4マスでは新聞とテレビがプラス、ネットは25.7%と大幅プラスに(経産省広告売上推移:2013年8月発表分)

2013/08/09 11:30

経済産業省は2013年8月8日に同省公式サイト内「特定サービス産業動態統計調査」で、2013年6月分となる速報データ(確定値に先立ち公開される値)を発表した。その公開値によれば、2013年6月の日本の広告業全体における売上高は前年同月比でプラス3.8%となり、増加傾向にあることが明らかになった。今件記事で精査対象となる5項目(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット)中では「雑誌」がマイナス6.0%と、もっとも低迷しているのが確認できる(【発表ページ:経済産業省・特定サービス産業動態統計調査】)。

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新聞2.4%・テレビは5.8%のプラスで堅調、ネットは大幅上昇


「特定サービス産業動態統計調査」の詳細解説は一連のまとめ記事(【定期更新記事:4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】参照のこと)で行っている。そちらを参考のこと。なお最新のデータ以前の値(今回なら2013年5月分以前)は、速報値の後に発表される確定値で修正された数値を用いている(入力し直している)ので、値が前月記事とは異なる場合がある。


↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2013年5-2013年6月)

前月分との比較がしやすいように、前回記事分(2013年5月分)データ(確定値に修正済み)と並列してグラフ化している。今回月は軟調さが続く4マスの中でも唯一回復の兆しを見せる「テレビ」が堅調な伸びを示す形となった。前年同月はプラス6.1%で、そこからさらに5.8%上昇しており、同項目の回復ぶりが再認識できる。

また不調が続く「新聞」もプラス値だが、これは前年同月の低迷ぶり(マイナス2.7%)の反動と、7月4日に公示された参議院選挙に先立つ動きによるものと考えられる。「インターネット」も同じ理由によるところが小さくないようだ。

該当月、つまり2013年6月における大手広告代理店電通・博報堂の売上動向に関する記事【電通はテレビ12.8%・新聞4.5%のプラス、ネットは両社共強めの動き(電通・博報堂売上:2013年6月分)】で動向を確認すると、電通ではやはり「テレビ」「新聞」が健闘しており、今件と同じ状況下にあるのが分かる。日本の二大広告代理店の動きは概して、日本全体の広告市場と大きな変わりが無い。

テレビの広告費はケタ違い


今回も該当月(2013年6月分)における、各区分の具体的売上高をグラフ化する。広告代理店業務を営む企業は、最大手の電通と博報堂のみだけではない。そして各広告種類の区分が業界内で完全に統一されてはいないので、当サイトで月次更新している「電通と博報堂の-」との額面の一致・類似性は無い。今調査内のみにおける月単位の、比較用の参考値として考えてほしい。


↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年6月、億円)

金額面では「インターネット広告」の額面が「新聞」の額を超す月が継続中。今記事で抽出している主要5項目内では「テレビ」に続き第2位の地位を固定化している。今月は新聞が不調、インターネットが堅調なだけに、約100億円もの差をつけた。【新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる(2012年7月まで対応版)】では順位変動を繰り返しながらも次第にインターネットの優位性が明確化しつつあることを示したが、今年に入ってからも2月以降は連続して「新聞<<インターネット広告」の関係が続いており、この順位の固定化が進みつつある。

しかし「インターネット広告」は他のメディアと比べ、額面上の起伏が大きい。見方を変えればそれだけ柔軟性・機動力に富んだ展開が可能で、広告出稿側も大胆な切り替えができる広告媒体ともいえるのだが。


↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2013年6月)

次のグラフは公開されているデータの中期的推移。今調査でインターネット広告の金額が登場したのは2007年1月以降。そこで、それ以降に限定した流れを図にしている。


↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年6月分まで)

「インターネットは2009年前半に数か月に渡る低迷を記録するが、その後回復。それ以外は概してプラス圏」「テレビは2010年から回復基調」「ラジオはマイナス圏を継続中」「雑誌はリーマンショック(2008年秋)で一番大きな痛手を受け、震災でも大きくマイナス。その後も厳しい状態が続く」。各項目の動向をまとめるとこのような形になる。

また今グラフ期間中には2007年夏の金融危機ぼっ発(サブプライムローンショック)、2008年秋のリーマンショック、2011年3月の東日本大地震・震災と、3つの経済的にネガティブな出来事が発生し、各値を押し下げている。一方で下がり方やその後の回復ぶりは媒体毎に多種多様であり、個々の広告の柔軟性の違い、景気動向への適応力の相違も見える。中でも紙媒体「新聞」「雑誌」は相当辛そうだ。



技術の進歩や社会情勢の変化に伴う、需給関係の動きはどの業界にもつきものだが、広告業界では特にそれが著しい。また金融危機や震災といったイレギュラーな出来事で、その動きが加速化したり、逆に足止めを受けたものもある。それら多様な変化要素を受け入れながら、同業界内でも構造変化が確実に起きている。

今回月でも「新聞」「インターネット」でそれらしき動きが見受けられたが、7月21日に行われた参議院選挙の影響が、次回の7月分で明確に確認できることになる。今選挙ではインターネットによる選挙活動が日本で初めて解禁されたが、それが広告業界にどのような変化をもたらすことになるのか。大きな動きを把握できるかもしれない。

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