフ化してみる(2013年6月発表分)

2013/08/14 20:00

賃貸住宅の管理会社による協会「日本賃貸住宅管理協会」では、半年のペースで【賃貸住宅景況感調査日管協短観】の更新版を公開している。その最新版となる「賃貸住宅景況感調査日管協短観・2012年度下期(2012年10月-2013年3月)」が今年6月に公開されたのをきっかけに、各種賃貸住宅の市場動向を推し量っている。今回は賃貸住宅管理会社が管理する物件における、「居住者の平均居住年数」について精査を行うことにする。

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各種調査要項などについては先行記事の【「情報誌」以外は堅調化…メディア別賃貸住宅業者への反応の変化をグラフ化してみる(2013年6月発表分)】に記載されている。詳細はそちらを参照のこと。

賃貸住宅の利用客層を「学生」「一般単身者(学生除く)」「一般ファミリー」「高齢者(65歳以上)」「法人」「外国人」に大別。その上でそれぞれの平均居住年数をグラフ化したのが次の図。「一般ファミリー」と「高齢者」では特に、長年居住者が多いのが分かる。個々世帯のライフスタイルを思い返せば、引越しの必要性は低いことから、居住年数が伸びるのは当然の結果といえる。


↑ 平均居住年数(全国)(2012年度下期)

「学生」は2-4年が大半で、4年以上はほとんどいない。「学生」の賃貸住宅利用者の大半が大学生であること、そして通常の大学が4年制なのを考えれば、大体つじつまが合う(4-6年でいくぶんの値が確認できるのは、留年者、あるいは就職してもしばらくは学生時と同じ場所に住んでいるものと考えられる)。

また「外国人」は4年までの短期滞在が大部分であり、スタイル的には学生に近いのが確認できる。さらにいえば「1-2年」が多く、学生よりも短期性が強い。そして「高齢者」は他の区分とは比較にならないほど、6年以上の長期滞在型が多数を占めている。これは「一般ファミリー」以上に引越しの必要性が薄いことに加え、シニア層の多くにとって現在の居場所は、近所づきあいも含めた周辺環境そのものとの結びつきが強いことから、単なる居住空間以上の意味合いを持っているからに他ならない。

これを首都圏・関西圏て分けてグラフ化すると、地域別の特徴が出てくる。


↑ 平均居住年数(首都圏)(2012年度下期)


↑ 平均居住年数(関西圏)(2012年度下期)

首都圏は全国平均と大きな違いは無い。あえて差異を探すとすれば、「法人」の長期利用者がやや多いくらいだろうか。中長期のビジネス用、出張者のための社宅的な場所として使われている事例の多いことが想定される。

一方で関西圏は「法人」「外国人」の短期利用者比率が大きいのが見て取れる。企業による在住は関西よりも関東の方が中長期化するようだ。他方「高齢者」の長期居住者は特に多く、6年以上の人が2/3を占めるまでになっている。地域社会と密着した人が多いことの表れだろうか。



今回はグラフ化しなかったが、首都圏・関西圏を除くエリア、つまり地方や近郊エリアにおいては、「高齢者」の長期入居者率が低い。見方を変えると、都市圏に高齢者が集約しはじめ、長期定住の傾向があるともいえる。これは国土交通省の試算でも裏付けされており、今後さらに都市部へ、特に首都圏に高齢者が集中することが推測されている。地方では過疎化などの理由で採算性の問題から、生活サービスの供給に代表される居住環境が悪化し、移動範囲が狭い高齢者には住みにくい場所となってしまうのが最大の理由といえる。

中期的な視点から推測するに、特に都市圏において「高齢者」の長期入居者率は上昇を続けるものと考えられる。高齢者の独り身世帯も増加する中で、管理そのものの困難さに加え、該当賃貸住宅の建て替えの際の立ち退き問題など、これから管理会社への負担は今まで以上に大きなものとなるに違いない。


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