前年比では乳製品が大幅高だが全般的には安定、やや安値の動きへ(2013年7月分世界食糧指数動向)

2013/08/17 21:00

2013年8月8日に国連食糧農業機関(FAO、Food and Agriculture Organization)は、毎月恒例となる【世界食料価格指数(FFPI:FAO Food Price Index)】のデータ更新を実施、2013年7月分について発表を行った。この値は1990年以降にFAOが世界の食料価格の変化を月単位で定期的に集計し、計算の上で発表しているもの。今回は、この最新発表値をベースとしていくつかのグラフを生成・再構築し、現在の世界規模での食料価格の動向を眺め見ることにする。

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金融危機で上昇したあとは高値安定、昨今はやや下げか


今記事のデータ取得元や用語の解説に関しては、一連の記事のまとめページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で行っている。そちらで確認のこと。

最初に展開するのは、現時点での最新値(2013年7月分)までを反映させた、公開全データを使った折れ線グラフ。1990年以降の中長期的な食料価格の変移概要が一目で把握できる、詳細はともかく概要を俯瞰できる、資料性の高いものである。


↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2013年7月)

砂糖は相場関係ではしばしば話題に登るように、元々価格変動性の高い食料品。その砂糖の動向を示す砂糖指数(グラフ中ではオレンジ色の線)は、他と比べると上下の値動きが激しい。それ以外の項目は2005年前後までは、下限50・上限150の領域(水準値を100とし、プラスマイナス5割内)内での値動きを示していた。

ところが2005年終盤から少しずつ上昇の気配を見せ、金融危機のきっかけとなる「サブプライムローンショック」(2007年夏-)の時期になると、大きく上昇の流れを示す。そしてその後は上昇の反動による急降下、さらには「リーマンショック」(2008年9月以降)を経て、高値安定の動きに至る。また砂糖に関しては、天井知らずの上昇すら予見させるものがあった(2011年半ばは特に)。

2011年後半期からは各食品項目により下げ率に違いはあるものの、少しずつ値を落としている。砂糖の上昇一本槍の動きもブレーキがかかり、さらには反動の下落状態に転じた。だが確実に下落を継続しているのは砂糖と油脂のみで、他は上下を繰り返しながらも全体的には高値を維持している。

続いて、グラフ生成開始期間を金融危機が始まった年の2007年に限り、対象期間を短くし、金融危機以降の動向を詳しく見ていくことにする。


↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2013年7月)

砂糖指標のグラフの動きを見ると2010年初頭から、ジェットコースターのような急落と急上昇で、細い谷間を描くかのような動きが見える。これは元々過熱感のあった砂糖相場で、豊作の報をきっかけとした相場反動(反落)の結果。だが中期的な価格上昇の原因となる「需要の拡大(新興国、特に中国)に伴う需給バランスの不安定感」は根本的に解決していない。すぐに再び砂糖価格は上昇をはじめている。そして2012年中ほどまでは、他の指数と比べて高い領域(300を底値)でのボックス圏的な動きを繰り返していた。

ところが直近の一、二年においては、2011年中旬の約400を天井として、そこから失速、あるいは重力降下のように値を落とす流れを続けている。これは豊作による供給の増加、さらには景気後退に伴う甘味需要の減退が主な原因。2010年中頃の水準にまで落ち込む可能性も出てきている。

前月比と前年同月比で動向を確認、さらには今月の状況


昨今、さらには直近の食料価格の上下動向を確認するため、各指標の「前年同月比」と「前月比」を併記し、数字の変移が分かりやすいようにしたのが次のグラフ。


↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2013年7月)

総合指数は前月比でマイナス2.0%とわずかながら下落、前年同月比ではマイナス3.3%。全般的な指数の下げが昨年来、今に至るまで続いていることが、ここからもうかがえる。

個別項目を見ると、前年同月比では乳製品が大きなプラス、穀物・油脂・砂糖が大きなマイナスで、この一年間の単位ではこれらがそれぞれ大きな上昇、下降を示しているようすがうかがえる。一方で前月比ではすべての項目が小幅な値動きに留まっており、この数か月の視野で見れば値は安定の方向にあることが推し量れる。乳製品は昨年の同時期が大きな下げを見せていたため、その反動も一因だが、高値安定という状況はやや好ましくない感はある。

リリースでは今月の動きについて

「穀物指数の下落は、トウモロコシの主な生産国での好天による生産量増加観測によるもの。小麦も同様の理由で生産量は増えたが、輸出制限が値の下げ幅を最小限にとどめている。米価格は生産地域によって高安まちまちとなり、全体として大きな影響は与えていない」

「油脂指数は先月からさらに減少。大豆とパームの生産量増加とアメリカにおける需要の低下(バイオエタノール周りを含む)や、中国における需要低下が需給のバランスを崩す要因となっている」

「乳製品指数は最近下がり気味だが、直近では安定化。粉ミルクの価格はやや上昇したものの需要は限られたものであり、チーズの輸入による価格下落を相殺するほどのものですらなかった」

「食肉指数は安定化。羊肉などがやや上昇したが、豚肉などの値が下がり、指数全体としては動きを見せないものとなった。また特にアジア諸国において国内生産の増加や需要低下に伴う、国際流通における需要の低下の気配がある」

「砂糖指数は直近では安定だが、前年比では大きなマイナス。生産量が大幅に増加しているのが原因。主な生産地域のブラジルでエタノール価格が低下したことにより、サトウキビをエタノール化することなくそのまま砂糖として出荷する比率が高まり、さらに供給を積み増し、価格の下落につながる可能性がある」
などと説明されている。

需給双方の立場から、食料品価格は安定していることが望まれる。安値では生産者が、高値では消費者が疲弊し、結果として需給バランスが崩れてしまう。今回月は前月比に限ればいずれも大きな動きは無く、好ましい状況といえる。もっとも乳製品は高値、砂糖は安値での安定化であり、もう少し調整が必要かもしれない。

農林水産省のレポートで現状を確認


大規模な異常気象や爆発的な人口増加、世界的な特定食品へのブーム、バイオエタノールのような産業レベルでの大変革、あるいは「緑の革命」のような、需給関係のバランスを大きく動かす事態が発生しなければ、人口増加と諸国の生活水準の向上により、中期的には相場動向による上下を経ながら、食品価格は上がり続ける。原油輸出国だった国が、自国の発展と共に石油の消費量が増え、輸入国に転じる仕組みと同じである。

今記事では毎月確認している【農林水産省の海外食料需給レポート】の2013年7月分で最新の動向を見てみると、主要穀物品種のうち小麦・とうもろこし・大麦・米で生産量が前年同月比で増加、史上最高の量となる見込み(これは先月から変わらない。特にとうもろこしや米で史上最高の生産量が予想されている)。一方消費量は小麦・とうもろこし・大麦・米で増加し、こちらも史上最高の量となる見込みが出ている(こちらも先月から不動)。結果としては期末在庫量見込みは生産量が消費量を上回ることから、前年度より増加して4.6億トンとなり、期末在庫率も19.3%と上昇する見込みとのこと。

昨年の各地域での干ばつに伴う食糧生産量の減少と比べれば、状況はやや改善しているものの、消費量が継続的に増加し続けているのが気になるところ。昨今では値は比較的安定しているものの、気候変動などで生産量が落ち込むことがあれば、再び数年前の高値圏への値動きを見せる可能性はある。引き続き定期的な観測を怠ることのないようにしたいものだ。

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