「税抜き価格表示」消費者の支持は2.3%のみ、一番人気は「税込価格・本体・消費税」の現行スタイル

2013/08/13 06:55

博報堂は2013年8月12日、2014年4月から実施される可能性がある消費税の税率アップに際し、価格表示の方法に関する調査結果を発表した。それによると調査対象母集団においては、税率変更後に行われうる価格表示について、期間限定で認められる表記方法「税抜価格」の支持率は2.3%に留まることが明らかになった。もっとも多くの人が支持したスタイルは、現行でよく使われている「税込価格・本体価格・税額」の3要素すべてを表示したものとなっている(【発表リリース(PDF):消費税対策研究プロジェクト緊急調査「生活者に聞く価格表示」】)。

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税抜き表示支持率は2.3%


今調査は2013年7月19日から22日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比・世代構成比は20代から60代で均等割り当て。

【「消費税率を14年4月8%、15年10月10%」は絶対なのか】でも解説している通り、附則第18条の条件が満たされる景況となった場合、2014年4月から消費税率は現行の5%から8%に引き上げられることになる(一部報道などで「確定」として、さらに「法令に記述されている通りの期限で実施しないといけない」として伝えられている・主張されているが、その法令自身において「条件が満たされた場合」と記述されていることに注意が必要となる)。

その消費税の引き上げ話に絡み、現行法では「総額表示(税込金額)」の表記が義務付けられていたが、条件を満たせば「税抜価格」の表示も可能となる。これは「消費税転嫁対策特別措置法」によるもので、2013年10月1日施行・2017年3月31日まで適用される(【財務省発表リリース(PDF):消費税転嫁対策特別措置法が成立しました】)。

今法令の今件に絡んだ部分としては「表示価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていれば、税込価格を表示しなくてもよいとする特例が設けられる」。例えば「100円(税抜)」「100円(本体価格)」「100円+税」などの表記が可能になる(または税抜き価格のみを表記し、別途店内に利用客が分かりやすい場所で「当店の価格は全て税抜価格となっています」という表記を行う)。

そこで想定される価格表示について9つのパターンを提示し、どのような表示が「消費者」「生活者」の立場としては一番望ましいかを聞いたところ、もっとも多くの人が支持したのは、現行税率でも税率引上げ後でも、「税込価格・本体価格・税額」すべてが記載されているパターンだった。税抜き表記を支持する人はごく少数に留まっている。


↑ 「5%税率で税込750円」の商品について、表示のどれが「もっとも良い」と思うか(現状と税率引き上げ(引き上げ後も5%と仮定)後)

次いで多いのは「税込」「本体価格表示」「消費税額表示」とパターンは異なるものの、本体価格や税額が明確に分かる様式。税率引上げ後になると、より一層具体的な消費税額が一目で判断できるスタイルへの支持率が高まる。要は「買い物時に自分がいくら支払うことになるのか」に加え「負担する消費税額はどれほどの額になるか」を知りたいという消費者側の需要が強まる次第。

逆に、税額があいまいな表記は概して人気が低い。「消費税転嫁対策特別措置法」で認められることになる「税抜き価格表記」(上記グラフでは右側3項目)は、税率引上げ後において、支持率は2.3%でしかなく、誤差の範囲というレベル。

税抜き価格表記が嫌われる理由とは


消費者側の需要「買い物時、支払前に自分が支払う額が知りたい」「消費税額が具体的にいくらなのかを知りたい」が明確に分かるのが次の結果。上記法令で店舗の選択により「税込価格表示」以外に「税抜価格表示」が可能になることに対する所感を尋ねたものだが、店舗によって表記スタイルが異なると混乱を招くとする懸念がもっとも多く、87.7%に達している。


↑ 価格表示方法と消費者の所感

また「商品を手に取る時点で支払金額を確認したい」「税込表示の方が支払金額を計算しやすい」「自分がいくら消費税を負担することになるのか知りたい」など、現行スタイルの「税込価格表示」が望ましいとする意見が多い。

一方で「表示方法が(税抜き価格表示に)変わっても、買い物行動には影響しない」とする意見は28.9%に留まっており、何らかの形で影響が生じ得るとする人が、最大で7割強居る可能性を示唆している(もっとも「馴染みの店が税抜価格に変わったら、税込価格表示の店に変える」という人も25.8%しかいないので、常連店舗を変えるまでの強い動機にはならず、買い物性向そのものが減退する人が多数になると推測される)。

ともあれ、消費者としては「商品購入時に自分が支払う実額を、レジに出してからでは無く、商品確認時に知りたい」「具体的な消費税額添付額を知りたい」という需要を持ち、それに叶う「税込価格表示」が望ましいと考えていることに違いはない。法令で時限的に認められる「税抜価格表示」は、少なくとも消費者からは望まれていないどころか、嫌われる傾向すら見受けられるのが現状である。



「税抜価格表示」については、一部小売店業界で積極的に展開する動きがある。例えば日本チェーンストア協会は2013年6月25日付の要望書(【発表リリース(PDF):平成26年度税制改正要望について】)の中で、

当協会は、これまで「消費税額を含む商品の価値をどのような方法で表示すべきかについては法律で一律に課すべきではなく、事業者と消費者、事業者と事業者との関係において事業者自らが適切な方法を選択すべき問題である。」と主張しており、今般の措置を時限的な特別措置に留めることなく恒久化していただき、明確に総額表示方式の義務付けを廃止していただきたい。

とした上で、「税込価格表示」の義務化を廃止し、「税抜価格表示」の恒久化を要望している。

今回の調査結果を見る限り、消費者は現行の「税込価格表示」を望んでおり、その理由も納得がいくものである。「税抜価格表示」を適切な方法として事業者側が選択するのなら、その理由を「明確に」消費者へアピールし、消費者側が現在抱いているメリットを上回る効用を示さねばなるまい。事業者側の都合のみで様式が決定されるとなれば、消費者側がどのような感想をいだくのかは、想像するに難くない。


■関連記事:
【消費税と税収の関係をグラフ化してみる(2013年)(最新)】

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