吉野家の独走態勢終焉か、松屋の追い上げも…牛丼御三家売上:2013年7月分

2013/08/07 07:55

吉野家ホールディングスは2013年8月5日、同社子会社の牛丼チェーン店吉野家での2013年7月の売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でプラス1.2%となった。牛丼御三家と呼ばれる主力牛丼企業のうち松屋フーズ運営の牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年7月における売上前年同月比はマイナス0.6%、ゼンショー展開の郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス8.5%との値が発表されている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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売り上げ面では吉野家トップ継続、松屋も奮戦



↑ 牛丼御三家2013年7月営業成績(既存店)(前年同月比)

吉野家に注目した上で、昨年同月の営業成績と比較すると、一年前における客単価前年比はプラス8.3%。今月はそこから転じて6.1%の下落をしている。御三家の中では最大の下落幅だが、これは以前【吉野家が牛丼を280円に値下げ・牛丼御三家横並び状態に】で伝えたように、主力商品の牛丼を値下げした影響が大きい。これにより御三家の中では先月から継続する形で、客単価項目では最大の下げ幅を示している。しかしその値下げによる集客効果も明らかで、客数は前年同月比で7.7%と唯一のプラス。これは前々年同月比を算出しても3.2%のプラスとなり、他社との比較からも、売上高にも多大な貢献をもたらしているのは一目瞭然。なお同社では単価が高めな「ねぎ塩ロース豚丼」「牛カルビ丼」を7月4日から発売し、300万食を超えるセールスを記録したが、全体的な客単価押上げまでにはつながらなかったようだ。


↑ 牛丼御三家2013年7月営業成績(既存店)(前々年同月比)

松屋は今回月では、【松屋からタイ風カレーのスパイシーカレー登場、トッピングもポークとチキンが新たに展開】で伝えた「スパイシーカレー」をはじめ、「カルビ焼き牛めし」「山形だしとろろ牛めし」「山かけネギトロ丼」など新商品を続々展開している。バラエティに富んだメニューの登場で客の目を引いたこともあり、客数減少は最小限に留まり、客単価も多少ながら押し上げられ、売上の減少は最低限のレベルにとどまった。

すき家では該当月には松屋同様のカレーメニュー「スパイシーチキンカレー」の展開を開始したが、客単価はともかく客数の増加に結び付けることは出来ず、売上も御三家中もっとも低迷する形となった。

なお今回該当期には吉野家とすき家で、土用の丑の日向けにうなぎ関連のメニューも発売されている。高単価で客の注目も集めるため、それなりに営業成績上に反映されるものと思われたが、今回の数字を見る限り、その気配は無い。あるいはそれらの影響によって、この数字で留まっているのかもしれない。


↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2013年7月)

前年同月、前々年同月のグラフを見比べるとよく分かるのだが、ここ一年以上続いている松屋・すき家での客数減少は、前年同月の盛況ぶりによるリバウンドではなく、1年以上の中期的に渡り継続してのものである。特にすき家では客入りの減り方が著しい。

両社、特に松屋では今回月の例にもあるように、メニューのバラエティさをアピールすると共に、単価の高めな商品を絶え間なく投入し、客単価の引き上げを模索している。しかしかつてのような効果も出にくくなり、客数の減少ぶりも継続。状況が改善されない期間が続いている。期待客が新メニューのラインアップに飽きを見せているのかもしれない。

吉野家の客数突出も終息へ向かうか


来場客減少が売り上げの低迷の主要因となっているのは明らか。今回月で松屋は16か月、すき家は20か月、客数の前年同月比マイナスが継続している。他方吉野家は勢いを減退させたものの先月から続き4か月連続して来店者数をプラス化しており、主力商品の牛丼への「値下げ」が功を奏しているのが再認識できる。


↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2013年7月)

このグラフの限り、客数の顕著な減少は2011年夏から起きている。このタイミングを考慮すると、客数減少は2011年3月の震災が起因の一つと考えてもよさそう。しかし震災の直接的な影響が時間の流れと共に薄らいでいくにも関わらず、客足が戻らない現状を見るに、震災をきっかけとして、世間一般の「牛丼離れ」、消費性向そのものに変化が生じたと考えた方が理にかなう。

他のファストフード業界(例えばハンバーガーチェーン店)も多くで似たような状況にあることから、【コンビニエンスストアの商品構成別売上推移をグラフ化してみる(2012年12月分まで反映)】で指摘した、コンビニの日配食品が競合相手となり、シェアの奪い合いとなっている可能性は大いにある。

客数の増加で唯一勢いをつける吉野家だが、その勢いも先々月でピークを迎え、今回月は明らかな減退が確認できた。このままでは早ければ来月分で再びマイナスへ転じる可能性もある。また今件記事における値は客数・客単価・売上の動向であり、そこから得られる利益までは判断できない。

そこで先日【吉野家の直近決算短信から「牛丼値下げ」の影響を確認してみる(2013年7月発表分)】にて検証したが、その限りでは、「売上アップだが利益は減った」という実情が確認できる。同社では今後客数を維持しつつ、利益も確保できる体制に移行できるのか。御三家の中では一番気になるところではある。


■関連記事:
【牛丼御三家の店舗数推移などをグラフ化してみる(2012年8月分まで対応版)】

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